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【コント】こんな青春は嫌だ


【登場人物】
山田慶太♂:大学一年生経済学部
瀧本奈緒♀:大学二年生法学部
西山諒♂:大学三年生教育学部
3人同じサークル。西山がサークル長




明転。舞台上に山田一人。フリップをめくりながら、演劇っぽくオーバー目に腹式呼吸で声出す。

山田「こんな青春は嫌だ!クラスメイトが全員親戚だ!
こんな青春は嫌だ!遅刻しそうになって食パンくわえながら走っていたら、曲がり角でぶつかったのが朝練中の柔道部だ!
こんな青春は嫌だ!校長が大きな鳥に乗ってやってくる!
こんな青春は嫌だ!学校指定のセグウェイで登校する!
こんな青春は嫌だ!学校で唯一強豪の部活がチアリーディング部だ!
こんな青春は嫌だ!スクールカーストの制度が校則で規定されている!」

暗転。明転。サークルの新歓コンパにて。
山田「えー、経済学部一年山田慶太、趣味は深夜ラジオとかお笑いを見ることで、バナナマンさんが好きです。あと、チャットモンチーが大好きなので、同じ趣味の人がいたら声かけてくれたら嬉しいです!よろしくおねがいします!」
瀧本、西山、拍手
西山「じゃあこれで新入生全員自己紹介終わったかな。では、みんなのこれからの活躍を祈願して、かんぱーい!!!」
一同「「「かんぱーい!!!」」」


【BGM】チャットモンチー『東京ハチミツオーケストラ』


山田にピンスポット。
山田「僕の名前は山田慶太18歳!恋をしたことはまだない!高校まで男子校でラグビーに勤しんだせいで、女の子と喋ったことすらない!男だけの汗臭い部室でキラキラしたキャンパスライフを夢見ていた!ラグビー部の同胞たちよ!僕はこの大学で!恋をするのだ!!」
BGMフェードアウト
明転。引き続き新歓コンパ。
瀧本「ねえ、山田くん?」
山田「あ、はいっ」
瀧本「えっと、経済学部だっけ…?」
山田「はいっ経済す!」
瀧本「そうなんだ、私法学部だよ!校舎一緒だね!」
山田「あ、そうなんすね、えっと…」
瀧本「奈緒でいいよ!」
山田「あ、奈緒さん…」
瀧本「そうだ!チャットモンチー!私も好きだよ!」
山田「えっ!?ホントですか?そうなんですね僕チャットモンチーが凄い…」
西山入ってきて会話さえぎる
西山「うぃー二人盛り上がってんじゃん」
瀧本「ねーえー酔っ払ってますー?」
西山「そんなすぐ酔わねえよ!」
瀧本「もー本当ですかぁ?すぐ酔っちゃうんだから気を付けてくださいよ?」
西山「えっと、何君だっけ」
山田「山田です!」
西山「あ、お笑い好きな奴だ!なんか面白いことやってよ」
瀧本「ちょっとー、いきなりそんな無茶ぶりやめてあげてくださいよー困ってんじゃん」
西山「冗談冗談!ラジオ好きなんだっけ?奈緒ちゃんもラジオ好きって言ってなかった?」
瀧本「あ、そうだ!えっと…何聴くんだっけ?」
山田「んーバナナマンとか、オードリーとか、」
瀧本「私もオードリー好き!」
山田「え!うわ!ほんとですか?嬉しいです!」
瀧本「面白いよねーオードリー、他は?」
山田「あと、アルピーとか、空気階段とかカナメストーンとか、」
瀧本「アルピー好きなんだ!」
山田「そうっすね、結構マイナーな…」
瀧本「私もアルピー聴くよ!ってかオールナイトニッポンの時からずっと聴いてた!」
山田「うわ!凄い合いますね!」
瀧本「じゃあさじゃあさ、アルピーのオールナイトのコーナーで、一番好きだったのせーので言お?」
山田「えー…好きなコーナー…」
瀧本「いいからはいせーの…」
山田、瀧本「「家族!!」」



【BGM】チャットモンチー『風吹けば恋』



山田「おわぁー!」
瀧本「やっぱりー!絶対好きだって思った!!」
山田「いや僕もそうだと思いました!やっぱ面白いですよね!未だに昔の録音したやつ聴いちゃいますもん」
瀧本「うんうん」
山田「元気いっぱい酒井ちゃんと迷ったんですけどねー、やっぱ家族かなーって」
瀧本「うわぁーやっぱ酒井ちゃんかぁーセンスあるなぁーあれヤバいよねー」
山田「あれはヤバいっすねー」
西山「いーや何の話か全然分かんねえわ!すーげぇ共鳴してんじゃん、めずらしいなこんなテンションになるの」
瀧本「ほんと久しぶりかも!だってチャットモンチーもね?」
山田、うなずく
瀧本「チャットモンチーも好きなんですよ?山田君…」
BGMフェードアウト。
山田にピンスポット。
山田「恋に落ちました。いや、これは恋ではなくて、運命なのかもしれません。高校の時には味わえなかったキラキラの青春が、ここにはありました!ありがとうアルコアンドピース!」
暗転。



【BGM】チャットモンチー『コンビニエンスハネムーン』



ナレ(山田の声)「それから数日後。西山さんの誘いで、僕は奈緒さんと3人、西山さんの家でタコパをすることになりました。大学生というものは本当にタコパをするもので、大学生というものは男女問わずに仲良くするもので、大学生というものは、好きな人とタコパできるようにアシストしてくれる良き先輩がいるものでした。」
明転。
西山の部屋に3人。西山がたこ焼きを焼いてる。
瀧本「西山さんが作るたこ焼きほんとに美味しいんだよー?」
西山「誰がやっても変わんねぇからこんなん、俺にやらせたいだけだろ」
山田「あの、僕一番下なんで、僕やります!」
西山「いーよいーよくつろいどけって、酒は…飲めないんだっけ?冷蔵庫にジュースあるから好きに飲んでな?」
山田「あ、はい」
瀧本「ほらー自分がやりたいだけじゃん結局」
西山「いいだろお前、後輩にかっこいいとこ見せるチャンスなんだから」
瀧本「たこ焼き返せてもかっこいいとかなんないですよっ」
一同楽しそうに笑う
山田「僕、この大学に友達いなくて不安だったんで、こういうの誘ってくれて嬉しいっす」
西山「なーに堅苦しいなおめえ、じゃここが最初の友達って事でいいな?みんなでワイワイ出来たらいいだけなんだから俺は」 
山田「あ、はい」
西山「山田はさぁ、彼女とかいんの?」
山田「いねぇです。」
西山「いないかぁ、彼女欲しいとかは思う?」
山田「まぁ、そうですねぇやっぱ」
瀧本「ふーん」
西山「じゃ好きな人は?」
山田「あ、いやぁ…」
西山「いるんかい!」
瀧本「おおお?」
山田「いやいやいや」
瀧本「え、ほんと?いいねぇー」
西山「やめろよー?奈緒のこと狙うの、俺の女なんだから」
瀧本「ちょっとやめてよー、そんなすぐ私のこと好きになるわけ無いじゃん」
山田「え…?」
西山「は…?」



【BGM】チャットモンチー『例えば、』



山田「あっ、いや」
西山「あーそうだ言ってなかったわ、俺ら付き合ってんの。あんま言いふらすなよ?一応サークルでは内緒にしてっからさ」
山田「あ、そうなんすね」
西山「あったりめえだろそんなん、めんどくせえじゃん色々さぁ、え、……ってかお前、マジで奈緒のこと狙ってた?うーそぉー」
山田無言でうなだれる
西山「うわぁー気まずぅー違うねん!ゴメンな?」
瀧本「諒が余計なこと聴くからじゃんかー可哀想ー」
西山「ごめんって違うって、いや付き合ってんのはホントだけどそんなつもりじゃ無かったマジで!」 
瀧本「うわっ!ねぇたこ焼き焦げてる!最悪ー!」
徐々暗転。
BGM『例えば、』の音が徐々に上がる
舞台上に山田一人。山田にピンスポット。

山田「こんな青春は嫌だ!
好きな人が!優しすぎた!
こんな青春は嫌だ!
好きな人と!音楽とお笑いの趣味が合う!
こんな青春は嫌だ!
好きな人が!とても綺麗だった!
こんな青春は嫌だ!
好きな人が!僕のセンスを褒めてくれた!
こんな青春は嫌だ!
好きな人と僕は!運命で繋がっているとさえ思った!
こんな青春は嫌だ!
好きな人に!…はじめて好きになった人に!彼氏がいた!
強烈な音楽がかかり!生の意味を知るような時!誘惑は香水のように、摩天楼の雪を融かす力のように強く!!僕の心は震え、熱情がはねっかえる!!神様はいると思った、僕のアーバンブルースへの貢献!!
眩しい光に包まれた僕の初恋は、こんなにも呆気なく無様に散っていきました!それでも!僕らにまつわるすべてのことは一つも欠けてはいけませんでした!!
こんな青春は、嫌だ!これからもこのキャンパスで、僕の青春は続きます!だけど、、だけど僕は、こんな青春は!嫌だ!!」

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