♯空を手に入れろ パラグライダーを始めよう!
―空へ憧れた理由―
こんにちは、フリースキーヤーの河野祥伍と申します。
フリースキーについてのご紹介は別の機会に譲るとして、今回はスキーヤーとして活動していた僕が、ついにパラグライダースクールへ通い始め、空の魅力に気づいた事を記事にしたいと思います。
まず先に、僕はスキーだけが好きという訳ではなく、アウトドア全般が大好きです。雪が解けていれば海に潜ったり、高い所から水に飛び込んでみたり、山へ登ってみたり。いろいろなアドベンチャーを経験してきました。
ただ、そんなアウトドアのなかでもスキーは別格で、スピード、フリースタイル特有のアクロバティックな動き、雪山登山をしている時の緊張感、蒼天に突き抜ける雪山の美しさ、パウダースノーの浮遊感など、とても筆舌に尽くしがたい快感が底知れぬほど存在する為、スキーを突き詰めてきました。
そんな僕ですが、一つ、アウトドア全般を通して好きな感覚があります。
それが”浮遊感”です。
浮遊している瞬間は自分と世界が一つになり、安全や安定とは切り離され、次の瞬間何が起こるかを脳みその全部全部を使って集中している状態になります。これはとても気持ちが良い。
そして、アウトドア全般を通して嫌いな感覚もあります。
それが”激突”と”衝撃”です。
とても残念なことに、僕の大好きな感覚と、僕の嫌いな感覚はニコイチで訪れます。そして、それはたったの数秒の差しかなく、一瞬の気持ちよさの後、とっても痛ーい(努力によってその痛みは軽減させていますが)瞬間が襲ってくるのです。
残念なことに僕は30歳の冬、この”激突”と”衝撃”によって左足の前十字靭帯を断裂しました。たった2秒の”浮遊感”の反動はあまりに大きく、元のパフォーマンスを取り戻すまでにとーっても辛いリハビリと筋トレをした上で1年間の日数がかかりました。
※前述の写真とは関係はありません
ここまで語ればなぜ僕が空への切符を手に入れようと思ったかは皆様お分かりかと思います。僕の嫌いな”激突”と”衝撃”を回避し、大好きな”浮遊感”のみをゲットしようと企んだからです。
付随して、ドローンを手に入れて空の世界の映像を見たときに衝撃を受けた事、たまたまゴンドラで一緒になったパラグライダーを夏のご趣味にしている老人たちが自分たちの事をパイロットと名乗ったことなどもとても僕の心を動かしたことを付け加えさせていただきます。
―パラグライダースクールへ―
さて、「パラグライダー始めたいんだけど」という気持ちを抱くと、疑問が多く出てきます。どこへ通えばいいのか、お金はいくらくらいかかるのか、そもそも自分なんかが空を飛ぶことが出来るのだろうか。
まずここで一番重要な事は金銭的な部分かもしれません。
僕がとてもビックリしたのは”パラグライダーにはレンタルが基本的存在しない”という事です。つまり、自分のパラグライダー機材を一式そろえないと空への切符は手に入らないという事になります。
スクールへ入校して、最低でも初めて高高度を飛ぶまで(僕は7回目に伺った時に初めて高高度を飛びました)に自分の機材を用意しなければなりません。また、パラグライダー機材は基本的に輸入品になる事や、メーカーも多くの在庫を抱えていない事から、数カ月待ちになる事もあります。なので、スクールへ入校と同時にパラグライダーの機材を購入する話となります。
凡そですが、パラグライダーの機材は中古でフルセット40万程度、新品で70万程度します。そこに入校料や教材費、リフト代やエリア登録費等々10万程度が加算されます。これがおおよそ入校時に必要な金額となってきます。また、入校の後に講習費、送迎、無線機のレンタル等で一日当たり3~4千円かかり、2年に一度のパラグライダーの車検、150日に一度のレスキューパラシュートの畳みなおしなどがあり、そこそこお金がかかります。
ま、あんまり深く考えるのをやめましょう。250ccの中古バイクを買うと思えば、まぁ任意保険や税金、車検やガソリン代でそのくらいはかかるでしょう。空への切符が手に入るんです、250ccバイクよりは価値のある事です。うん、そう自分に言い聞かせます。
※河野さんはモータースポーツには疎いのでこの計算は超適当です。
ここの金銭問題さえクリアできれば、あとはさほど問題にはなりません。聞いた話ですが、パラグライダースクールは1県に1つはあるとの事だったので、自分のお家から近いスクールへ連絡してみましょう。
と、言いたいのですが、一つ注意が。スクールに入ると、無事卒業するまでおおよそ3年程かかります。ここでの卒業とはパイロット証を取るまでという意味で使います。パイロット証を取ってしまえば、他のフライト区域でも飛ぶことが可能なので、自分のスクールのあるフライト区域を飛び出して別の地域の空を飛ぶことが出来ます。
という事は、3年間練習をする空を決める、というのがどこのスクールに入るかを決めることになる、という事です。つまり、飛行高度があまりなく、見通しも悪く、テイクオフが難しく、気象条件的にフライトする事がなかなか出来ない地域に行ってしまうと、、、。要するにそういう事です。
僕はそういった事は全く考えていなかったんですが、友人のつてを頼ってスカイブルー白馬八方尾根パラグライダースクールへ通い始めました。
そう、長野県が世界に誇る白馬村です。北アルプスがそびえたつ日本離れした山岳風景とまさに原風景と言うべき水田が町一杯に広がる究極の風景を持った白馬村。ここをホームエリアにすることはとても価値のある事でした。
ぜひ、どんな風景の中を飛びながら自分の技術を高めたいのか、なども考えながらスクールを選んでいただくのも一つかもしれません。
※家から出来る限り近いというのが出費を抑える最強の手段であることは言うまでもありませんが。
―スクールへ入校してから高高度を一人で飛ぶまで―
僕のお勧めは春の入校です。春はスクールも空いている事が多いようで、先生も付きっ切りで教えてくれることが多いです、たぶん。また、夏だと風が穏やかでも上昇気流が発生してしまって初心者は飛ぶことが出来ない事があります。4~5月に入校して早めに高高度に慣れる事が重要になる気がします。
あと、入校したい意志が決まったら早め早めに連絡をしてください。中古のパラグライダー機材を手に入れる事が出来るかもしれません。「出来る限り出費を抑えたいので中古の機材があれば是非教えてください」と、早めに連絡します。あればラッキーくらいのノリです。
さて、入校してしまうと、次の目標はきっと高高度単独フライトになると思います。高高度高高度さっきから言ってますが、それってなによって話ですね。パラグライダーのスクールでは(基本的に)低空飛行でテイクオフとランディングを繰り返し行い、それを熟達させていきます。
そしてある日突然、「じゃ、飛ぼうか」と言う軽いノリで空へ放り出されます。それが高高度です。
数字にすると10mくらいの高度で飛んで練習していたと思ったら、ある日突然700mくらいの高度から飛び立つ日が来るのです。怖いでしょ?怖かったです。
立ち上げ練習風景
実技3日目でこれくらい浮きます。空への慣れは空で習ってください。
スキーやハイダイブではありえない浮遊感を実技三日目で体験します。他のスポーツをしているアドバンテージなど存在しません。脳が死ぬほど疲れます。この日の夜酒飲んで数年ぶりに二日酔いで吐きました。
凡その日程を書いておきます。
1日目 パラグライダー機材のテイクオフ前の準備の仕方
2日目 雨の為学科
3日目 立ち上げ、頭上安定、低空飛行、ランディング
4日目 前日と同じ(ちょっと高い位置から5秒ほどの飛行)
5日目 より高い位置からの飛行。ターン練習
6日目 低空飛行最終チェック、学科、タンデム高高度
7日目 単独高高度
と言った流れです。
人生初の単独高高度フライトは動画に撮ってありますので是非ご覧ください。死ぬほどドキドキしているのが伝わると思います。
さあ、皆様もおおよそ空へのチケットのゲトり方はわかったでしょうか。
ここまで来れば、空はあなたの物です。
と、言うのは少々言い過ぎで。
後僕は5日ほど通うと実技試験と学科試験があり、ベーシックパイロットの資格を取得します。その後数カ月間で約100本というフライト経験を済ませるとプライマリーパイロット証の資格を取得。これが仮免許ですね。パイロット証を持っている人と一緒であれば日本各地のフライトエリアで飛ぶことが出来ます。さらに1年ほどの経験を積むとパイロット証が手に入ります。これがいわゆる本免許ですね。これを持つと一人で世界中のフライトエリアに赴き、この広い空を自分の能力を頼りに飛ぶ事が出来るようになるのです。
一応その後、エキスパートパイロットというさらに上級の資格もあり、それを取得するとクロスカントリーフライトという、すんげー長い距離を飛ぶことが出来る免許を取る事も出来ます。
他にもタンデムと言ってパラグライダーを習っていない人と二人乗りする免許や訓練生を指導する資格なども存在しますが、まぁ僕にとってはそれを取得するかどうかは数年後の決定となるので、おいておきましょう。
―備考―
さて、もう少しだけあなたのやる気を煽りましょう。
パラグライダーの生徒さんは割とお爺ちゃんが多いです。と言うのも、お金があって、時間に余裕があって、というのはリタイア後であるパターンが多いからです。65歳などで入校して来る方が結構多いそうです。
つまり、あなたがそのくらいの年齢であってもパラグライダーは始められますし、それより若いのであれば僥倖です。体力も筋力もあれば、パラグライダーの上達はやはり早いです。
更に言えば、パラグライダーはかなりの技術スポーツです。体力や筋力は旨くなってしまえばほぼ必要ありません。なので、体が動かなくなるまで(車いすを改造して飛んでいる方もいるそうです)続ける事が出来ます。
さらに時間があればタンデム証を取得して「彼女!明日空飛びに行かない?」というナンパをする事だってできます。僕が女性だったら割と冴えなそうな人でもそんな言葉をかけられたらたぶん着いていきます。
さて、僕がまだスクールに通い始めて10日目までに感じた事などを書かせていただきました。細かい注意点などは僕が書くより、現地の先生に聞きながら自分で体験するのが良いかと思います。ぜひ興味がある方は参考にしてみてください!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?