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【日経COMEMO】越境ワーキングが救う人材について

海を越えて働く越境ワーキングについて、日経COMEMOの投稿募集がありました。

私自身は越境ワーカーではありませんが、海外に在住の日本人の知り合いもいますし、海外の現地の方と仕事でやり取りすることもありますので、思うところを書いていきたいと思います。

投稿募集の冒頭にも紹介がありましたが、海外駐在に帯同する家族(主に配偶者)に的を絞って書いていこうと思います。

帯同先の海外で仕事をする場合の障壁

夫や妻が海外赴任することになり、日本での自分の仕事を辞めて海外に帯同するケースがあると思います。そのような場合に、帯同先の海外でも仕事をしたいという方は多いと思いますが、ビザの種類やその国の法律や慣習により、多くの制限があるのが実情のようです。

例えば、シンガポールでは、家族ビザによる帯同者は、LOC (Letter of Consent)という比較的簡単な許可を取れば、シンガポールでの就労が認められていました。しかし、今年の5月からはこれが廃止となり、シンガポールでの就労には就労ビザ(取得要件が厳しい)の取得が必要となってしまったと聞いています。

また、シンガポールに限らず、そもそも家族ビザのような帯同ビザでは現地での就労を認めない国も多いと言われています。

解決策としての越境ワーキング

このように海外での就労には多くのハードルがありますが、越境ワーキングであれば、例えば、海外で日本の仕事を行うことができる可能性があります。

私個人としては、日本で働いていた会社との雇用関係を継続するか、一旦退職した上で業務委託契約により同じ仕事を帯同先の海外でも継続できたらベストだと考えています。(尚、シンガポールでは日本の会社との雇用関係が必要なようです。)

新しい仕事を海外でやるのは色々大変だと思います。言葉や慣習の問題、人間関係の構築、慣れない仕事など、悩みは尽きません。しかし、同じ仕事を継続できれば、心理的な負担は非常に小さいですし、キャリア的にも金銭的にも良さそうです。会社としても、同じ人材に仕事を任せられるため仕事の質も担保されますし、別の人材を募集したり人事異動で引っ張ってきたりする人繰りを考える手間からも解放されます。

越境ワーキングを認めるための制度や配慮

日本の会社が越境ワーカーを使うことを前提とすると、使用者側の日本の会社は柔軟な対応しなければならないと思います。

国によってはシンガポールのように雇用関係が必要ですし、越境ワーカー側の納税や社会保障も配慮する必要があります。納税は日本の当局に対して行うケースが多そうですが、会社が源泉徴収をきちんとしてあげるとか、日本で納税するための納税管理人を付けるなどといった対応も必要になりそうです。しかし、これからの時代、優秀な人材を確保するためには積極的に越境を認めるなど、会社側には柔軟な対応が求められるかもしれません。

一方で、越境ワーカー側としては、会社に十分な成果を提供するために必要なスキルや能力を身に付けなければならないと思います。会社側としてはある程度の手間を掛けて使用する訳ですから、それに見合った成果を発揮できる人材である必要があると考えます。会社側も、越境ワーキングを認めるに当たっての越境ワーカーの能力条件や提供してもらう成果の定義、通信機器の補助などを設定する必要が出てきそうです。

その他の越境ワーキングが救う人材

例えば、海外の会社の現地採用で勤務している日本人の場合、日本にいる両親や親戚の介護をしなければならないといったケースでは、日本に帰国して海外の会社の仕事を越境で継続できれば、会社にとっても本人とっても良いことだと思います。少し脱線しますが、これからますます高齢化が進む日本においては、介護は非常に重大な問題となりますので、越境ワーキングも含めてあらゆる手段が検討されるべきだと思っています。

また、ワーカー本人が病気やケガで療養しなければならない場合、100%の仕事ができなくても、療養先での越境ワーキングにより仕事が継続できるのではないかと思います。

さらに、時差を活用できるケースもあると思います。例えば日本時間の日中にプレゼン資料を作成し、これをヨーロッパの方に渡してチェックをしてもらえば、日本時間の翌朝にはきちんとした資料が出来上がり、クライアントに説明できそうです。時差を活用すれば会社としては24時間の稼働も可能かもしれません。

終わりに

今般のコロナ禍により、テレワークを行うことが日常となりました。パソコンさえあれば、どこにいても仕事ができる時代になってきていると実感しています。テクノロジーの進歩により、越境ワーキングが可能な職種も増える可能性がありますし、働き方の選択肢の一つとして越境ワーキングが定着していったらいいなと思います。

#日経COMEMO #越境ワーキングが救う人材

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