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鮮魚部・渡部の「美味しいものについて、話そう」:旬のお魚「トキシラズ」編

全国から選りすぐりの“ほんまもん”を集めたスーパーマーケット・フレンドフーズには、食にこだわりを持ち、何より美味しいものが大好きなスタッフがたくさん。

そんなスタッフの中から、北海道出身で、この春からフレンドフーズに仲間入りしてくださった鮮魚部の渡部さんに、美味しいものへの愛をたっぷりと語っていただきます。

今回のテーマはスーパーにはあまり出回らない、貴重な鮭「トキシラズ」。北海道では初夏に、一般的には梅雨の頃に姿を見せる魚です。仕入れが不安定なため、また今季中にフレンドフーズ店頭へ並ぶかは未定ですが、ぜひその時のために、まずはこの記事でお楽しみください!

拝啓 トキシラズ様

新緑輝くこの季節、どーーーしても食べたくなるお魚があります。
鮭の旬といえば、秋を思い浮かべる方が多いと思いますが、初夏のこの時期にも実は水揚げされる鮭が。名を「トキシラズ」と呼び、秋の鮭とはまた違った美味しさが味わえます。
 
秋鮭はそのお腹に卵巣(イクラ)や精巣(白子)を抱え、故郷である東北や北海道の川に戻って、子孫を残すために泳いでるところを川に戻る寸前に漁獲されたもの。そのためイクラや白子に、魚体の栄養は、かなり奪われつつあるのです。

が!!

「トキシラズ」様はロシアの川で生まれ、北海道東沖・三陸沖などで育ち、「秋が近づいたら、ロシアの川に戻ろうかなあ〜〜〜〜」と、まだぼんやり思っている(!?)くらいの時期に漁獲されるお魚。そのためお腹にはまだイクラも白子もおらず、魚体のみにたっぷりの栄養を蓄えています。

若々しいその身は、まさに淡いサーモンピンク色。食感はふんわりと柔らかく、脂肪は秋鮭の3〜4倍とも言われています。 あーーー、もう、書いていてたまりません!
 
そんなトキシラズ様を、小さい頃からこの時期に食していた道東出身の私。今でも初夏になると無性に食べたくなるのですが、道東沖の生のトキシラズは漁獲量が少なく……。

ましてこの京都では、超超レアな存在なのです。

しかし!! 

なんと、その生のトキシラズ様が、5月某日、鮮魚部に入荷。市場より運んでくれた部長が、その銀ピカの美しい魚体を捌く横で、かぶりつき、ガン見状態だった私を見るに見かねて、貴重なアラ部分を分けてくださいました。

さっそく自宅でお大根やネギを入れてすまし汁に。骨の周りの身、皮、氷頭も全て上品なお出汁と共に完食! 至福のひと時でございました。
 
今度いつ入荷するかはまったく分かりませんが、もし出会えましたら、それはもうかなりの幸運! ぜひとも召し上がっていただきたい、旬のお味でございます。
 
ちなみに「トキシラズ」という名前、漢字では「時不知」と書きます。なんだか漢文の一節のようでもあり。「ト・キ・シ・ラ・ズ」なんて書くと、小説か映画のタイトルのようでもあり。

本来の漁期ではない時に獲れるので、「時期を知らずして獲れる鮭」という意味と、魚類図鑑には書かれておりました。

今回の美味しいもの

「トキシラズ」

価格:2023年5月の販売時は、1パック(1切れ) 税込972円 
※時期により異なります

この記事を書いた人

名前:渡部 智子
部門:鮮魚部

この春からフレンドフーズの鮮魚部で勤務を開始しました。生まれも育ちも北海道。20歳から45歳まで札幌で建築関係の仕事をしており、その後和菓子の道へ転職して4年目に京都へ移住。 そして、11年目の春、和菓子だけに止まることができず、たくさんの「美味しい」を提供しているフレンドフーズへと行きつきました。 美味しいものを求めるお客様にお会いできることをとても楽しみにしております。 



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