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STYLYが目指す「リアルメタバースOS」とは。メタバース、STYLY、私達の企業が提供していく価値を整理してみた

近頃「メタバース」という言葉が広く浸透し、多くの意味で使われているのを目にするようになりました。メタバースとは、メタ(高次)とユニバース(宇宙)という単語からなる造語でありますが、私たちは「メタバース」という概念をどのように捉えているのか、またXRクリエイティブプラットフォームSTYLYを提供する株式会社Psychic VR Labがメタバースに対して担うべき役割に関して整理してみました。

※XRとは、 VR(Virtual Reality:仮想現実)・AR(Augmented Reality:拡張現実)・MR(Mixed Reality:複合現実)の総称

リアルメタバース、人間中心のリアルな自分を起点としたメタバース

「我々生物にとっての世界は、知覚と経験によって理解した客観的に存在する環境の一断片でしかなく、それぞれが主体的に構築した独自の世界である」。環世界(Umwelt)と呼ばれる考え方であるが、個々の生命体が共通して持つ知覚以外に、我々人類はテクノロジーにより新たな知覚を手にし、一人ひとりが物理世界・情報世界において主体的に構築できる世界は多様化しました。

私達は、メタバースの本質を、テクノロジーによって新たに手に入れた知覚によって主体的に構築できるようになった高次な世界・自身の中に存在する宇宙のことであると捉えています。それは「人間中心のリアルな自分を起点としたメタバース」であり、リアルなヒトや企業を進化させる可能性を秘めた概念であると考えています。

「人間中心のリアルな自分を起点としたメタバース」「リアルメタバース」と定義し、私達の企業が提供していく価値を再整理してみました。

私たちPsychic VR Labは企業のミッションを、新たな知覚を用いて空間的・肉体的・精神的・物理的な制約を取り除くことで「ヒトや企業の創造する力、内に秘めたクリエイティビティ」を解放すること。(「人類の超能力を解放する」こと)と定めています。

STYLY「Free your inner world」をタグラインとして掲げているXRクリエイティブプラットフォームであるが、これは、内に秘めたクリエイティビティを解放することによって、自身の中に存在する宇宙、主体的に構築できる世界を解き放とう想いを込めたメッセージである。

STYLYがXRを用いて実現したいことを例えるなら、子供のころ夢だった空を自由に飛ぶ体験を提供するということではなく、今まで生きてきた街並みを空から見ることが出来たことによってその人が人生における新たな視点を持てることであり、不可能だと思っていた事が実現できたことによってその人自信が果たすべき役割への向き合いが変わることだと考えています。

私達が定義するメタバースは、現実と別に存在する3D空間のことではなく、我々自身に内在する主体的に構築できる世界のことであり、重要なことはそこからのフィードバックがリアルな自分自身に影響を及ぼしヒトや企業を進化させていくということであると考えています。

STYLYが対象とするリアル世界とは

先日、STYLYの「日本6都市向けにAR/MRコンテンツの配信可能」なアップデートの発表を行いました。都市空間という「リアル世界」を対象に、STYLYを用いてAR/MRコンテンツを配信できるようになったわけですが、ここでSTYLYが対象とするリアル世界を改めて整理しておきたいと思います。

我々のミッションである新たな知覚を用いて空間的・肉体的・精神的・物理的な制約を取り除くことで「ヒトや企業の創造する力、内に秘めたクリエイティビティ」を解放する(超能力の解放)ためにSTYLYが対象とする「リアル世界」「現実世界」とは何でしょうか。私たち一人ひとりが認識している人間中心の世界、リアルな自分(ヒトや企業)を起点とした現実世界のことで、それは物理世界(いわゆる現実)とバーチャル世界(実質的な現実)の両方を含んでいます。

物理世界(いわゆる現実)

一つは我々人類が古くから生活するこの物理世界。物理的な肉体を持ち、物理的な制約の中、多くの技術的な進歩により豊かな生活を送れるようになった現実世界のことです。

バーチャル世界(実質的な現実)

もう一つは、テクノロジーにより情報化された現実。自己のアイデンティティがより強化・拡張された世界。インターネットやVRにより自身の内面をより深く表現することが可能になり、より多くの他者とより深くつながることができるようになった実質的現実世界のことです。

これまでのデバイスの進化でより実質的な現実として多くの人々に新たな知覚をもたらしたVRだけでなく、これからのデバイスの進化は物理的な現実世界においても新たな知覚を多くの人々に提供していくことになるであろうと考えています。今回発表した都市空間を対象としたSTYLYのアップデートは、物理的な現実世界に対して新たな知覚をもとに空間レイヤーを日常的に利用する未来をつくっていくための重要な一歩だと考えています。

空間を身にまとうことがライフスタイルになる日

Walkmanが登場したことで我々はライフスタイルの中で音楽とともに生活するようになりました。iPhoneの登場でコンピュータとインターネットをライフスタイルの中で日常的に利用するようになりました。ライフスタイルの中で個別化された音楽や情報を常に身体の一部として取り入れ、我々が常に身にまとっている衣服のように多くの人々はそれら無しに街に出ることはもう想像すらできない時代になっています。WalkmanやiPhoneは「音楽」や「インターネット」を身にまとう時代をつくりライフスタイルを変化させたプロダクトだと言えるかと思います。

XR技術の進化、特に物理的な現実世界に情報を投影することのできるMixed Reality(MR)ハードウェアの進化は、近い将来、日常的にライフスタイルの中でXRデバイスを利用することを可能にしているはずです。利用する人により異なる情報レイヤーを同一の物理現実世界に重ねることのできるMR技術は物理的な現実世界に新たな知覚を提供し、我々が主体的に構築できる世界・自身の中に存在する宇宙、メタバース、を更に広げることになるはずです。

私達はSTYLYを通して、「空間」を身にまとう時代をつくり、ライフスタイルを変化させ新たな文化・産業をつくっていきたいと考えています。

今後、大きく飛躍するリアルメタバース市場

リアルな世界、特に物理的な現実世界が新たなメタバースとして人々のライフスタイルを変革させることによる市場はどれほど大きなものになっていくのでしょうか。

テクノロジーの黎明期、それらは特定の目的のために利用されるところから市場に浸透していきます。コンピューターやインターネットがそうだったように、XRデバイスも研究、エンターテインメント、ビジネスとそれぞれ特定の目的に利用される用途から普及していきました。コンピューター・インターネットの世界では、その後デバイスの進化がスマートフォンを生み出し、特定の目的に関わらず常に起動しネットワークに接続されたデバイスを人々が常時携帯することで市場は大きな変化を遂げました。XRにおいても同様に、進化したデバイスが特定の目的に関わらず常用され物理世界に新たなレイヤーを展開して多くの人々が日常を過ごすようになるのではないかと考えています。

少し先の未来、10億人の人々が一日8時間XRグラスを利用する日常が訪れた場合、XRが作り出す空間レイヤーとの接触時間は累計年間約3兆時間にのぼり新たな巨大市場が生まれるのではないかと期待しています。また、日々生活の中で聴く音楽のように、ライフスタイルの中で現実世界に重なるXR空間レイヤーは、人々の可処分時間を奪い合うものではありません。これはリアルメタバースの持つ大きな可能性の一端を示していると言えるのではないでしょうか。

STYLYの進化の先に目指す「リアルメタバースOS」とは

現在XRクリエイティブプラットフォームとして提供するSTYLYが進化の先に目指す「リアルメタバース」のためのOSとはどういったものでしょうか。

「世界に存在する無限の環世界を自分の宇宙にするためのOS」

それは、物理的な現実世界・実質的な現実世界の両方において、世界に存在する無限の環世界を主体的に構築できる知覚と手段を提供し、「ヒトや企業の創造する力、内に秘めたクリエイティビティ(超能力)」を解放することのできる基盤/OSです。

身にまとう3つの空間レイヤー

具体的に提供する技術基盤を、3つの空間レイヤーに分類して整理したいと思います。

Far:空間表現レイヤー

最も遠くに展開されるFar Layer(空間表現レイヤー)は、主にベースとなる空間自体を規定する役割を担います。物理的な現実世界・VR世界において3次元座標やオブジェクトに紐付いているレイヤーです。現在XRクリエイティブプラットフォーム「STYLY」として、VR・AR・MR全てに対して提供しているXR制作・配信環境はこのレイヤーになります。STYLYがリアルメタバースプラットフォームとして大型アップデートし日本6都市向けにAR/MRコンテンツの配信可能になったのもこのレイヤーでのアップデートになります。Visual Positioning Systemや画像・オブジェクトマーカーを用いて空間座標やオブジェクトの位置認識を利用した表現を複雑な操作なしに利用できる制作環境など、順次STYLYのアップデートを予定しています。

左:STYLY Studio
右:都市空間にSTYLYで表現されたMR水族館

Middle:知覚変容レイヤー

中間層を担うのはMiddle Layer(知覚変容レイヤー)です。ここでは私たちが関心を向ける景色・オブジェクト・人など、物理的な現実世界を認識するための知覚を変容させます。空まで含めた街全体や眼の前にいる人たちの衣服までもが自分の好きなテーマを適用した世界に変わったり、音楽に合わせ街全体がビジュアライズされるなど、視界を変化させることができるようになります。Far Layer(空間表現レイヤー)の主体が、空間表現を担うアーティストや情報提供企業であるのと対象的に、Middle Layer(知覚変容レイヤー)ではその主体がXRデバイスを身に着けた利用者であることが特徴です。AI・コンピュータビジョンを用いたフィルタなどがこちらに該当します。今後、STYLYではコンピュータービジョン等を用いたフィルタ作成のためのフレームワークや簡易に表現を実現できるツールの提供などを行っていきます。

下記のようなMR・ARフィルタで実現できる領域はこのMiddleレイヤーに当たるかと思います。

Snap社のLens Studio

Near:身体機能拡張UIレイヤー

私たちの最も近くに位置するのがNear Layer(身体機能拡張UIレイヤー)です。ユーザーインターフェースを司る層で、物理的な現実世界・VR世界の両方において、各種機能の呼び出しのインタラクションや情報表示ディスプレイなどを担います。今現在スマートフォンで行っている体験が置き換わると考えるとイメージしやすいでしょう。今後、STYLYではScriptableなUIフレームワークや、VR・MRの種類や機種を問わずUIを配信できる環境の提供を行っていきます。

左:MRで手に表示されたUIのコンセプト
右:映画マイノリティ・リポート中のUI

人間中心のリアルな自分(ヒト・企業)を起点とした取り組み

「リアルメタバース」を「人間中心の、リアルな自分を起点としたメタバース」として定義し、XRクリエイティブプラットフォームSTYLYがこれから向かっていく方向を整理したわけですが、私達Psychic VR LabはSTYLY・XRを用いた取り組みにおいても、そのフィードバックが主体たるリアルな自分(ヒト・企業)の秘めたる力を引き出す役割を担えているかが何より大事なことだと考えています。その取組の一部を紹介させていただきたい。

NEWVIEWプロジェクト

ファッション、音楽、映像、グラフィックなど、現代のカルチャーを体現する人々が集まり、STYLYを用いて3次元空間でのクリエイティブ表現と体験のデザインを開拓・拡張していく世界同時多発の実験的プロジェクト/コミュニティ「NEWVIEW」
日本・台北・ロンドンで展開する「体験デザイン」としての総合芸術=xRを学ぶ あたらしい表現の学校「NEWVIEW SCHOOL」
「ポストリアリティとノーノーマル」=<新しい現実>と<普通のない世界>を番組コンセプトとする月1のXR実験番組「NEWVIEW DOMMUNE」

Break the Borderを合言葉に、新たなカルチャーの創造に挑むためクリエイティブ表現をフリースタイルにXR表現し合うコミュニティ活動である「NEWVIEW CYPHER」

その他の取り組み

STEAM学習振興会によるSTYLYを用いたプロジェクトベースドラーニング
STYLYを用いたVRカウンセリングサービスHIKALY
出資:「デジタルツインで人々の生活を豊かにする」Symmetry Dimensions Inc.
出資:「0回目の本番」で世界から試せないをなくす 株式会社エドガ
出資:「VRで、ひと本来のもつ「力」を引き出し、高める」
VRデジタル治療薬開発の株式会社BiPSEE
産官学医工連携 研究開発組織「医療×VR」学

スタートアップ企業の役割と責務

「人間中心のリアルな自分を起点としたメタバース」「リアルメタバース」と定義し、私達の企業が提供していく価値を再整理してみたわけですが、メタバースをはじめとして、これから数十年のテクノロジーと社会システムの進化で我々人類の世界は更に大きく変化していくことになることと思います。

テクノロジーが社会に浸透する上でビジネスという媒質は非常に重要な役割を担います。そして、テクノロジーの社会実装をビジネスとして行なっているスタートアップ企業は、ビジネスでの成功はもとより、社会、ひいては人類の歴史においてもっと大きく重要な役割と責任があるのではないかと考えています。

私たちPsychic VR Labは事業・ビジネスを通して人類の進化に貢献していきたいと思います。

一緒に働く仲間を募集中

Psychic VR Labでは、空間を身にまとう時代をつくる技術基盤として、リアルメタバースのためのOS「STYLY」を共につくっていく仲間を募集しています。あなたの持っている力を、共に未来を創ることに使いませんか。ご連絡お待ちしています。
https://psychic-vr-lab.com/recruit/

Psychic VR Labのサロン型オフィス空間Timemachineにて

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