ゲンロンカフェ20200907.クイズ鼎談.2
ゲンロン200907,クイズの鼎談を視終わる.8時間.喋る方もすごい.
前にも書いたが,クイズをプレイすること自体には自分は興味がない.たまに動画などで見て一緒に考えてみる,程度で十分楽しい.にも関わらず,この動画を面白がっている自分は何なんだろうか.
何かに情熱をかける人たちが,お互いに敬意を持ちながらその対象について延々と語っている姿は,ひとまず好ましい.動画でよく視ている人の別の一面が見えるのもとても楽しい.
結局のところ,誰かが一生懸命に何かをしようとしている,伊沢さんの場合はクイズ界を開いた自由なものにしていこうとしている,自分がクイズを楽しみながら生きていこうとしている,その本気に惹かれるんだろうなあ.クイズについて話したくてうずうずしているもの.自分の夢の為にどう選択するか,それがたとえ直後には結果が出なくても,それこそ「意味のある誤答」をしてそれをもとに次の一手を考える考え方,筋の通し方,その現実の姿.周囲にもリスペクトがあり,自分にも自信がある.そういう姿があるからこそ,周りの人にも愛されるんだろう.テレビの世界なんかにいたら,闇も近くにあったりもするだろうが,こんな青臭い人が関わっているんだったら本筋では信頼できるんだろうなと思える.
伊沢さんにある,男子校ノリ・深夜ラジオノリ,愛されてきたんだろうなと思わせる育ちの良さ,努力に基づいた自信.
競技クイズは結局文脈を読む能力も重要だという指摘.結局ハイコンテキストなコミュニケーションの一種だということ.それはそのコンテキストがある程度わかる人には面白い.自分の場合はQuizKnockによってそのコンテキストの一端を垣間見せてもらった.競技クイズは見たことがないから,もっと複雑なコンテキストはあるんだろうけれど.
ユリイカの伊沢さんの文章を読む.クイズの暴力性の話.暴力性があること自体は理解できる.ただ,自分は高学歴に分類される立場でそこに劣等感が薄いからかもしれないが,ボクシングの方が暴力的に感じ,お互いの了解の上でのスポーツだとわかっていても見たくないと思う.クイズがボクシング同様本質的に暴力性を含む以上,万人に暴力性を感じさせないのは無理な気がするし,それではいけないんだろうか.
伊沢さんとしては,自分達のしていることが自分達の理解しているようには理解されていないもどかしさ,自分の愛するクイズという遊戯がもっと幅広く「正しく」受け入れられて欲しい,という願いからフラストレーションがあるということなんだろうか.
一方でそう疑問に思うのは,自分がクイズに興味を持ったのがQuizKnockを通してで,伊沢さんはクイズが強い一方で,一人の人間として各プレイヤーを演出することを意識してやり,負ける(そして悔しがる)姿も出しているからこそかもしれない.その為に例えば外見を整えたりもするし,偶像化も受け入れる.それは,不特定多数から人間としてぼこぼこに言われるリスクと裏合わせで,そのリスクを負ってでもできるのは,クイズ界が本当に好きで何か貢献したいという強い気持ちと,自分がクイズが強い,という自信があるからなんだろうか.
鼎談に戻るが,競技クイズの強さについて.競技クイズなるものがあるらしいと知って,え,結局誰が強いの?と調べてみたが,すぐにはわからなかった.徳久さんって人が沢山勝っている,のかな?くらい.QuizKnockの動画を視ていると,山上さんはクイズが強そう,ふくらPはパズルが強そう,河村さんの作問・企画力が段違い,というのは感じられるが,伊沢さんは伊沢さん的パフォーマンスがありすぎて,クイズが強いかどうかではない所に目が行ってしまう.逆に言えば,山上さんは伊沢さん程演者としての能力が(今はまだ)高くはないので,クイズ力の高さが目立って見えている.そして,QuizKnock内では伊沢さんのクイズ力は半端ないというのが前提として共有されすぎている為に逆にその演出が薄目になっている,のかもしれない.クイズ力というのはひとつの物差しで測れないというのはそうなんだろうが,個人のクイズ力の高さへの基本的な感覚,というものが,外部の人には前提として共有しづらいというのは事実だと思う.本当は強いのに,それに応じた扱いで見られない,というのは上記に書いたリスクの1つかもしれない.あぁ,だからこそ,クイズプレイの解説をつけて,プレイヤー同士では共有されているんであろうそのプレイヤーの力量を,外部の人にもわかりやすくした方がいい,という話になるのかな.
解説のターゲットをどのくらいにするかというのも難しいのかもしれないな.ハイコンテクストでの面白さは,ある程度知識がないと楽しめない筈.(田村さんがクイズをプレイすることから離れてもクイズを視ることを未経験者よりは遥かに楽しめるという話と同じ.)常識の共有には努力が必要だし,それを多数がすることは期待できないだろう.また,内輪ならではの面白さというのは,フラットに広がっていくと消えていってしまうものかもしれなくて,それを是とするか非とするかもあるんだろうし.(mixiに留まりたい気持ちと通ずる話.)
徳久さんの言うように,クイズについて考えてみる(まあ初歩の初歩だけど)だけでも時間がどんどん経っていく.(クイズについてというより,伊沢さんについて,かな?)まあ,楽しいからいいか.
それにしてもえっと....ファンではあるんだけど伊沢さん,文章が読みづらい....QuizKnockの動画で伊沢さんが延々と話し続ける場面がカットされるというのがあるけれど,この人はインタビューの方が伝わるタイプかも.
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