カスタマーがサクセスするということについて本気出して考えてみた
はじめに
はじめまして。freee Success Advent Calendar 2023 20日目担当のueと申します。大きめの丸眼鏡をかけています。
私は23年10月、freee人事労務のカスタマーサクセス(CS)としてfreeeにJoinしました。
freeeに入社する前の直近5年ほどは
▪飲食店予約サイトの既存営業
▪法人向け動画プラットフォームのCS
というエンゲージメント生まれ Life Time Value(※)育ちな足取りで歩んできました。
今は電子契約サービス「freeeサイン」の提供価値をくりんくりんに磨き上げるプロジェクトに携わり、毎日楽しくfreeeサインCSのあり方を模索しています。
関わるサービスが変われば追いかける中間指標や支援手法は変わります。
しかし同じCSである以上、変わらずに突き詰めていくものもあると感じています。
アドベントカレンダー20日目となる今日は、そんな普遍的なテーマのひとつである「顧客の成功とは何か」について掘り下げるエントリーです。
「顧客がサクセスする」とはどういうことで、どんな意味があるのか。
あたりまえであるが故に日常業務のなかで通り過ぎ去られがちな、そこんところを改めて考えてみたいと思います。
サービスを通じたサクセス
サクセスとは何かを問うために、まずサービスというモノに立ち返るところから始めます。
思うにサービスとは仮説です。今ある世界を、自分たちが信じるVisionに向けてちょっと前へ押し進めるためのものです。
freeeの場合は「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム」というVisionを掲げていて、この旗印の下にfreee会計やfreee人事労務、freeeサインなどのサービスを展開しています。
仮説とは、ある事象と別のある事象を繋げる線です。
すべてのサービスの最大公約数的な仮説があるとしたら、きっと以下のようなものでしょう。
「うちのサービスを導入すれば、顧客の毎日はもっと良くなる」
「うちのサービスが広く普及すれば、世の中はもっと良くなる」
こうした仮説の提唱者がfreeeのようなベンダーです。
顧客はその賛同者にあたり、同時に検証人でもあります。
「顧客のサクセス」は答え合わせ
先ほどのVisionに立ち返ると、「freeeのサービスを使えば、だれもが自由に経営を行える」ことをfreeeは証明したい。
ですがそれは、freeeによってではなく顧客によって検証されることなんです。
なので私たちCSは、顧客の「Vision検証フロー」を全力でお手伝いしていきます。顧客がfreeeを使ってハッピーになれば、ひとつ検証が進んだことになります。
顧客がfreeeを使ってハッピーにならなければ、その原因を追求します。原因が機能的なものであれば機能改善のフィードバックを社内で共有し、オンボーディングに改善の余地があるなら手を入れます。
CSは上記のような営みを通じてサービスを強化し、強化されたサービスはより多くの課題を解決し、それによってより多くの顧客の毎日がもっと良くなる=サクセスしていく。
顧客のサクセス如何によって、ベンダーは自社が掲げるVisionとの現在位置を答えあわせする。
そんな構造になっているんですね。
サクセスを定義する
「顧客がサクセスする」とVisionが検証されるということがわかりました。
では、Visionの検証が前進しているかどうか=顧客がサクセスしたかどうかはどのように測れば良いんでしょうか。
最も無味乾燥な答え、それはKPIです。
一般的にCSでは顧客の行動の結果を指標化したものをKPIとすることが多いと思います。つまりChurn Rate、MRR、ARPA、NRRといった面々です。
こうした指標が上がり下がりすることによって、契約中の顧客にとってサービスがイケてるかどうかを計測しているわけなんですが…まあでも、これを書いているのは金曜日の夜7時。正直指標の話なんてまっぴらです。
KPIともうひとつ、顧客がサクセスしたかどうかを測る上で外せないモノがあります。それがこの章の掲題にもなっている「サクセス定義」です。
要するに「サクセスってなに?」ということです。
「それ1個前の章までで長々やったじゃん」という方。
しっかり読んでくださりありがとうございます。
前段までの「サクセスってなに?」は「ベンダーにとってのサクセス」という文脈でした。
ここで考えたいのは、顧客がどうなったらサクセスしたと言えるかという、顧客にとってのサクセス定義。言い換えると「顧客のサクセス体験」のことであり、もっと突き詰めると「PMF」のことです。
自社サービスによって顧客がサクセスを体験したかどうかを測るためには、自社サービスが提供できるサクセスを定義する必要があります。
「何が顧客のサクセス体験か」は顧客の数だけあるので、それらを共通因子で束ねて、大きな流れとして見えるようにするってことですね。
顧客のサクセスを定義する際にはいくつかのフレームワークを複合的に用いることがあります。
SaaSの界隈では、よく「CJM」と呼ばれるものや「ヘルススコア」と呼ばれるものが登場します。
忘れないでおきたいのは、CJMもヘルススコアもVisionと同様に「仮説」であり、検証する必要があるものということです。
freeeのカスタマーサクセスでも、ジャーニーマップのプロジェクトが今なお至るところで走っています。
ユーザーに「マジ価値」を届けるために「ユーザーってどんな人?」「価値ってなに?」と問い続ける姿勢の表れのように思えて、私は結構好きです。
定義したサクセスを再現する
CJMやヘルススコアといった取り組みは、「顧客のサクセス」なる抽象的なものを具体的な型に落とし込むものでした。
これは顧客がサクセスする再現性をすこしずつ高めていくことが狙いです。
ここまでの内容を振り返ると、サービスはVisionの具現であり、サービスによって顧客がサクセスすることはVisionへ前進すると同時にVisionを検証することでした。
また、顧客がサクセスしたかどうかをいろんな指標や施策によって計測・仮説立てしていくことは、顧客のサクセスを定義することに繋がっていました。
したがって定義したサクセスがさまざまな顧客のもとで再現することは、プロダクトやCS活動・サポートの活動を含めた広い意味でのサービスがある意味で「正しい方向にいっている」ことを意味してくれます。
仮説を立てる→検証しながら型を作る→より広い範囲で再現させる
という一連の営みがぐるぐる回っていくことでサービスに象徴されるVisionなるものへぐんぐん近づいていくはずです。
顧客のサクセスとは、このサイクルを回すための貴重な燃料のようなものなのかもしれないですね。
次回予告
アドベントカレンダー21日目となる次回は…
freee CSのコミュニティリーダー 、「今日も金髪」kimpaさんです!
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