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短編小説

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140字以上の小説がまとめられています。 増えていくペースはゆっくりです。
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2017年1月の記事一覧

最果て

耳鳴りが止んだ。
ノートから顔をあげると十分程前から視えていた、幽霊は視えなくなっていた。
小さく安堵の息を吐きつつ、黒板に焦点を合わせた。

幽霊が近くにいると耳鳴りがする。
幼い頃からそういう体質だった。
普通は視える視えないに関係なく幽霊と目があっていると、耳鳴りがするらしい。
私は随分と幽霊に対して敏感な体質なようだ。
慣れてしまえばどうということはない。
ただ、視えている以上、目があって

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