萩尾望都の次なるメディアミックスを勝手に妄想するお話

ポーの一族のミュージカルが素晴らしい大千穐楽を迎えた今、私は萩尾先生原作の次なるメディアミックスを勝手に妄想している。

萩尾望都先生の作品はどれも、日々の生活の一瞬一瞬にのせる感情とは別に、ふとしたときに感じる言い表せない虚無感や生きることに対する疑問、不安を孕んだもやもやの塊を違和感なく美しい少年少女に投影してくれている。その表現力・筆致力は少女漫画の枠には留められない凄みがあるのだけれども、ファンとしては作品の特性に応じたメディアミックスをもっとみたいという気持ちがある。(勿論、萩尾先生の納得いく姿でというのは大前提で)

アニメ化ならバルバラ異界、舞台化ならスター・レッド。

実写ドラマは数十年も昔イグアナの娘が中々素敵だったけれども、実写映画なら・・・私は【感謝知らずの男】が良いと思う。
舞台は海外から日本に移さねばならないが、テーマとコンセプトは今の現代人に響く気がする。

<あらすじ>
才能あるバレエダンサーのレヴィ。17歳で親は金持ち。衣食住も将来性も足りてるのに頭の奥はいつも冷え冷えして安心して眠れることがない。レヴィはどうなりたいのか。どうしたいのか。

<私の勝手な独白>
レヴィに生きる活力がない理由を自答している次の言葉が心に残る。

生きる力……エネルギー……ぼくたちの文明が地球を裸にしているので弱りつつある地球がきっと人に生命に与えるエネルギーを失いつつあるんだ。有史以来人間は地球から奪うだけ奪い続けているんだ (作品より抜粋)

食べるには困らぬ、今日明日の安全は保証された現代で我々世代がなんとなく感じる虚無感を投影した言葉のように感じた。

表面を撫でるだけのような心地良い会話は普段幾らでも造れるのに、胸の奥にある思いを的確に、具体的にあらわしてくれる言葉を探せば探すほど、それらしい言葉を選択しようとした瞬間に、嘘っぽく、上辺っぽく響く気がして、一歩を踏み出せない。

今ある気持ちに適切な言葉を選択して、その言葉が抱えている思いと同じ熱量で相手に伝わる日は来るのだろうか。不可能かもしれなくても、少しでも近づけることを夢見る。

美しいバレエを舞台にした、そんなテーマの実写映画を、私は見たい。

追伸:
主人公のレヴィ、個人的にはビジュアルとキャラクターは京本大我さんがぴったりだと思ってる。




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