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十三機兵防衛圏プレイ雑感※ネタバレしかない

十三機兵防衛圏…1980年代の架空の日本を舞台に、滅びの運命に抗う13人の少年少女を描くドラマチックアドベンチャーゲーム。


全くもって間違いではない紹介文だが、全てがミスリード。

実際にはマトリックス的な仮想世界を生きていた主人公たちが、仮想世界の造り手たちの造反や現実世界のいざこざによって、目覚めさせられ、現実世界に足を踏み出すまでの物語。

この物語に出てくる人々は大きく分けて

・現実世界(=2118年)の人々

・仮想世界(1945-1985-2025)の人々

・AI(自立思考を持った人工知能)

・ドロイド(上記の人工知能を搭載したロボット)

が入り交じっている。

その分布を考えると大変頭が痛くなるのでここでは割愛する。

雑な起承転結(外部)は今思うと結構世知辛いというか「どんなに精密な機械でも使い手のヒューマンエラーと感情のしがらみによってめちゃくちゃにされてしまう」という話。

ただそこに十三人の少年少女が生き生きと動くことで感情がそっちに持ってかれるので外部についてはまあ……という気持ちになれる話だった。

キャラクターの造形は群を抜いて良く、それぞれのキャラクターに好感を持ち、共感しながらストーリーが進んだ。焼きそばパンずっと食べてた。どんどん彼らのことが好きになったし、幸せになって欲しかった。

このゲームは他視点をどんどん飛び越えながら同じ時系列のものを、違う視点から見ることもあるのでその度に新しい発見や驚きがある。その部分もとても楽しかった。

ただ、二点ほど納得できなかったところがある。

一点目。最後に主人公たちがマトリックス的な世界を再構築し、そこでデータ化された友人や家族を本物として扱い感激する。

ぬ????ってなった。いや、あなたたちが作ったのでは?と思い、消え去った親友と再会して涙するシーンで共感しきれなかった。

流れとしては「街中の人のデータ保存」→「新世界で落ち着いてからその世界ごとデータを再展開」→「街中の人全員復活」の流れなのだが、

主人公たちはあまつさえそのデータである人たちの意識を受肉させようともする。グロくないか?  ええんか??  主人公たちの中でドロイドに意識移植されて苦しんだ子もいたよね?  主観的な自分から見た他人しか作れない中で都合悪くなってデータ消したりしない?  それともどこまで行ってもデータの塊でしかないから、仲違いすらしない? 神に人が反抗しても、神様が本気では怒らないように。

それはグロくないか……?と思ったのがひとつ。

もう一つ納得できなかったのは「十三人の主人公全ての視点を見ることが出来るプレイヤー」とは誰なのかが一切語られないことだ。物語の構造上、「崩壊編」としてプレイ出来るタワーディフェンス型のバトルは実際に物語の中で起きている戦闘なのだが、プレイヤーはそれぞれのその戦闘に立ち向かうキャラクターに対して指示を出す。(キャラクターも指示を待つようなセリフがある)

ではプレイヤーとは何者か。

それが語られない。端的に言えば、それぞれのキャラに対してのめり込むためにプレイヤーは透明人間なのだと思うけれど……ややメタフィクショナルというか、ゲーム外部に伸びる仕掛けがあっただけにその接続がないのがぐっと来なかった。

アンダーテールをやったせいかもしれない。その部分が落ちなかったからこそ最後に全ての視点が回収されていく中で私は取り残された感覚を味わった。誰に感情を重ねることも出来ず、結局観察者として生を終えてしまった。

十三人を見ている時が本当に楽しかったからこそ悲しかったのかなあと思う。

不思議なゲームでした。

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