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敵ハ対岸ニアルノカ。敵ハ新横浜ニアルノカ。

「これでは優勝するのは無理だと感じている。」

「改善したり修正するのは当たり前の話で、それは先のこと。」

「この1試合に関して言えば、これで優勝するのは難しい。そこは声を大にして言いたい。」

3月に行われたホーム浦和レッズ戦(第10節)の試合後コメント。

まだリーグ4試合目。



「最後どうなるかわからないが、最終節まで可能性がある。」

「粘れているということに対してそこまで評価というのはなくて、言ってしまえばこの勝点しか取れていないのは今年ダメなところ。」

これは、第33節ホームヴィッセル神戸戦の試合後コメント。


このコメントは誰か。


これまでに経験したことのないシーズン


過去の栄光にスガルわけではない。


そんなことはどこの誰よりもフロンターレサポーターが分かっている。

20年、21年中盤までの圧倒的な強さ。

言ってしまえば、今シーズンはあの輝きはなかった。

あの強さを象徴していた、三笘薫、田中碧、旗手怜央が海を渡ることになる。

その前には、レジェンド中村憲剛が引退。

もう1人のチームの心臓であった守田英正もポルトガルへ。

これだけのメンバーがチームから離れた。

また、21年シーズン終盤には守備で獅子奮迅の活躍をしていたジェジエウが大怪我を負い。長期離脱。


あの時の強さはなかった・・・のではなく。

あの時のフロンターレはもういないが正しいかもしれない。



他チームの選手に、

「今のフロンターレは絶対王者ではない」とまで言われた。



追い討ちをかけるように、コロナがチームを襲った。

アウェイ浦和レッズ戦。

メンバーが足りずGKの安藤と早坂がFPのユニフォームを着ることになった。

1-3で負けた。


ACLはグループリーグ敗退。

天皇杯は東京Vにホームで敗れた。

ルヴァン杯はホームで逆等々力劇場を食らい、C大阪に敗れた。

リーグ戦、4年ぶりの連敗を喫した。



チームがバラバラになる瞬間なんて山ほどあった。



長い連敗をして下位に沈むことだって不思議ではなかった。



でも崩れなかった。



「どうして相手は"フロンターレ"と戦うのか。」


王者として見られた。

リーグ3連覇がかかっている。

そんなことは誰でも知っている。


対戦相手は、

フロンターレが首位であろうとなかろうと

王者叩きをしてきた。

モチベーション高く向かってきた。


思っていた。


「相手はどうして"フロンターレ"と戦うのか。」

「別に首位でもなんでもない。そして、これまでの強さはない。」

「なぜそんなにもモチベーション高く向かってくるのか。」


ただ、実際思いっきり叩かれた。

アウェイ横浜F・マリノス戦、2-4●

ホームC大阪戦、1-4●

ホーム湘南戦、0-4●

・・・。

その他にも、落とした試合はある。

敵は、川崎フロンターレだった。


でも、俺たちの敵とは。


敵ハ対岸ナノカ。敵ハ新横浜ナノカ。


最終節、多摩川クラシコ。

首位と勝ち点2差。

逆転優勝。

いや、


奇跡の大逆転優勝には勝利が絶対条件であり、

首位が負けないとその実現は不可。


敵。

それは対岸にはないはずで。


敵。

それは新横浜でもないはずで。


本当の敵。

それは、フロンターレサポーターが一番知っている。


この20年。いや、20年以上向き合ってきた。


他とは比べられない。

そんなことは分かっているけど、

俺たちが一番向き合ってきた。その敵と。



直近2シーズン。


国内敵無しとまで言われたが、


これまで通り敵はいた。


敵はいたし、

その敵を自分達で大きくし強くして、


その敵を上回ろうと戦い続けた。


プレッシャーがない過去2シーズンだったのか。


ふざけるなと。

一番プレッシャーがあった。



先日の第33節ヴィッセル神戸戦。

こんなところで負けるわけないと思っていた。


感情を露わにする41番

今シーズン。

チームを引っ張ってきたのは誰か。

ホームヴィッセル神戸戦。

あんなにも前線で泥臭く戦い。

あんなにも感情を剥き出しにする。

あの41番。

君は見たことがあったか。


君はその姿を目に焼き付けたか。

このnoteの冒頭に記載した試合後のコメント。

あれは、川崎フロンターレの41番である。

シーズン開幕当初、「優勝は無理だ」とチームに苦言を呈した。


ただ、シーズン通して引っ張ってきたのは誰か。

41番が、川崎フロンターレで戦っているという事実。


これは幸せなことだと。

同時にどこか、

このチームにいることを不思議だとも。

今シーズン通して、あらためて感じることとなる。


最後の一瞬まで戦う意味とは

他会場の結果なんてどうでもいいんだ。

目の前の試合と向き合い勝つ。

これは、川崎フロンターレが何年も挑戦し積み上げてきたものである。


特に20シーズン。21シーズン。


そして、22シーズン。


目の前の試合。


それは、何か。


相手ではない。


己。川崎フロンターレ自身である。

チームを引っ張ってきた41番のコメント。

いつの間にか、


強烈な矢印を自分達に向けていた。


ここに最後の1秒まで戦う意味がある。

強くなるために。

この先も強くあり続けるために。



俺たちは今日、味の素スタジアムに乗り込む。












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