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カガクの扉を開く読本その3 沈黙の春編

はじめに
 以前、カガクの扉を開く読本その1で、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』という本を紹介しました。その中で、翻訳が読みにくいんですと書いていたのです。
 ところが、先日、新聞の広告欄に、『沈黙の春』の新訳版が出版されるというのを見つけました。早速、近くのくまざわ書店に行ったところ、ありました! 『沈黙の春』の新訳版です。早速購入して、読んでみました。

◎『沈黙の春』
 レイチェル・カーソン:著 渡辺正隆:訳 光文社
光文社古典新訳文庫
(渡辺正隆さんの翻訳本は、同じ古典新訳文庫にあるチャールズ・ダーウィン著の『種の起源』以来だと思います。
 やはり、新潮文庫版よりも、全然読みやすいです。活字が大きいということもあるかもしれませんが、読みやすいです。基本、本を読むのは、仕事の行き帰りの電車の中なのですが、集中して読めました。
 『沈黙の春』は、おもに農薬を大量に空中散布する事に対して批判をしている本なのですが、しっかり読んでみると、現代の生態学の問題点となっていることを先駆的に指摘している所が、素晴らしいと思いました。
 例えば、DDTなどの塩素系の農薬が、生物の生殖機能に害を及ぼしているとの指摘がありますが、これは後に問題となった「環境ホルモン(正確には、外因性内分泌攪乱化学物質)」の話に通じるものです。農薬の空中散布により、森林生態系が破壊される話は、食物連鎖の話や生物多様性の問題に通じるものです。
 本当に、地球の環境問題について関心のある人は、絶対読んで欲しい本です。)

ついでに、関連する本を紹介したいと思います。
◎『農薬なしで害虫とたたかう』
 伊藤嘉昭 他:著 岩波書店 岩波ジュニア新書311
(この本は、日本において、不妊化処理をした昆虫を放すことにより、害虫を撲滅するという話です。これは、17章の「もう一方の道」で紹介されている内容の本です。こんなことが出来るの? と思った人は読んでみると良いです。)

さらに、環境ホルモン(外因性内分泌攪乱化学物質)については、
◎『奪われし未来』
 シーア・コルボーン:著 長尾力:訳 翔泳社
◎『メス化する自然 環境ホルモン汚染の恐怖』
 デボラ・キャドバリー:著 集英社
などがあります。

 光文社古典新訳文庫の編集者のみなさん。翻訳した渡辺正隆さん。本当にありがとうございます。こらからも良い本を出版してください。

 環境問題に関する本は、これからもまとまり次第紹介していきますので、みなさん手に取って読んでみてください。

※扉の写真
 ラベンダーの花です。今年は、あまりの暑さに、家のラベンダーはみんな枯れてしまいました。


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