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カセットテープが思い出させる「時間」+ jukebox

TEXT by Ryotaro Okazaki

ゴソゴソと思い立ったかのように掃除をしていて時、段ボールの底から20年程前のカセットテープが出てきた。
私は今三十路に突入したばかりだから、このカセットテープを使っていたのは10歳前後の時だ。

小学校高学年から中学校にかけて、夜はNHK FMを聴いていた。夜9時から始まる邦楽のカウントダウン番組に始まり、その後の青春アドベンチャー、中学生になると11時台のクロスオーバーイレブンを聴いて寝るような日々だった。
その時にカセットコンポを持ち出したり、ポータブルプレーヤーを使って番組録音していた訳だ。

時代はすでにCD、MD時代だったのだが、幼少期にカセットテープで番組ごっこをしていたせいもあって、テープ録音は好きだった。A面からB面に切り替わるタイミングも自動切替のぶつ切り感が嫌で、切れ目の良いところでB面に切り替える作業では神経を使った。

今ではスマホでSpotifyかYoutubeだ。昔に比べたらラジオは聴かなくなったし、テレビにいたっては数ヶ月の間に何回か見る程度だ。Spotifyのオススメ機能は随分賢い。視聴履歴やプレイリストから絶妙なおすすめを出してくれる。合わない曲はすぐに飛ばせる。それを元にまた学習してくれる。

アナログデジタルの論争にはよく巻き込まれるが、二つのバランスは大事に保っておきたい。テクノロジーの進歩で、これまで、叶わなかった事や出会えなかった事は実現しやすくなった。早く、効率的に解決しより良い生活を手にする。これは決して悪い事ばかりではないはずだ。

ただ、カセットテープのように音や情報に簡単に辿り着けない経験は、気付けば早く進みすぎる現代にとって癒やしのように感じる。ノスタルジーから来るものだけではない、ゆっくりとした時間が流れている。別の時間軸をいく生きているメディアだ。

少しやきもきしながらもプレーヤーのボタンを操作していたあの体験を、また経験してみたいと、私は今プレーヤー探しに夢中である。

※写真は当時のカセットテープだ。大量にカセットテープを買うわけにもいかず、ラジオ番組は上書きで録音してしまったものもいくつかある

[ jukebox---*-*--- ]

EarlKlugh 「Captain Caribe」
リーリトナー版も聴き比べてみていたが、アールクルー版の方が当時は聴きやすかった覚えがある。地元ニュースの天気予報でBGMによく流れており、母に曲名とアーティストを聞いた。朝のお気に入り
Carpenters「Rainy Days And Mondays」
地元チェーン飲食店で流れていたカーペンターズアルバムの中でこの曲とsuperstarが好きだった
高中正義「ALONE」
とにかく聴いたとき身体の芯から響くような力強い音が好きでカセットテープのプレイリストによく入れていた。

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