【偏愛土木写真0010】土木技術の結晶「塚原ダム」
このコーナーでは、土木写真部の部員が一押しの土木構造物やお気に入りの写真をご紹介します。第10回は古くから水力発電が行われ、支川も合わせると計8基もの発電用ダムがあることで知られる宮崎県の耳川に建設された塚原ダム(つかばるだむ)です。
塚原ダム(宮崎県諸塚村)
塚原ダムは、日本で初めて可動式ケーブルクレーンを採用するなど、当時としては最先端の近代的な機械化施工を導入して建設された重力式コンクリートダムです。
戦前に作られたダムでは最も高い日本初の80m級ダムであり、その歴史的価値が認められ、平成16年には国の登録有形文化財(文化庁)に登録、平成19年には近代産業遺産(経済産業省)に認定されています。
現地に行かれた際には、万里の長城を思わせるダム堤頂部の小塔や高欄のデザインにもぜひ、注目していただきたい。
立入禁止のダムでありながら、写真撮影用にフェンスの一部が切り抜かれています。こういう心遣いも嬉しいですね。
構造概要
所在地 宮崎県東臼杵郡諸塚村大字七ツ山古園
河川名 耳川水系耳川
形 式 重力式コンクリートダム
堤 高 87.0m
堤頂長 215.0m
総貯水量 34,326千m3
管理者:九州電力株式会社
完成年 1938年
塚原ダムの位置
地元では地名にちなみ「古園堰堤」と呼ばれていますが、最寄りのバス停は「古園円堤前」となっています。時刻表等を調べる際は注意してください。
周辺の道路では交通規制が行われている場合があります。お出かけの際は宮崎県のホームページで事前に確認してください。
写真・文:岡部 章 土木写真部長
1992年に宮崎県庁に入庁。瓜田ダム建設工事事務所での勤務を皮切りに、県内各地で土木工事の調査・設計・監督業務に携わる。
土木構造物を世界にただ一つのオーダーメイドの作品と捉え、その魅力をより多くの人に伝えようと、2014年に「土木写真部」を立ち上げる。
ライフワークは土木広報と景観まちづくり。宮崎県高岡土木事務所工務課長、日本ダム協会認定ダムマイスター