福岡の元旦、しずかなあさ
毎年、福岡に帰省する。
厳密に言えば東京生まれ東京育ちだが、従兄弟はみんな福岡にいるからだ。
二十一歳になった去年。親戚から聞かれることに就職も加わり、半ばぐったりとしながらも私は福岡にいて、初詣に向かった。
福岡の神社では福みくじと称して、おみくじと福引きがごっちゃになったクジ引きをやっている。
私は祖母に促されるままにそのくじを引いた。
そして、鐘の音を聞いた。
当たったのは一升瓶の日本酒。
神主さんが明るく「飲んだくれんしゃい!」と言って私にずっしりと重たい瓶を渡した。
そこで祖母に「生一本」という言葉を聞いたので、ずっとこの言葉はお酒にしか使わないものだと思っていた。
「生一本」心がまっすぐで一途に物事に打ち込んでいくさま。
あの時神様は少しひねくれた私に何を伝えたかったのだろう。
今年のお正月も福岡に行く。
また私は福みくじを引くだろう。
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