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【フレンドフーズではたらく、ほんまもん】鮮魚部 内山裕斗

【プロフィール】

名前:内山裕斗
所属:鮮魚部
年齢:24歳
入社歴:3年目
出身地:大阪府

ギブが多めの(?)、ギブ・アンド・テイク

子どものころから何かを組み立ててつくるのが好きで、たとえば掃除するってなったら、コンロでも洗濯機でも分解しちゃう(笑)。1回バラしてから掃除を始めるんです。
料理も小学生の頃からやってました。食材を自分で調達して、自分なりにレシピを考えて、家族に振る舞って。おいしいとか、あんまりやでとか、人に何かを提供して反応がもらえるのは、それ自体が刺激的で、なおかつ喜んでもらえると嬉しくなるじゃないですか。

だから、人に何かをしてあげるのは基本的に好きだし、してもらったことは返したいっていう気持ちもけっこう強くて。自分が育ててもらったり助けてもらったりしたことへの恩返しは必ずしたい。職場の先輩には焼肉や鰻をごちそうしてもらっているので、それもいつか恩返ししなくちゃと思ってます(笑)。

魚屋に入社しました

料理人になりたくて、高校を卒業後、有名な日本料理店で修業させてもらいました。いまでは考えられないような厳しさがあった現場でしたが、かわいがってもらいました。
働きすぎたんで一旦休憩しようと思って、そこをやめたときは、居酒屋とかゴミ収集のバイトを掛け持ちしてましたね。それまで飲食の世界しか知らなかったので、まったく違う仕事をしてみたかったんです。

だけど将来の夢は自分の店をもつことやから、また飲食に戻ってきました。料理屋の修業では天ぷらをかなり仕込まれたんで、次は魚だ! って、それで魚屋に入社しました。あ、フレンドフーズのことです(笑)。僕は、フレンドフーズの鮮魚店ってつもりでいるんです。

決められた枠のなかで毎日をこなしていくんではなく、ここはけっこう挑戦ができるというか、若輩者の意見も吸収して上げてくれるような環境で。鮮魚部の部長からは刺身は好きにやっていいと任せてもらえてて、いま刺身に関してはメインで立たせてもらってます。

たとえば4人前の刺身盛り合わせがあるとして、普通は刺身の種類も並べ方も決まってると思うんです。でもここでは自由にやっていい。自分で売価設定もしていいんです。
だから、やりがいがありますね。人の下についたり、人に指示されたりするのがあんまり好きじゃないんで、よけいいいかな(笑)。

そういう性格なもんで、自分で店をもたないとしょうがない。だからいまは下積みです。

ただ、部長が火傷するかと思うくらい熱い人なんで、そこに惹かれてる部分も大いにありますね。気持ちのある人には、ついていきたい。

リスペクトがつくるもの

刺身も奥深くて、その日の自分のコンディションで、仕上がりが変わっちゃうんです。これ、ほんまなんですよ。調子悪いなってときは、自分のメンタルになんかあるとき。包丁握った瞬間、今日はいつもと違うわってわかります。そんなときは一服したりして、リセットします。

活け締めっていって、新鮮な状態の魚を直接店に持ってきてるんで、触ると身がブルブル動くんです。当たり前だけど、いのちをいただくので、いつでもリスペクトを忘れちゃあかんなって思いながら毎日包丁を握ってます。それを忘れると、ただの作業になってしまう。
だから、魚にも、それから先輩にも、同僚にも、お客さまにもリスペクト。これがあったら自ずと、自分の作るもんがいいものになるかな、と。

貪欲に、もっと先へ

いま仕事で楽しいのは、自分でチャレンジすること、それが成功すること、失敗すること。対面売り場に立つので、お客さまの声が直で聞けることが嬉しいですね。目の前やったらお世辞もあると思うけど、日をまたいで、こないだのあれがおいしかったよ、なんていうのがほんまの声かなと思っていて。そんなんが聞けるとなお嬉しいです。値段高いなあって厳しい声をいただくこともあるけど、それも含めて反応がもらえるっていうのが、やっぱりいいです。

うちの魚、たしかに安くはないんだけど、でも鮮度のよさとか、自分の包丁の入れ方とかで正直、付加価値がついてると思うから。刺身の味は、鮮度と包丁の入れ方でまったく変わりますからね。その点、うちは間違いなくおいしいですよ。

とはいえ、新しい発想がないことには、商品ってなかなか売れないです。僕もいろいろ新作は考えてて、たとえばひつまぶし弁当。鰻とごはんに、白ねぎと青ねぎ、みょうがとだし、だし巻きもついてて、トレーを二つくっつけたんも、考案しました。

ふだん街歩いてても、これ、魚屋でなんか応用できへんかなって考えてしまう。だからプライベートでも仕事してるみたいになってきてますね。
ほんとこの仕事は奥深くて、数こなしたらできるってだけじゃないんで、ゴールはないなって。だから、いままで自分のなかで満足したことはないんです。日々追求、日々勉強で、まだまだこれからです。

文:野村美丘(photopicnic)

1974年、東京都出身。フリーランスのインタビュー、執筆、編集業。またフォトグラファーの夫とphotopicnicを運営している。文化、意匠、食、犬と猫、心と体と精神性、そのルーツなど、人の営みがテーマ。さまざまなことやものや考えがあると知り、選択肢がたくさんあることに気がつくこと。その重なり・広がりが有機的につながっていくことに関心あり。著書に『わたしをひらくしごと』(アノニマ・スタジオ)。編集した書籍『ヒトゴトにしない社会へ―ほどよくつながれば、もっと生きやすい―』にはフレンドフーズ社長のインタビューも掲載。
2020年秋、京都に拠点をつくった際、フレンドフーズに初めて足を踏み入れて即ファンに。その感激を伝えるべく同社にメールしたところ社長から即レスがあり、さっそくここでの執筆を担当させていただくという幸運を手に入れました。
www.photopicnic.pics




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