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UFO

 アメリカの国防総省が「謎の空中現象」として公開した映像にUFOのようなものが記録されている、と新聞に載っていた。現時点では正体不明であるそうだ。たしか新聞には「もしUFO、宇宙人に遭遇した場合は優しく迎え入れることが求められる」といった趣旨のことが書いてあってなるほどなぁと思った。はるか昔『バクマン。』という漫画で「シリアスな笑い」っていうワードが出てきて「シリアスな笑いって何?」となかなか具体的なイメージがつきにくかったけど、新聞にUFOに遭遇した場合の対処法が書かれているという事実が「シリアスな笑い」なんだなきっと。

 UFOと思わしき飛行物体の9割は別の何か(たぶんフリスビーかなんか)であるが、残りの1割は未だに解明されていないらしい。その1割にUFO愛好者はミステリアスな浪漫とでもいうのかな、そんなものを求めるのだろう。
 

 現代社会はインターネットが発達し、スマートフォンによって人間の私生活は対外的に開かれたものになっているから、よりUFOという謎のベールに包まれたミステリアスな存在には惹かれていくのではないだろうか。これはつまり飛躍的に言えば、プライベートを他人と共有して公然性の高い生活を送っている人間ほどUFOという未知の誘惑に陥りやすいのであり、私のような非社交的で閉塞的な自己完結型の生活をしている人間はその私生活自体が未確認飛行物体のようなものであるからしてUFOなどというものにはミステリアス性を求めないのだ。自身の生活がミステリアスそのものなので周囲からはUFOのように「実際に存在しているのかどうかもわからない物体」として扱われるのである。よってそのミステリアス性を保持するためにも、私のような人間はLINEやメールなどの他人との連絡手段は不要であり、一生地下牢で暮らすべきなのである。
 ここまで何を書いていたのか自分でもわからなくなってきたが、とりあえず全部新聞に書いてあったことにするので疑問に思う点があったら各々の自己責任で新聞社まで問い合わせてください。


おわり

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