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【日記】読んだり食べたり

金曜、在宅でいいやと半ば諦めて9時半にアラームをかけていたのに、目が覚めると8時50分で、頑張れば間に合うな…と少し悩む。偏頭痛と一週間分の疲労が溜まりに溜まって身体が重い。結果、ここまで頑張ったからあとひといき、の精神で出社。ドトールでアイスの黒糖ラテを買って無事に腹を下す。きついといえばきついが、自然起床だったからかメチャクチャ眠い、というわけでもない。トイレを往復しながら仕事して、定時になるなり逃げるようにしてオフィスを出た。

無事に完走した金曜のビールはひときわ美味しい。コーヒー屋で1杯やりながら常連の女性とオーナーと談話。しかし飲みたい気持ちと裏腹に、連日の睡眠不足が祟って身体は既に満身創痍、おまけにひどいドライアイで、その一杯だけで店を後に。帰宅していつも通りホットサンドを食べながら脳死で観られるアメトークなんかをTVerで視聴して、0時半すぎに気絶した。今週は本当に良く頑張ったと思う。

土曜、目が覚めると10時すぎ。もう少し早く起きる予定だったが仕方ない。換気ついでに窓を少し開けるとうすら寒い。曇天も相俟って一気に年末の空気感だ。洗濯をしながら支度をし、家を出る。今日は約一年振りの文学フリマ。

浜松町からゆりかもめに乗って会場へ。入場列に並んで歩いていると、目の前を柄シャツ黒マスクの青年。おしゃれな子だなあと思いながらエレスカレーターを登り切ると、「突然すみません、幽体コミュニケーションズのライブにいつもいらっしゃいますよね?」と、その青年に話しかけられるまさかの展開。聞けば、自分が仕事で主催していたイベントに来てくれていた熱心な幽コミファンの人らしく、そのイベントと翌日の公演(自分はゲストで観覧させてもらっていた)で自分の姿を見たので話しかけずにはいられなかった、とのこと。イベント来てもらってありがとうございます〜とお礼を述べてそれぞれの方向へ。Xのアカウントとか聞けばよかったのかもしれないけど、なんか驚きすぎて頭に浮かばなかった。

今回の文フリ、最大の目当ては吉田棒一さんのTwitter語録とマンスーンさんの食エッセイ。移動中、棒一さんが「飛ぶように売れている」とツイートされていたのでヒヤヒヤしたが、まだ瓦一枚分ぐらいは積まれていて安心。今年の初めにDMで「今年こそちゃんとお会いしましょう」と会話していたので、滑り込みながら文フリで念願叶ってお会いできたことが嬉しい。思えば初めて「日記本」と分類されるものを読んだのは、棒一さんの『心臓日記』だったかもしれない。いかれた文章を書く方(褒めてる)だから、どんな堅物な人なんだろうと思っていたけれど、寄稿の相談をさせていただいたことに触れ「またいつでもご用命ください」とおっしゃってくださった。吉田棒一は身長2メートルの大男。

続いてマンスーンさんのブースへ。こちらはかなりギリギリで、新刊は予想通り即完だった。危ない。ふっくらすずめクラブで3日に一度観ているマンスーンさん、良い意味で人間らしさがあるというか、少したどたどしい雰囲気だったり、緊張気味の面持ちだったり、「画面の中の人」とは思いきれないリアルさがあって、ああやっぱりこの人好きだなと思った。それはマンスーンさんに限らず、バーグハンバーグバーグの社員の多くに共通しているオーラだと思う。最近で言えば加藤さんの「友達できない論」がすごく共感できる内容だった。学生時代は自分に自信がなく、悲観的なあまりに被害妄想をしてしまいがちで、人との付き合い方がよくわからなかった。今は縦横の繋がりで少しずつ改善されていると思う。

マンスーンさんのエッセイを購入して、ご本人に「12月のBONUS TRACKも行きます」と伝える。この日はシクロさんも日記。さんもいらっしゃるから楽しみだ。そう思ってしばらく入場口前をふらついていると、後ろからいきなり肩を叩かれ、びっくりして振り返れば日記。さんが!まさかこんな人混みの中で、しかも日を待たずして再会できるとは。日記。さんもマンスーンさんのエッセイを狙っているということで、ブースの前まで戻る。こういうのは絶対に一人で回った方が楽しいから、じゃあまた、とご挨拶をして見送った。

Xで相互フォローしている方が寄稿されている「中華料理」をテーマにした短編を買いに行く。ちょうどお一人でブースに立たれていて、自分の顔を見てすぐに気付いてくださった。冊子のタイトルは『びゃんびゃん』。まだ他の方の部分しか読めていないので楽しみ。

それからぐるりと回っていると、『緑黄日記』でおなじみ、水野らばさんのブースにたどり着いた。日記本が二冊置かれていて、少し試読をさせてもらい両方購入。「Xの投稿いつも見てます」と言ったら、「何か聞きたいことありますか?」と問われ、うんうんと悩んだ挙句、「用意してなくて…」と申し訳なさげにしながら笑った。今まで旅行で訪れた中で一番良かった場所とかを聞けばよかったが、きっと日記の中に隠されているのかもしれないので、どちらでもいいかと思えた。

最後に新潮社の人間失格Tシャツを購入。ダンボールに詰められたままだったので何度も素通りしてしまったが、退場間際に見つけられてよかった。本来の定価は¥3,000だが、サンプルのものを購入したので¥1,000になった。これぞフリマ価格だ。そういえば文フリって書籍以外も売れるんだな、と思ったけど、確かに「自分が文学だと思うものを売れる場所」をコンセプトに機能している場所だから、別に反しているわけではないのか。

1時間半ほど滞在して会場を後にする。思っていたよりも色々な方とお話できたのと、単純に人酔いでかなり疲れてしまった。帰路、電車に揺られながら棒一さんの『Twitter』を読んで、顔を下に向けながらクスクス笑いが止まらなくなる。言葉が強いし、下品なのに「ギャグ」の中で留められている、しかもそれが狙って言ってる風に捉えらず、あくまで口からポッと出、ひとりごとのように感じる。本当にセンスの人だと思う。

新宿まで戻り、ルミネのAUX PARADISへ寄る。基本香水は付けない(ビアバーだったり、匂いに敏感な店へ行くことが多いので)のだけど、AUX PARADISのオスマンサスだけは通年纏っていたいほどの香りで財布に余裕がある時は買うようにしている。レジに並ぶと前に5人ほど。ルミネカードは、当店のポイントカードは、有料の手提げ袋は、などと並んでいる客それぞれにいくつもの確認事項を聞いていて、何回復唱して身体に染みつかせたのだろうか…と思った。

最寄りへ着くともう17時すぎになっていて、一旦ドトールを経由してからコーヒー屋へ行く。しかし寒い!ビールを頼んだはいいものの、この日も1杯程度で帰宅してしまった。家に着くなりすぐに風呂を沸かす。恋人からもらった土産の入浴剤を入れて全身浴。風呂から出て、ホットサンドを拵えて食すも、いよいよ飽きてきたかもしれず、これまであった「うますぎる!」みたいな感動がなく、ショックだった。あと買い込んだ発泡酒をいくら飲んでも酔えずにいて、土曜の夜なのになんとなく消化不良のまま23時頃に眠った。

日曜、昼前に起きて、通いつけの表参道にある美容室へ。やっと来れて嬉しい反面、担当の美容師さんにはキャンセルを繰り返してしまって申し訳ない気持ちもあり、ずっと来たかったんですけどタイミング合わなくてすみません、と陳謝。男性の美容師さんなのだが、腰まで伸ばしていたロングヘアをばっさりと肩上までのボブに切り揃えていて爽やかさが増していた。表参道にありながら、店内BGMはoasisのライブ盤だし、『女の園の星』とかスタッフ各々が好きな漫画が陳列されているし(カラー中に読ませてもらえる)、おすすめの飲み屋や音楽の話をしたり、気張っていない空気感がとにかく好きで、「髪を切りに行く」よりも「この店に来たいから行く」といった感覚の方が近い。

久々の担当さんカットは暗めのショートボブにモスグリーンの色を混ぜてもらった。髪が短いと心も軽い。自分の髪質や好みを知り尽くしているプロの手にかかるのは、やっぱりそうでない時と違って段違いに幸福度が高い。そして自分はやっぱり短い方が似合うな〜と思う。原宿駅まで戻り、JRを乗り継いで高円寺『小杉湯』を目指す。自律神経を整えないとこの先一週間持たない気がした。

小杉湯に着くなり、暖簾がすみっコぐらしとのコラボ仕様になっていることに気が付く。中に入ると、やはりすみっコ目当ての子供たちアンド親御さんで賑やかな雰囲気。大浴場にも所々にすみっコの防水マスコット。全身にタトゥーがびっしり入った外人の女性がいて、カッコいいなと入浴中から見惚れていたが子供の声に掻き消されそうで話しかける勇気がなく、互いに出て着替え終わったタイミングを見計らって素敵ですね、と話しかける。アリガト〜と日本語で言われたのち、英語で「実は彫り師なんだ」と伝えられる。彫り師は自分の身体が練習台になるので腑に落ちた。それにしてもすごい。自分はこれ以上増やす予定は現状ないけれど、素敵だなと思った。

小杉湯を出て、ホカホカに温まった身体で総武線に乗り吉祥寺へ。恋人のバイト先であるビアバーに行く約束をしていた。着くと自分が二番目の客で、ニュートラルケースの時にお会いしていた社員の女性に「この度は交際おめでとうございます」と祝われながら一緒に出迎えられる。ご懐妊じゃないんだから。うちゅうブルーイングのHAZY IPAをまずは飲み、「ACID HOUSE」という名前の缶のサワーIPAを恋人と一緒に分け合って飲んだ。途中から彼の友達も合流してきて、三人とも音楽という共通言語があるので、その辺りの話を少ししてから、「来週学祭楽しみにしてますね」と伝えて先に店を出た。

最寄りへ戻り、外食欲が高かったので肉と麦に行く。自炊がおいしくない、と感じる時は大体「人から提供される食事」に飢えているのだという持論。ひみつビールとWateringholeのゆうやさんがコラボして作ったラガー、「しのビター」とポテトサラダを注文する。ブラウン系やポーター、スタウトなんかは基本あまり好まないのだけど、しのビターは口当たりが軽くてすっと飲める味。それでいて料理にもしっかり合う。揚げ物だとペアリング的にはもっと良かったかな、でもポテトサラダの周りに添えられた固茹での卵と生ハムの塩味やちょっとした燻製感もビールの味を引き立たせていて正解だったと思う。

もう少し同じ店で飲みたかったが、珍しく団体予約が入っていてほぼ貸切になるということなので、スタッフの手間にならないよう会計する。どこ行こうかなと思いながらインスタを眺めていると、LUGが空席出たとのこと。家から一番近い人気のビストロ。行かない手はない。

LUGに着くとちょうど会計待ちのタイミングで、入口側の席で先にビールと季節のスープ、それからバタールを頼んで待つことに。ビールはバテレのスタウトが繋がっていて、8%と比較的ハイアルだったが、もう身体もまた冷え切ってしまったので高い度数飲んで早々に酔ってしまおう、の方が強かった。苦手意識のあるスタウト、多分気温バイアスで美味しく飲めている節がある。季節のスープは自分が大好きな南瓜。優しくほっこりする味でとてもおいしかった。しかしそれよりも、同時に提供されたバタールの味にほとほと感動。元々ハード系のパンが好きというのもあるけれど、バター控えめで、小麦の香りがとても豊かで、素朴だけれどそれがワインともビールとも相性が良く思えた。どこから仕入れているんだろう。来週末にまたLUGを訪れる予定なので、酔っていない状態でもう一度食べたい。

最後にきのこのスキレットオムレツを食べて会計。LUGで一番美味しいのはこのスキレットオムレツ一択で、具材は仕入れ状況ごとに異なるのだが、やけどしながらでも食べたくなるほど。人気店なので、周りを見ればカップルか女子会グループが大半なのだが、気に留めずカウンターで黙々と食と酒と向き合う時間がとてつもなく贅沢だと思う。「いつもめちゃくちゃビール飲む人」で覚えられているので、粗相をしないよう気をつけながら定期的に通いたい。

お腹も十二分に満たされて帰宅。摂食ながら、なんとか生きていられるのは街に定期的な栄養補給をしてもらっているからだと思う。これから冬本番、ビール党且つ極度の冷え性にとっては何より堪える時期が始まる。バイト終わりの恋人は吉祥寺の立ち飲み屋にいたようで、冷蔵庫にストックしていた氷結を飲んでると、会いに来てくれてありがとう、大好きだよ、と連絡があった。酔うと感情のフィルターがガバガバになるところが可愛いなと思う。今週は副業のシフトが平日深夜に2日分と土曜の日中に入っている。楽しみにしているライブもあるし、先週よりかは頑張れそうだと思う。