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過敏

6歳の息子にはいろんな感覚過敏がある。視覚、聴覚、触覚、あとおそらく、嗅覚も。つい先日も、どこかの家の居間の窓が開いていて「納豆ご飯の匂いがする」と言っていたが、私にはよく分からなかった。そういうことがたびたびあるので、息子にしかキャッチできない匂いがあるんだと思う。

そんな息子の感覚過敏を通して気付いたのは、私自身にもいくつか思い当たることがあるということだ。彼よりも生きにくさの度合いは低いけれど、私にも感覚過敏は確かにある。

私は幼少のころ、神経質な子供とよく言われた。常夜灯がまぶしくて寝られない、隣の隣の部屋から聞こえてくる会話やテレビの音が気になって音がしなくなるまで起きている、なんてことが日常的にあった(今でもある)。靴下が気持ち悪くて履いていられない、触られるのが嫌、着られない素材がある、アクセサリー類やメイクが好きではない…というのもそうで、「そんなこと気にしていたら生きていけないよ。一部屋しかないおうちだったらどうするの?我儘を言わないで」といつも言われていたが自分ではどうしようもなかった。

他の人はみんな我慢ができるのに、どうして自分は許容できないのか…ということに悩んでいたけれど、その答えは、多分、感覚過敏なんだと思う。

息子と私、それぞれ苦手とするものを比較しつつ書き出してみたいと思う。

◆視覚過敏

≪息子の場合≫
テレビを付けると5秒後にはオフにされる。音と光、情報量が多すぎるせいだと思う。子供向け番組も全然見ない。遊びや食事の邪魔になるので、他のことをしているときは絶対に付けたくないようだ。YouTubeも赤ちゃんの頃から見ているシンプルな図形の動画などは大丈夫だけど、息をつく間もなく情報が詰め込まれた騒がしい動画は、子供向けであっても全く好まない。音楽は繰り返しのフレーズがあり、ある程度は先が読めるためかOKな場合が多い。

動的なおもちゃで遊べない。視覚的な情報量が多いものがさらに動くと処理が追い付かないように見て取れる。プラレールは電池を入れずとも十分楽しめる。

≪私の場合≫
ベイマックスみたいな3Dアニメを見たときに感じたのが、画面の端っこの背景まで同じ圧で絵がこちらに向かってくるので、どこを見るのが正解か分からなくなってしまうということ。絵の緩急がなく全パーツが主役級で、気が散ってストーリーが入ってこない。実写や2Dアニメなら問題なく見られる。

寝るときは真っ暗でないといけない。

人が多いとすぐに酔ってしまう。片頭痛のお薬を持っていないと不安で外出できない。

◆聴覚過敏

≪息子の場合≫
食器の重なる音が我慢できない。しゃべれるようになる前、どうして泣き出したのか分からないことがたびたびあった。それは、外食時に多かった。急に大泣きして手が付けられない状態になってしまい、せっかく来た料理を一口も食べずに会計を済ませて店を後にしたこともあった。後になって、それが食器の音のせいだと分かった。ある日、洗い物をしていたら、息子が「僕はその音が嫌なの。あと何分で終わるの?」と尋ねてきて発覚した。言葉で伝えられるようになった今でも、洗い物をしていると音に驚いて泣いてしまうことが日常的にある。

子供の泣き声がとても苦手(自分も大声で泣く癖に)。同じ車両に泣いている子がいると自分が攻撃されているように感じてしまい、癇癪が始まるのでデッキに即時避難しないといけない。

≪私の場合≫
ビルの入り口のネズミ除けの超音波が聞こえる。

子供のころ、下階や隣の隣の部屋のテレビや会話がうるさくて眠れず音を小さくしてと言い続けていたら「神経質だ」と言われたが本当にうるさくて仕方なく、大抵は音がしなくなるまで起きていた。

◆触覚過敏

≪息子の場合≫
ヘアサロンが全くダメ。小さいころは床を這って逃げようとするのを抑え込んで切ってもらったりしていた。普段、髪をなでてもそんなに嫌がらないので、ハサミのシャキシャキ音が特に苦手なのかもしれない。

身に着けるもので苦手なものがいくつか。ヘルメットや帽子をかぶせるときにあごの下に紐をかけると大爆笑して全然付けられないことがあったり、マスクが付けていられるようになるまで半年以上かかったり。

歯磨きの仕上げ磨き中ずっと笑っている。くすぐったいらしい。他には、聴覚過敏をコントロールしたくてイヤーマフを買ったが耳が圧迫されるのが辛くて付けられない、とか。イヤホンはもっとダメ。ありすぎて書ききれないほどある。

≪私の場合≫
幼少のころ、靴下がどうしても不快で履けなかった。今でもできれば履いていたくない。外出先から帰ってくると、自分でもいつ脱いだのか記憶にないレベルで呼吸をするように脱いでいる。寒くないときは裸で過ごすと作業効率がUPする。

フットケアサロンやボディケアサロンに行くと、触られるだけで大爆笑してしまい全然施術を受けられない。がっかりしていると「100人に1人くらいはそういう方もいらっしゃいますから…大丈夫ですよ」と慰められる。だったら行かなければいいんだけど、友達に薦められて「大人だしさすがに今なら気持ちいいかもしれない…」と意を決して行くと、やっぱりだめでがっかりすることになる。

心電図検査では足首にはめられるクリップがどうしても我慢できず笑いが止まらなくなってずっと小刻みに揺れている。脇腹よりも足首がやばい。漫画などの暴力シーンで足首をがっつり抑え込まれているのを見ると「これが一番暴力的で無理」と感じてしまい、その先のストーリーが入ってこない。

電動歯ブラシは唇がくすぐったすぎて使えなかった。使い終わった後もしばらくはくすぐったいのが続く。高いのなら大丈夫だろうか。買って失敗はしたくないので試せないでいる。

嗅覚については、いろいろあるのでまたいつか書こうと思う。





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