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景品表示法に関して消費者庁に追加の質問の回答を解説します


前回の投稿と御礼

https://note.com/freexpre/n/nc782c4c9191d

▲先日投稿させていただいた追加質問への回答を記載したnoteです。

前回、消費者庁へ景品表示法に関しての追加質問をしました。
今回はその解説をします。
 
実は、この質問を送る間にもいくつか行政に個人的にアプローチを行いましたが、やはり民間である私には曖昧な回答でした。
類似した質問もいくつか送りましたが、「こちらをご参照ください」とURLのみで回答されるケースがほとんどでした。
やはりここまで丁寧に返して頂けることについて「諸派党構想・政治版」を活用させていただいたメリットが非常に高いと考えています。改めて、このような活動に快くご協力いただきましたことに、浜田議員をはじめ、秘書の皆様や事務所の方々に御礼申し上げます。

そして、今回の活動の目的としては、以前から記載している"誤認の基準”を整理すること。
そして、民間の事業者が、適切な広告活動ができることに焦点をおいています。誤認の基準が曖昧であるがゆえに自社では判断が全くできなくなっている現在、審査を代行している機関に委託しリスクを判断される企業などもありますが、その機関でさえ判断がバラバラです。
このように事前に判断できないことが経済を無意味に縮小させてしまっている可能性を危惧し、整備できる仕組みを一つずつ考えること。つまり、ルールを整備することによって、誤認を防ぎながら的確に経済が活性化することにつながると考えています。

追加質問1についての解説

【追加質問】
1,広告における誤認の定義に関して、「社会常識や用語等の一般的な意味などを基準に判断して、こうした差が生じる可能性が高いと認められる場合には、当該表示は「誤認される」ものに当たり」という回答がありましたが、この可能性の高さを判断するのはどの機関、もしくは人になりますか?

消費者庁からの回答内容から抜粋

前回の回答に記載されていた誤認の定義について、「可能性が高いと認められる」については「可能性の高さを判断する」ための機関や人といった主体が必要です。
そのため、その機関の主体や人に関して質問しました。

(回答)
個別具体的な表示については、消費者庁が、当該表示を行った事業者に対して表示の是正等を内容とする措置命令を行う際に、「誤認される」ものと判断します。当該判断について事業者が訴訟等により争う場合、最終的には裁判所が判断します。

消費者庁からの回答内容から抜粋

これは、「基本的には消費者庁が行い、争った場合には最終的な判断を裁判所が行う」ということです。これまでの判例においては、裁判所としては、国や消費者庁の判断を支持する事が多く、少なくとも景品表示法関連においては、これまで消費者庁が負けた事例はないため、現状は消費者庁の判断と裁判所の判断は近しいと考えています。
 
これに関して、解説のポイントはシンプルです。
やはり「消費者庁が判断する」ということはズレていませんでした。且つ、当該表示を是正等の内容措置命令を行う際というのは最終段階なので、広告が出た時に判断できるものがあっても最終的にしか判断していないということです。
 
ここでちょっと前回の質問の回答と食い違い始めている点が出てきました。前回は「公平に指導する仕組みの中でしっかりとチェックして」とありましたが、最終的にしか判断していないのであれば、どのようにチェックしているのでしょうか。
消費者庁が広告を集めて、チェックをしてルールを決めていることは公平性を期しているので、第三者のチェックを入れないと恣意的に行えてしまいます。最終的に判断しているということであれば、恣意的に行えるルールになっているいえるかとおもいます。
 
この「措置命令を行う際に、「誤認される」ものと判断します。」に関して言えば、やはりそこまで行かないと確認条件が揃わないという、消費者庁に対して好意的な見方もできますが、前回から話しているすべてをブラックボックス化してしまうことによって恣意的な判断ができることの方が素直に理解できるので、やはり的確な情報開示をして行くべきでしょう。
少なくとも、誤認される可能性があるものについてはしっかりと条件面を整備して行くことが問題点として指摘できます。

追加質問2についての解説

2,民間では広告物は、経営に大きく関わるものですので、事前に確認し判断ができる機関が必要と考えます。 ですので、質問1の誤認(差が生じる可能性の高さ)の判断ができる、相談できる機関及び人を全て教えてください。

(回答)

個別具体的な表示が景品表示法に違反するかどうかの事前確認は行っておりません。広告が、実際の商品・サービスの内容どおりであれば誤認は生じないと考えられます。

〇御参考

商品・サービスの表示内容を検討する場合の参考にしていただくため、表示に関するQ&Aを用意しています。 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/representation/   また、これから行う企画についての景品表示法に関する相談は、消費者庁表示対策課にて受け付けております。 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/contact/

消費者庁からの回答内容から抜粋

質問2についての回答にはポイントが2つありますが、先に気になる点を述べます。

回答の最後にある「また、これから行う企画についての景品表示法に関する相談は、消費者庁表示対策課にて受け付けております。」ですが、回答では個別具体的な事前確認は行っていないと言っているので、どのレベルで受け付けているか不明です。
また、判断ができるところは消費者庁内だけという最終結論と、表示対策課が相談を受け付けている、この部分からしか判断ができないのではないかと考えられます。この精度は重要になりそうですね。
気になりますので、後日、どこまで相談できるかを個別具体的な企画を作って提案してみようと考えています。

では、ここからがポイントです。
やはり、いくつかの事業者(広告主)が薬務課に相談するケースがありますが、全て消費者庁で判断すること、薬務課に関しての記載は存在していないこと、このことから薬務課の確認を行っていても、少なくとも景品表示法に関しては関係ないという結論に至りました。(薬機法は関係があります)
また、個別具体的な表示に関する相談には、薬務課にはどこまでの判断権限が存在するのかは不明です。
この点は、予想通りの回答が来たと受け止めていますが、今後は、表示に関する法律が多いが、一貫して相談できる窓口は存在しないのか?ということは確認が必要となるかと思います。
 
次に、「広告が、実際の商品・サービスの内容どおりであれば誤認は生じないと考えられます。」という回答ですが、”詭弁”と言ったら言い方が悪いですが、「内容どおり」の範疇を超えているかについては、表示の一つの基準だけならまだしも、言葉のレトリックの部分で指導を受けている場合は、「内容どおり」と解釈しても誤認が生じて指導を受けたという事例も存在しています。
 
例を挙げると、2012年に特保(特定保健用食品)関連の商品で『サントリー黒烏龍茶』に改善要求が出されました。
このCMで印象的だったのが「脂肪にドーン」という『笑ゥせぇるすまん』を活用した部分です。
 
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これは『笑ゥせぇるすまん』の象徴とも言える「ドーン」を用いて、脂肪に対して効果があると謳った表現ですが、15秒という制約の中でこのコピーに至ったことはクリエイターとして理解はできます。
且つ、キャラクターの文脈性を使った表現でもあるため、明確にNGをどう出すべきかわかりません。しかし、脂肪に関してこれさえ飲めばというイメージを付けてしまっている部分で改善要望が出されました。これは、指導されたに近い対応だったと思います。
 
 
これを著しく誤認されるものと断じているのがニュースでも報じられています。しかし、その観点で言うと、先ほどの消費者庁への質問に引用した回答にある「社会常識や用語等の一般的な意味などを基準に判断して、こうした差が生じる可能性が高いと認められる場合」において、このドーンという表現は社会常識や用語等の一般的な意味を基準に判断した際に、「これだけ飲んでいればいい」という表現なのでしょうか?
ここに関しては基準ラインが出ておらず、その後もドーンはNGという基準も出ないまま断じてしまったと思われます。おそらくは、CMの周辺情報からと思いますが、やはり一番強いコピーは「脂肪にドーン」だったので、それを断じられたとも言えるでしょう。
 
これに関して通販新聞では、当時、消費者委員会の部会における意見をかなり受けており、表示における法律に明確に抵触しているかどうか、つまり、表示ラインの判断が主観によって行われている部分を批判的に論じられている部分もあります。

 消費者庁食品表示課も「イメージのように人によって受け取り方が違うものを(健康増進法上の)虚偽・誇大(広告)と認定するのはかなり難しい部分がある」(増田直弘課長)とする。

通販新聞/「脂肪にドーン」の衝撃・サントリー黒烏龍茶問題を追う(5) 消費者委の意向に左右されるトクホ

記事の中では、誇大広告の認定は難しいと消費者庁食品表示課の増田課長も言われています。
しかし、そのようなレトリックに関する表現をどのように判断するのか改善はあったのでしょうか?

 消費者庁食品表示課も「指導であればそのニュアンスは伝わるよう話すが、今回は違う。(サントリー食品から)問い合わせもなく、指導と受け取ったとは考えていない」としつつ、「今回のやり方が誤解を招いたとは思う。その意味で想像力が足りなかったかもしれない。今後は誰が判断して行動するか、はっきりしないといけない」(増田課長)としている。

通販新聞/「脂肪にドーン」の衝撃・サントリー黒烏龍茶問題を追う(5) 消費者委の意向に左右されるトクホ

最後の「今後は誰が判断して行動するか、はっきりしないといけない。」という言葉から、やはり改善は行われていないように思われます。
判断主権は消費者庁ですが、部会も同時に行われているので、部会の意見が出たことから影響を受けているだけと言われています。
ここの問題点は、改善されないまま法律のみが強化されていること。民間側からすると、どう動いていいのかわからないことが、ずっとそのまま放置されている現状が大きな問題点です。

(回答)
個別具体的な表示が景品表示法に違反するかどうかの事前確認は行っておりません。広告が、実際の商品・サービスの内容どおりであれば誤認は生じないと考えられます。

消費者庁からの回答内容から抜粋

企業としても、誤認があるのならば改善したいが、今のままでは指導を受けてからでないと改善ができないという状況になっています。
その回答として、消費者庁が「実際の商品・サービスの内容どおりであれば誤認は生じない」と答えている部分に、企業側との意識の大きな乖離が存在していると言えると思います。
先程、記載したように共感性を含めたレトリックを用いた表現をやりたくても、それがどの程度超えているかはわからない。そうなってくると特定保健用食品や機能性表示食品は”そのままの表示しか認めない”と見る向きもあります。すると企業側の表現における幅が認められなくなります。
そうなると、テレビCMなどの15秒や30秒程度の広告表現では商品の違いの点を伝えきれなくなるので、やはり民間においては表現の規制とは言えるでしょう。
  
そして、「脂肪にドーン」に関しては、指導において言わんとしていることは理解できますが、消費者庁側が改善点はあると言っているにも関わらず、改善がどのように進んできたかを適宜?されていないと、課題点をおざなりにして民間を圧迫しているとも受け止められます。
 
全体を踏まえ、ポイントは2つあるかと思います。
1つ目は、誤認の判断は、表示対策課のみしか判断権がなく、それ以外の機関では、今のところ個別具体的な広告においての判断権が存在しない。
もうひとつは、個別具体的な部分の事前確認を行っていない一方、広告は内容どおりなら誤認を生じないという回答があった。
しかし、過去に既に曖昧なままの指導をしてきた流れがあるので、その観点で言えばこの「実際の商品・サービスの内容どおり」はどうかの判断に置いて誤認の基準はやはり必要であると言えます。日本語はそれほど解釈の幅がある言語だからです。
そのため、広告を発信する側が内容どおりと思っても、ズレていると言われたら終わりとなってしまいます。そのため、「誤認が生じないと考えられます」は、広告活動の中では、すでにそうはならないので対応しなくてはいけないことが明白になっている情報ではないかと考えられます。

ということで今回は、誤認に関しての部分をまとめさせていただきました。
誤認のルールが必要になると私は考えていますが、今回の回答で、その考えに「消費者庁も気づいているが手を付けていない現状があるのでは?」というような気づきもありました。
次回は、後半の回答をまとめていきます。

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