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小説版禍話01「段ボールの家」

 そこの町内会長――仮に、石井、としておこう――は、面倒見が良いタイプだった。
 だから、山を切り崩して建てたその新築住宅に若い子連れの夫婦が入ってきた時も、石井はすぐに挨拶に赴いた。
 その夫婦――ここでは真壁夫妻と呼ぶ――は、夫の真壁は三十代半ば、妻の沙希は三十に差し掛かるかどうか、といったところで、二人の間にはまだ小学校に上がらない年子の息子と娘がいた。
 その家は平屋だがなかなかに立派で、庭には砂場も作ってある。
 若いのに大したもんだ――と思いながら、石井は真新しい表札の隣にあるチャイムを押した。
 インターホン越しに名乗ると、すぐに玄関の扉が開かれ、真壁が顔を出した。
「どうも、町内会長やってます石井です。まあここも長いですので、何かあればいつでも」
「ありがとうございます。あの、もしよろしければ」
 真壁はそう言って扉の奥を示した。
 そうですか、いや少しご挨拶と思っただけなんですが、ではお言葉に甘えて、などと言いながら、石井は真壁家に足を踏み入れた。
 中に入ると、新築独特のすっとした香りが鼻をくすぐる。和室もあるのだろう、い草の香りが混じってるように感じた。
「新築のにおいだ。いやぁ、いいですね」
 立派なお宅だ、なんて褒めちぎりながら、通された部屋は応接間のようだった。
 促され、ソファに腰掛ける。少しお待ちくださいね、と真壁が外したので、石井は手持ち無沙汰になり、部屋をぐるりと見渡した。
 入って左の壁に本棚があった。なんとはなしに眺めると、半分ほどは真壁の趣味だろうか、カメラの撮影技法についての本が並んでいた。
 まあ、子供が可愛い盛りだからな、その記録を残しておきたいよな、と石井はひとり微笑んだ。
 本棚のもう半分は、いわゆる「スピリチュアル系」のようなタイトルが並んでいる。と言っても、宗教的なものではなく、太陽にありがとうといいましょうとか、まあそういった類のものだった。
 これは沙希の方の趣味なのだろうか。女性はこういうのが好きなのかな、と、そう若くもない石井はやや古い価値観で納得した。
 やがて、真壁が沙希を伴って応接間に戻ってきた。
 シンプルだが品のいいカップに紅茶が注がれる。
 そしてしばし雑談を交わしたのだが、ここで石井は、すこしの違和感を覚えた。
 話していると、時々主語がわからなくなったり、時系列がおかしくなることがあるのだ。「それは、さっきの話の前のことですかね?」なんて、聞き手が補足しながら聞かないと、ちょっと意味が取りきれない、ということが、十数分話していて、四、五回ほどあった。
 ――なんだろう、話すのが下手なのか……?
 とはいえ、こちらの話は通じていたし、まあ、よくある若い夫婦だろう。そう石井は判断した。
 帰り際、庭を見ると年子の子供達が砂場で遊んでいた。
 微笑ましい光景に頬が緩みながら、さようなら、と声をかけると、元気な声で「さよならおじちゃん!」と返された。
 仲の良い夫婦、可愛く元気な子供達、立派な家。
 絵に描いたような幸せな家庭――それが石井の、真壁家に対する第一印象だった。
 
 それから二ヶ月ほど経った頃。町内会議がお開きとなったタイミングで、真壁家の隣の住人が石井に声をかけてきた。
「真壁さん家、お子さん二人だったと思うけど、最近妹ちゃんの方しか遊んでるの見ないんですよ。何かあったんですかねぇ。一応、真壁さんにも直接聞いたんですけど、どうも要領を得なくって」
 ――虐待、ではないのか。
 言外にそう言いたいのは石井にも分かった。だが、虐待をするような、そんな夫婦には見えない、というのが石井の素直な気持ちだった。
 しかしまあ、息子の姿が見えないというのは気になる。
 その場では、そうなんですか、私も真壁さんに会ったら聞いておきますね、と話を済ませて、石井も自宅に戻った。
 その翌日か翌々日、石井はたまたま真壁を見かけた。
「真壁さん、どうも」
「ああ、石井さん、ご無沙汰してます」
 先日はどうも、いやいや、最近どうですか、と、どうでもいい言葉の応酬をしたのち、真壁が、
「そうだ、紅茶のいいのがあるんです。良ければ」
 というので、石井は再び真壁家を訪れることになった。
 家に着くと、庭では女の子が元気そうに遊んでいる。だが、年子の兄の方は、確かに見当たらない。
 また応接間に通されて、紅茶を出される。
 いいの、と言っていたが、石井は正直紅茶の味の良し悪しはわからなかった。
 夫婦の話は相変わらず、微妙に要領を得ないものだった。
「――ところで、お庭に妹ちゃんしかいなかったですけど、お兄ちゃんは幼稚園ですか?」
 話の途切れたタイミングでそう聞いてみると、真壁はへらりと笑って
「あー、まあまあ元気にやってますよ」
 とだけ答えた。
 家に上がってみても、虐待や犯罪の臭いはしない。
 ――もしかすると病気か何かして入院しているとかで、それをあまり周りに知られたくないのだろうか。
 そんなことを考えていると、石井は急激に尿意に襲われた。
 注がれるままに紅茶を飲みすぎてしまったようだ。
「すみません、お手洗いは……」
「ああ、あっちの奥に」
「どうも、ちょっと失礼します」
 示された廊下の奥に向かうと、トイレの手前、間取り的には一番奥の部屋だろう、その和室の襖が開いていた。
 通りすがりに何気なしに覗くと、その部屋は何もないがらんどうだった。
 ただ、段ボールが。
 
 段ボールが、部屋の四隅に一つずつ、ポツリポツリと置いてあった。
 
 ――よくわからんな。
 その時は段ボールよりも尿意の方が意識を占めていて、石井は足早にトイレに入った。
 用を足していると、夫婦のどちらかが応接間から出てきて、なにかしているような物音が聞こえた。
 トイレから出て、応接間に戻りしな先程の和室を見ると、襖が閉まっている。
 ああ、さっきの音はここを閉めにきたのか。何か掃除中とかで見られたくなかったのかもしれない。それは悪いことをしたな。
 そんなことを思いながら、その日は真壁家を後にした。
 
 石井の趣味はジョギングだったが、ここのところは真壁家の前を通るルートにしていた。
 わざわざ見に行くのもアレだが、ずっと気にはかかっていたからだ。
 その日は、前回の訪問から一週間も経っていなかった。通り掛かりに真壁家の庭を見ると、今日は誰もいない。
 いつも石井が通り掛かる時間帯には、庭で子供が遊んでいるのだが。
 砂場には、遊んでいる途中でそのまま置いて行ったように、小さな子供用のスコップが刺さっていた。
 石井は足を止めて、水分を取りながら無人の庭を眺めていた。
「いってきまーす」
 女性の声がしてそちらを見ると、玄関から沙希が出てきたところだった。
 沙希が一人で出かけるところを見るのは初めてだった。
 専業主婦だと思ったけど、どこに行くのだろう。まあ、買い物だろうか。
 沙希は石井には気付かずに、車で出て行った。
 車の走り去った方向を目で追っていると、
「あれ、石井さん!」
 ふいに呼びかけられ、完全に気を抜いていた石井はびくりと肩を震わせてしまった。
「いやどうもどうも」
 玄関からこちらへ歩いてくる真壁は――おそらくだが、前回会ったときから風呂に入ってないようだった。
 髪はテカテカと脂ぎって、白いフケが散っている。髭も疎らに伸びているし、着ているポロシャツもよれていて、全体的に不潔な印象だ。
 ――一体、どうしたんだ……?
「ジョギングですかーいいですねぇ。そうだ、喉乾いたでしょ? お茶でもほらほらどうぞ」
 真壁は常と変わらぬ、いや、いつもよりややテンションが高いような、矢継ぎ早な話し方で石井を家へと招き入れた。
 玄関でふと見ると、サイズの違う子供の靴が二足、並べて置いてあった。
 ――ということは、子供たちは家にいるのか?
 しかし、家の中には真壁と石井以外の人の気配は感じられない。いつもの応接間に通されるが、真壁はなぜか電気もつけてくれなかった。
 どうぞ、とコップを置かれる。麦茶か何かのようだ。
 手に取ってみると、そのコップは――明らかに洗っていないものだった。
 白く汚れ、はっきりと、唇の跡が付いている。
 石井はなるべく気にしないそぶりでコップを卓上に戻した。
「今日はおちびちゃん二人ともいないみたいですけど、どうしたんですか?」
 努めて明るい声音で切り出す。
 すると真壁は笑顔で口を開いた。
「すごく良かったじゃないですか、仕事」
 ――は?
 石井の問いかけを無視して、真壁は一人勝手にベラベラと話し出した。
 その話というが、これまでの比ではなく支離滅裂で、分かりにくいものだった。質問をして意図を確認しながらでないと、とてもじゃないが理解できない。
 石井はなんとか粘って話を聞いた。三十分はかかっただろうか。
 真壁の話を要約すると、自分たち夫婦は仕事をバリバリやっていたけど、病気になってしまい会社からクビを切られて、その時期は精神的にも非常に参っていた。そのときに「とある人」に出会って、自分たちはすごく救われたのだ、ということだった。
 その「とある人」がスピリチュアルなのかなんなのかわからないが、話の中で真壁は、
「その人の教えを、自分たちの身の丈に合わせてカスタマイズしてる」
 というフレーズを何度も繰り返した。
 ――身の丈に合わせてカスタマイズってなんだよ、それって結局好きに変えてるだけじゃないのか? よくわかんねぇな……。
 しかし、真壁の様子はどう見ても尋常ではなかった。これはなにか犯罪に加担しているのか……あるいはカルト宗教だろうか。
 応接間に真壁と二人でいるのがなんだか耐えられなくなって、石井は逃げるようにトイレに立った。
 廊下を進むと、またあの和室が開いてた。
 
 と、四隅の段ボールが、二つになっている……?
 
 応接間の方をちらりと見てから、石井はそっと和室に入った。
 一番手前の段ボールを見ると、新聞紙がパンパンに詰められている。しかも、最近の新聞ではなく、わざわざ集めたとしか考えられない、昭和の古新聞だ。
 嫌な予感に駆られ、段ボールをそっと持ち上げる。
 す、と抵抗なく持ち上がったその重さは、ちょうどその分量の新聞の重さはこんなものだろう、というくらいで、例えば――死体、とかが入っている可能性はなさそうだった。
 段ボールを元に戻して、用を足して、もうお暇しよう、と応接間に戻る途中、外から車の音がした。
 廊下の窓から覗くと、沙希が帰ってきたようだった。
 ずいぶん長いこと真壁に捕まっていたな、と思いながら、ふと車の後部座席に視線を移すと、
 
 ――ものすごい量の段ボールが積んであった。
 
 それを見た瞬間、ゾッと背筋が凍った。
 スーパーなどに置いてある段ボールだとしても、一店舗では到底足りない量だ。至る所からかきあつめたのか?
 その後、どうやって真壁家を後にしたか、石井は覚えていない。
 ――あれはなんだったんだ? なんで段ボールを?
 家に帰っても、なにがなんだか全然わからなかった。
 とりあえず、子供が二人ともいないのは確かで、虐待があったかもしれないということで、市役所勤めの知人に相談し、一緒に真壁家を訪れることになった。
 
 二日後の朝、石井は真壁家の前にいた。
 市役所の人間数名と連れ立って真壁家を訪れたのだった。
 相変わらず庭には子供たちはおらず、あのスコップも刺さったままになっていた。
 車は駐車場に停めてある。
 在宅だろうと踏んでチャイムを鳴らすが、誰も出ない。
 ――おかしい。
 石井がドアノブに手をかけると、ガチャリ、と抵抗なく扉が開いた。
 顔を見合わせ、しばし逡巡したが、そのまま中に入った。
 失礼します、と声をかける。
 玄関には夫婦の靴と二人の子供の靴が揃っているが、誰かいる気配はない。
 家に上がり居間に入ると、ダイニングテーブルに、携帯電話、家の鍵、財布、全部置いてあった。
 ――なんだ、これは……。
 一家心中か、とも思ったが、それにしてもおかしい。遺書どころか、メモすらもない。
 こうなると市役所ではどうしようもないということで、警察を呼んだ。
 しばらくしてサイレンを鳴らさずにパトカーが到着して、家を捜索したがなんの手がかりもなかった。
 どうにかご家族か親戚を調べて連絡しましょう、と話していると、
「んん、なんだぁ?」
 廊下の奥から、若い巡査の声がした。
 皆で行ってみると、
 
 例の和室に四隅に、段ボールが四つずつ積まれていた――。
 

「それがこれから行く段ボールの家です」
 鈴木が話し終えると、車中の空気は重く沈みきっていた。
 K大学の某サークル。
 学部生から、とっくの昔に卒業した三、四十代のOBまでが遊びくるような、よくあるゆるいサークルである。
 このサークルでは、夏の心霊スポット探訪が定番になっていた。
 あまりにも頻繁に行くものだから、有名どころやメンバーの知っているスポットには概ね行き尽くしてしまい、最近では、メンバーの友人やら、そのまた友人をゲストで呼んで、そいつの案内で未知の心霊スポットに訪れる、というのがお決まりだった。
 それで、今回のゲストが鈴木だった。
 出発するときに、今日のメンバーの中では年長である吉野が、「今日の心霊スポットのタイトルは?」と聞くと、鈴木は、
「段ボールの家です」
 と答えた。
「段ボールの家って!」
「ホームレスの溜まり場ってことかよ」
 メンバーが笑いながら口々に言うのを、鈴木は飄々と受け流して、この長い物語を語ったのだった。
「いや……ガチかよ!」
 今日鈴木を連れてきたサークルメンバーの加藤が、冗談めかしてそう笑ったが、その笑いはすぐ力なく小さくなった。
「あと、言ってなかったんですけど」
 凍りついた空気の中、鈴木が再び口を開く。
「その後、家にあったカメラを警察が調べたら、ほとんど子供とか家族の写真なんですけど、一枚だけわけわかんない写真があったらしいんですよ」

 それ、その和室の写真で、四隅に一個ずつ段ボールがあって、その中から夫婦と二人の子供がそれぞれ顔だけ出して、無表情で手を振ってる写真なんですって――。

「――……」
 車内は、いよいよ無言になった。
 誰も言わなかったが、きっとみんな、その写真を想像していた。
「……子供ならともかく、段ボールって大人が顔だけ出せるような深さはないし、夫婦も子供たちも全員写ってるなら、いったい誰が撮ったんですかね」
 鈴木がそう呟いたとき、車が止まった。
 
 小綺麗な家の前に、みんなで立ち竦んでいた。
 これが「段ボールの家」――。
 恐る恐る近づくと、鍵は開いていた。
 意を決して中にはいる。すると、意外にも綺麗で、今からでも住めそうなくらいだった。
 失踪ってことなんで、帰ってきたときに備えて親戚かなんかが手入れはしてるって聞きました、と鈴木が言った。
 人というのは慣れるもので、例の和室も見たが段ボールはないし、部屋は綺麗だしというので、だんだん怖さを感じなくなった。
 二階もないから、すぐに見るところがなくなって、そろそろ帰るか……という空気になったとき、一人、足りないことに気付いた。
 今日のメンツで一番若い、学部生の佐藤だ。
 「今日初参戦です!」なんてはしゃいでいたが、いつのまにか姿が見えなくなっていた。
「おい……」
 誰かが、来た時には開いていたはずの、例の和室の襖が閉まっていることに気付いた。
「佐藤じゃねえの?」
「でもあいつそんなキャラじゃないだろ」
「そうだよ、それに冗談だとしたら早く見つけろって出てくる頃だろ……」
 口々に言い合って、探り合うような空気になって、結局全員で和室を見に行くことにした。
「へー……そうなんですね……」
 近付くと、ぶつぶつぶつぶつ、一人で話している声が聞こえた。
 その声はたしかに加藤のようだった。
 誰かに相槌を打って、何かに納得している……?
 意を決して、バン! と襖を開くと、
 
 部屋の隅におでこをぴったりとくっつけて
「ほー! はぁー! なるほど!」
 と大袈裟に納得しているような声をあげる、佐藤がいた。
 
 ――やばいやばいやばい!!
「おい! 佐藤! お前なに、なんだよ!?」
 吉野が声をかけると、
「だから今話してるところじゃないですか家の人と!」
 すごい剣幕で佐藤が怒鳴る。
「い、家の人って、そこ、壁の隅だぞ、おい」
「いろんな形の幸せがあるって話を、今してるところなんですよぉ!!」
 佐藤の声はもはや絶叫に近い。
 やばい、これはやばいぞ帰ろうということになり、数人がかりで佐藤を家から引きずり出した。
 その間も佐藤は狂ったように喚き散らした。
「いやだから、いま幸せについて話しているところですよ!」

「俺の身の丈に合った幸せはどういうことかって話をしてるところじゃないですか!!」

 暴れる佐藤を車に押し込めて、なんとか帰路に着くことが出来た。
 車の中でも佐藤は、
「なんでそうさあ、足を引っ張り合うみたいなことしたらさあ、幸せとかさあ、見えてきませんよ」
 などと、ずっと不満を垂れ流していた。
 下手に反論するのも怖くて、たまに誰かが「ああ、そうだね」などと相槌を打って、佐藤を家の近くで降ろしてやっと全員がひと息ついた。
 あまりのことに誰も帰りたがらず、そのまま残りのメンバーでファミレスに入った。
 ファミレスの雑音でだいぶ気は紛れたが、佐藤を一人家に帰したことが気がかりではあった。
「あいつ……死んでねえよな……?」
「いや、まさか……」
 あいにくと、翌日から大学が夏休みだった。
 電話しようか、とも思うのだが、最後に別れた時のことを思い出すと、電話してあの調子でキレられたら堪らない……そんな風に、みんなが佐藤のことを、腫れ物のように避けていた。
 
 夏休みが明け、サークル棟でみんなが集まると、自然と話題は佐藤のことになった。
 佐藤はその日、学校に来ていなかった。
「あいつと連絡とったやついるか?」
 そう聞いても、誰も連絡を取っていなかった。
 と、そこに佐藤と同級生の女の子がやってきた。
 サークルにはたまに顔を出すが、あの日は実家に帰っていたはずだから、当然、今回のことは何も知らない。
「マキちゃん、佐藤なんだけどさ、最近あいつ見かけた?」
「あ、見かけましたよ、昨日。元気そうでしたよ」
 そう聞いて、各々がホッと息をついた。なんだ元気なのかよ。それは良かった。
「どこで見かけたの?」
 マキちゃんと呼ばれた子は思い出すように右上に視線を巡らせて言った。

「家電量販店で見かけたんですけど、なんか裏口から出てきて、いっぱい段ボール持ってました」

 全員、ザーッと血の気が引いた。
 佐藤は結局それを最後に失踪して、今もどこでどうしているかわからない。


※本作品はツイキャス「禍話」より「禍話 第三夜(2)」に収録の「段ボールの家」の話を小説風にリライトしたものです。
https://twitcasting.tv/magabanasi/movie/304903364

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