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日本史のぬかるみに足を取られてその1 平安時代は意外と過激編

はじめに


 今回は、日本史関係で、平安時代の歴史小説について。平安時代は、貴族中心の比較的穏やかな時代だと思われがちなのですが、とんでもない事件や、とんでもない人が現れたりしています。そのような時代に生きた人に触れることのできる、歴史小説を紹介しましょう。

平安時代は意外と過激


◎『刀伊入寇 ~藤原隆家の闘い~』
 葉室 麟:著 KADOKAWA 角川文庫
(刀伊入寇とは、日本史ではほとんど触れることがありませんが、平安時代に女真族が北九州地方に攻めてきたという、鎌倉時代の元寇のような事件です。この当時は、武士も人数は少ないし力もそんなに強くは無い時代です。もしこの時に、藤原隆家という人物が九州に赴任していなかったら、日本は女真族に攻め滅ぼされて、女真族の国になっていたかもしれないのです。つまり、藤原隆家は、日本を救ったすごい人なのです。そういう話です。)

◎『炎の帝』
 萩 耿介:著 中央公論新社 中公文庫
(これは、花山帝の小説です。藤原兼家にだまされて、無理矢理出家させられた天皇として有名です。しかしその後のことは日本史では出てきません。出家した後どうしていたのかというお話で、武装した集団と京の町を練り歩いたり、女のところに忍んでいって矢を射かけられたり、まあ放蕩三昧であったとのことです。自分の定めに抗い続けた人なのでした。)

◎『泥(こひ)ぞつもりて』
 宮木あや子:著 文藝春秋 文春文庫
(この本は、「清和・陽成・宇多」天皇の時代の話です。これって本当のことなの? と思ってしまうような天皇の姿が書かれています。宇多天皇の時に、有名な菅原道真の太宰府への左遷という事件が起こりましたが、この事件は藤原時平よりも宇多天皇の意志が強く働いていたという見解です。菅原道真に関しては、別の機会にまたまとめます。)

◎『捨ててこそ空也』
 梓澤 要:著 新潮社 新潮文庫
(京都の六波羅蜜寺にある、口から仏が出ている仏像で有名な空也上人の話です。仏教で言われる「空」を実践することの難しさを示している本です。空也上人もさぞ悩まれたことでしょう。)

◎『天上紅蓮』
 渡辺淳一:著 文藝春秋 文春文庫
(白河天皇と鳥羽天皇の中宮となった、璋子の話です。二人の天皇の中宮になることも異例なことです。恋愛には、年齢は関係ないというお話です。)

扉の写真
 沼津市の静浦漁港で釣った、スズメダイ。食べると、美味らしい。


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