まず隗より始めよ
今日考えることは、これに尽きる。もうここで飽きてしまった人は、記事を閉じてもらっても構わない。
こういう悩みを口にする人がいる。
「私はこうしているのに、○○さんはずっとこうだ。全く変わってくれない」
人間関係ではよくある悩みだろう。働きアリの法則で言うと怠けアリを改心させることは難しい。嫁-姑関係で言うと姑の息子贔屓を和らげるのは難しい。
これらの問題に直面すると、多くの人は自分が問題となっている人に働きかけて、他人を変化させようとする(これを便宜的に積極的アプローチと呼ぶことにする)。しかしご存じの通り、大人になってしまった人間の性格や価値観はそう変わることのないものだ。
ではどう解決するか。私は消極的アプローチが有効な場合もあると思う。例えば、怠けアリが居づらい環境に変えてしまうだとか、姑との関わりを減らすだとかが考えられるだろう。一見不可能のように見えるやり方でも、「回りくどいしできるはずがない」と決め打って考えるのと、「この方法ならあるいは」と賭けてみるのとでは、出てくる結果も異なるのではないか。
この消極的アプローチには、実は「まず隗より始めよ」のエッセンスが詰まっている。
先に述べたように、大人の性格や価値観はなかなか変わらないものである。これらを変えることに労力を割くのではなく、まずはこの状況を所与として受け入れて、その上で自分や組織がより都合の良い状態になるためにはどうすればよいかを考える。
そうすればてこでも動かぬ他人の性格よりもよっぽど動かしやすい自分の体が問題解決を容易にしてくれることもありうるだろう。
「○○さんが全く変わってくれない」というのは、字面からも分かるように問題の解決を他人の変化に委ねている。すなわち、自らを改めることは程々に、相手への変化を強いているのだ。これでは相手がよっぽどのお人好しでもない限りは変わらない(そして、他人の忠言を全く聞き入れない人間というのはたいていお人好しではないだろう)。
まずは自分から変化を起こしていく。自分や、自分の考えに理解のある人、周囲の環境を変えていると、問題は次第に解決へと向かうかもしれないし、てこでも動かなかった人が性格を改めるかもしれない。
大人の性格は所与か他人依存。この言葉は先生が仰っていたものだが、私の中にある数年来の悩みをズバリ解決してくれた。清々しい体験をした。
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