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私に還る旅 #4 〜出発の朝からはじまった二極体験



純粋な意図のタネは川を勝手に流れていく。何があっても。




#4 出発の朝からはじまった二極体験


羽田出発は午後の便の飛行機。

前日には、タクシーアプリで空港までの迎車を12:30に予約し、
お風呂に浸かって午前1時ごろに就寝しました。
が、いつも一緒に寝ている18歳白猫のピノちゃんが布団を出たり入ったりしていて、なかなか寝付けず、浅い眠りでうつらうつらしていると、午前4時半ごろに遠くの方で音がして目が覚めました。

ピノちゃんが床で吐いている。

猫が吐くのはそんなに珍しくなく、特にうちの猫たちは朝ゲロ(お食事中の方がいたら失礼)をたまにするので、あーあ...と思いながら、起きて片付けました。ただ、ずいぶん茶色い、多分もうすっかり消化は終わったものを吐いていたのだけがちょっと気になったけれど。
そうしてピノちゃんと一緒にまた布団に入り、彼女を撫でていると左側の腎臓が指に当たって、あきらかに腫れているのを感じたので、レイキをあてるようにその部分を撫でてあげながら、またうつらうつらしていたら、1時間もしないうちにピノちゃんは布団から出て、

また吐いた。

んーーー…。と思いながら片付けて、今度は布団に入らずソファのようなものに横になってうつらうつらしていると、また1時間くらいして、先ほど飲んでいた水を吐いた。


さすがに、この短時間で3回も吐くって尋常ではない。
これは寝ている場合じゃないわ。と吐いたものを片付け、
ピノちゃんの様子をしばらく見ていました。

彼女(ピノちゃん)は、そのあと、トイレに入るでもなく、水を飲むわけでもなく、もちろんごはんも食べずにまたベッドに戻って寝てしまいました。

んーーー....。水も吐いてしまったし...。寝ているのを起こしたくないので、じっと見ていたけれど、確実に絶好調!って感じではないのはわかる。
どうするか。と思ったけれど、完全に寝不足で頭が回らない。

今考えれば、演奏は次の日なので、飛行機の便を変えるとか、そんなこともできたよなぁ。と思うのですが。その時は、クリスタルボウルのバッグが2つあって、それを機内持ち込みをするつもりだったので、シンちゃんと一緒じゃないとなぁ…。とか、そういうのもあって。

とにかくまた吐いたら考えよう。と思いながらコーヒーを淹れて、
猫たちのごはんと水のセット、空調や加湿器の調整など、出発の準備を少しずつ始めることにしました。

でも結局、そのあとピノちゃんは吐かず、眠ったままでした。

どう見ても元気がないようにみえる。いや、そもそも3回吐くなんて体調悪いのだろう。腎臓の腫れがあったので、なおさら心配になったけれど、
どんどんタクシーが来る時間が迫って来て。

空っぽの胃がキリキリと痛くなりました。

でも、「猫たちは大丈夫。」って、確かクリスタルボウルに言われたよなぁ…。と思い返しながら、じっと様子を見ていました。

そうこうしているうちに、とうとうタイムリミットになって、眠っている彼女(ピノちゃん)に声をかけたけれど応答なし。起こすのも可哀想なのでそのままにして、これまた爆睡しているトラネコの空丸に声をかけて(こちらも応答なし)、家を後にすることにしました。


睡眠不足マックスだったので、タクシーの中で眠るつもりだったけれど、
ピノちゃんが心配で、まったく眠くないし眠れない。数日ほとんど食べものをいれていなかった胃も、この緊張で上下したり痛かったり。

でもとにかく、睡眠不足は最近、本当にテキメンに体調が悪くなるし判断力もなくなるので眠る努力を、と思い、10分でも、5分でも…。と。目を瞑り、やっとうつらうつらした〜というところで、今度はタクシーの運転手さんの

「お客さん、ラッキーですねえ!!!」

という声で起こされました。

ラッキー???


見ると、車はもう空港に入る分岐に来ていて、隣の車線が大渋滞していました。「これ、ほんのちょっとでも遅かったら、この渋滞が後ろまで伸びてきて完全にハマっていましたよ。いやぁ、本当よかった!お客さん、すごいラッキーですよ。」と。

そうして無事に、予定の時間よりもかなり早めに出発ロビーに到着できました。


眠れなかったけども…(苦笑)。
けれど、思いのほか、しっかりした足取りで、下ろしてもらった荷物をカートに乗せてゴロゴロ移動して、ただ思考は停止したまま、LINEでシンちゃんと待ち合わせのやりとりをしながら、先ほどの「お客さん、ラッキーですよ。」の言葉が妙に耳に残っていて、思い出していました。

うつらうつらしていた時に聞いたせいか、まるで啓示のようだった。と。


とはいえ、ピノちゃんへの心配は変わらない。

予定より早く着いたので、とりいそぎ夜に誰かにうちに見に行ってもらって
ビデオ通話でピノちゃんの様子を見せてもらおう!と思い、
最初は明日シッターをお願いしたひで。さんにLINEをしました。
でも、ひで。さんは明日の朝早くに来てくれることになっているし、この土日に、ご家族もいるのに、遠いところ何度も来てもらうのは申し訳ないな、とも思い、うちのマンションの住人でやりとりがある男性にLINEを入れてみました。でも彼は猫を飼ったことがないからなぁ〜…とLINEを入れてから思っていたところ、ふと思いついたのが、猫2頭飼っている元オットでした。
もう背に腹は変えられない。奥の手使うか!という気分で、そちらにもLINEを入れてみました。


とりいそぎ思いついたまま送ったものの、3人とも返信がないので、
その間に、クリスタルボウルのバッグ大小2つ、機内持ち込みの手荷物にできるか?カウンターに相談をしに行きました。
大きいほうは実は機内持ち込み既定のサイズ3辺の合計はクリアしていたけれど、円形の変形ケースなので、座席上の棚には入らないかもしれない。と心配していたため、「クリスタルでできた楽器で破損しやすいため、できれば持ち込みたい。」と言ってみると、メジャーで測ってくれて「大丈夫ですよー。座席上の棚に入れてください。」と言ってくれました。


よかった〜。と、ほっと一息。


というところで、ひで。さんから返信が来ました。けれど「他の人にも聞いているのでちょっと待ってー。」と言っている間に、元オットが「いいよー」「18時ごろ見にいくのでも大丈夫?」と返信をくれました!

よかった!!!

元オットも天使に思えた!(認めたくないけども(笑))

と、こうしてワタワタとしている間に、すぐに搭乗の時間になってしまい、
元オットと鍵の場所などをLINEでやりとりをしながら、お待たせしていたシンちゃんと一緒に機内に乗り込みました。

席についてすぐに、座席上の棚にクリスタルボウルの大きいケースを入れようとしたけれど、なんと!入らない!シンちゃんが「座席下でいいんじゃない?」と足元に置いてくれたけれど、CAさんが見に来て「上に入れてください」と言う。入らない旨を説明したら、大きい方のバッグを「別の収納に入れますね。」と持って行ったけれど、入らなかったようで…(苦笑)。

CAさん何人かが相談していて、結局「すみません、あちらの席が一席だけ空いていますので、あちらに乗せますね。」と。
振り返ってみると、3列ほど後方の3席の真ん中が1席だけ空いていて、そこにクリスタルボウルのバッグがちょこんと置かれ、シートベルトで固定されていました。
まるで座っているみたい。ちょっとカワイイことになっていました(笑)。

ちなみに、機内持ち込みの手荷物の件で、ネット検索を散々していたのですが、楽器持ち込みで座席ひとつ使用する場合、まるまる1人分の搭乗料金が追加で必要なのです。でも、今回はサイズを測ってくれた空港スタッフの方が上の棚に入ると判断して持ち込みOKとなったので、料金も取られず。
それもこの時期の出雲行きの飛行機はどれも満席だったのですが、偶然1席空いていたので、乗せてもらえるようになった
のでした。

私はこの状況をなかば傍観しながら見ていて、頭の中でリピート再生される
「お客さん、ラッキーですねえ!!!」という声をずっと聞いていました。

不思議と、この旅自体が何かにサポートされているようかのように、
すべてがスムーズに進んでいっている。

私の抱えている状況とは全く関係なく。

そう、私自身は睡眠不足で、さらにピノちゃんの容態がずっと心配で、
まったく旅に入り込めない。気持ちはずっと東京の自宅に在って、
とにかくビデオ通話で顔を見ないと落ち着かない。って思っていました。


そうして、飛行機は無事に出雲空港に着きました。



(つづく)

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イトナミダイセン藝術祭、11月13日まで開催しています。







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