男性産後鬱について

産後鬱というものは聞いた事があるだろうか?
一般的に問題になるのは、女性の産後のホルモン異常と夜泣き等による睡眠不足、逃げ場が無い子育てにより鬱症状を呈する、というものである。
確かにこれは大きな問題である。
しかしながら、昨今ではこれに対する理解も進み、対策も立てられつつある。
一方、男性にも産後鬱があると言われている。
男性は当然出産する訳でもないので、ホルモンバランスの崩れ等は存在しない。
こちらについては、育児関係の書籍を紐解いても、「そんなのもあるね」的なついで程度の記載しか無く、その原因や防止法も書かれていないのが実情である。
では、何故この様な事態が発生するのだろうか?
確かに、かつての様に子育ては家庭に丸投げして、引き続き仕事をしていれば良いのであれば、職場で鬱になる事はあっても、産後鬱なんて当然なりようがない。
しかしながら、現在はイクメンと言われる様に、男性も育児に強くコミットする事が求められている。
実際問題、核家族であり、地域社会としてのケアも無い状態で、母親一人で育児をするのは限界があるので、至極当然の流れではある。
しかし、女性の育児には理解がある社会も、男性の育児には理解が薄いのが現実である。
日中は仕事をし、家に帰ったら家事育児をする生活をすることになる。
早めに帰る関係から、仕事が出来る人は休み時間も潰して必死で仕事を捌く、そうでもない人には同僚や上司に頭を下げて仕事を代わってもらうことになる。
職場環境が恵まれていれば上記の対処も出来るだろうが、悪ければ攻撃の対象になりかねない。
また、家に帰れば、ガルガル期と言われる様な不機嫌な妻と泣き止まない子供がいる。
何をやっても文句を言われ、何をやっても上手くいかないという、人によっては人生初めての挫折を味わうのである。
当然、趣味や息抜きは許されない。
親の支援を受けようにも、自分の親は妻から拒絶され、相手の親には気をつかう。
寝かしつけでは寝不足に。
となると、八方塞がりになり、メンタルが疲弊する。
そうすると、何かのキッカケでフラッと自殺をしてしまう、という現象が起きる。
心理学の世界では、むしろ一般的に幸せとされるライフイベント発生時、具体的には結婚や子供の出産、就職や昇進、大学等への進学などが起きた時も、自殺リスクが上昇すると言われている。
いくら一般的に幸せとされるイベントであっても、生活が一変するため、メンタルが不安定になりやすいからである。
幸せいっぱいの時期のはずなのに自殺するはずがない!だなんて事はないのである。
しかも、男性は一般的に女性よりも同情を受けづらいし、傾向として相談や愚痴も言いにくい風潮がある。
そのため、逃げ場が無くなり、特に真面目な人ほど追い込まれて自殺に至ることになるのである。
これを防ぐにはどうするべきなのだろうか?
理想は核大家族と地域社会のケアの復活である。
が、その選択肢は大多数の女性が拒否してきた。
その結果で今女性が育児で苦しんでいるというのであるから、呆れた話である。
とはいえ、時代が時代なのでそれは受け入れるしかないだろう。
なので、対策は別の手段で取ることになる。
例えば、睡眠不足は鬱傾向を引き起こしやすいと言われているので、夫婦で相談して、何があってもお互いに6時間は寝る、夜泣き対応はシフト制を取る様な取り決めをすることである。
また、夜泣きを防ぐ様な方法論は書籍やネットで手に入るので、それを試してみるのも良いかもしれない。
あとは、頼れるならばそれぞれの両親の手助けを得ることである。
自分が潰れるよりはマシであろう。
また、最近は行政でも問題意識を持つところが多く、子育て支援の行政サービスも受けられるかもしれない。
更に、民間でも一時保育と言ったサービスや、ベビーシッターを一時的に雇う等、限界を迎える前に育児から離れるという手も活用するべきである。
最後に根本的な話としては、夫婦互いに思い遣りを忘れずに接することである。
自分がキツいからといって相手を責めるのではなく、互いに協力して現状を打破するという考えで困難を乗り切るべきである。

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