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働く「意欲」はどこから来ているか?

突然ですが、あなたが60歳以降も収入を伴う仕事をするとして、何歳くらいまで働きたいと思いますか?

60歳? 65歳? 70歳? それとも生涯現役?

2014年に内閣府が実施した60歳以上の高齢者についてのアンケートによると、なんと、年齢に関係なく「働けるうちはいつまでも」という回答が一番でした。

実際、65歳以上の就業者数は2004年以降年々増加していて、2019年時点では892万人と16年連続で上昇しており、人生100年時代の到来により、高齢者の方の就業意欲は高まって来ていると言えそうです。(参考:令和2年9月20日総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者」)

では、仕事をしたい、続けたいと思う高齢者の方が「働きたい理由」に挙げているものにはどのようなものがあるのでしょうか。以下をご覧ください。

「収入が欲しいから」がもっとも高く、「働くのは体に良いから、老化を防ぐから」や「仕事そのものが面白いから、自分の活力になるから」が続きます。

ここからは、私なりの理解なのですが、私がこの調査を見て思い浮かべたのは米国の心理学者A・H・マズロー(1908~1970)の「欲求5段階説」でした。

マズローは人には5つの欲求があり、ピラミッドのように階層的に構成されているとしました。

この説によると、まずは「健康」。食べること、寝ること、その他人間として生きていくために必要な最低限の「生理的欲求」があり、これが満たされると、身の回りが安全であり、経済的にも安定した環境で生活したいという「安全欲求」を目指す。

次に、家族や会社やなんらかの社会的な集団に所属して、安心を得たい、孤立を避けたいという「所属・愛情の欲求」を満たしたいと思う。

そして、所属している集団から、認められたい評価されたい、という「承認欲求」があり、最後に、自分らしく生きていきたい、温めてきた夢を今こそ実現したい、などといった「自己実現欲求」を目指すようになる、というものです。

調査結果にある「働くのは体に良いから、老化を防ぐから」や「収入が欲しいから」というのは、生活のベースとなる「健康」や「お金」に関わる「生理的欲求」や「安全欲求」でしょうか。

「仕事を通じて友人や仲間を得ることができるから」というのは、「所属・愛情欲求」や「承認欲求」。

「仕事そのものが面白いから、自分の活力になるから」というのは「自己実現欲求」と言えそうです。

と、すると高齢者の働きたい理由も、まずは「健康」や「お金」に関わる「生理的欲求」や「安全欲求」を満たすため。そして友人や仲間を得たいという「承認の欲求」や、自分の活力を得たい、という「自己実現の欲求」も働く「意欲」となっている。

働く「意欲」も人的資産の一つ・・・としたら、これを育て大きくしていく方法があるはず。次回はこういった点も考えていきたいと思います。


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