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現場で実践するからわかること 【比べない体育 Vol.6】

船橋インターナショナルスクールで、『古武術で遊ぼう』のクラスを担当してくださっている玄武術【天根流】代表の方条遼雨さんと共に、比べず、体を育んでいくための場について学びを深めるため、『比べない体育』という講座を開いています。詳しくは、こちらのnote記事へ。

この記事は、2021年4月開催分の講義ノート(実践編)です。
◆は方条さんのお話、◇は参加者の方のお話です。

【実践】初参加でも発表してみよう

(初参加の方が、しばらく言葉はなく笑顔で前に立つ)

他の参加者:質問していいですか?

Q:(講座を聞いて)場の作り方について、違いや同じだと思ったことはありましたか?
A:自分が習ってきたときのやり方がモヤモヤすることがあったけど言えず、自分の中で考えるということをしていました。引っ込み思案だったけど、従わなかった。私がやるなら、みんなで育てる場を作りたいと思っています。でも難しい。


Q:どんなところが難しい?
A:未熟なりにやってきたら、講師も生徒も一緒に立ち上がってきた。けれど、新しい子たちが増えてきて、上の子が下の子を受け入れないという、今までになかった資質を持っている子たちが増えてきた。"自分を見てほしい"が強い子がいる場になっている。踊りを教えるどころではなくなってしまうことがある。

他の参加者:承認欲求が強い子は自分で近づいてくるから、ほっておいてもいいかもね。やり方はあるかもね。


【方条さんへのQ&A】

Q:改善されないことに大人がイラっとしたらどうすればいい?

方条さん:イラっとするのはイラっとした人の問題。苛立つ自分の問題と考えた方が解決は速い。その子が、改善しようとすらしていないのなら、その人なりのふるまいだからほっとけばいい。

場に改善しない人がいた場合、改善しないというい負の歪な重力が働いたりする。どのくらいの距離をとって、どう働きかけるかのフォーメーションができてきて、全体でその人の解決しなさを補うような場ができてくる。直接改善しないことを攻撃するのではなくて、全員がその人がいる状態での最適を目指せば、そこに巻き込まれてその人の改善が始まったりする。

圧力とか攻撃で修正しようとすると、その人の重力が高まりすぎて崩壊してしまったりする。圧力や攻撃で修正や強制を試みると委縮してしまって、ますますチャレンジができなくて成長が止まってしまう。だから運動嫌いが増える。怒られたり採点されたり補欠にされたり、そういう人もいる中でどう楽しくするかを考えればいい。周りから包み込むように改善を促すことが近道だったりする。

思ったことをシェアすると他の人の情報にもなる。


◇初参加の方の感想

のびのびと失敗する環境は、私も欲しい環境。誰もが欲しい環境。場と宇宙、場はステージという話は、インプロのやり取りをしている状態に似ている。先ほど初めての方の発表で、言葉が出てこない人がいた時に質問をすることが呼び水になって、スピーカーが話し出したのを目の当たりにした。

◇サポートスタッフTさんへの質問

Q:最初のころより、いい状態の場ができていると話していた。何をもって良い場と感じたのか。

A:(FISの古武術で遊ぼうの) スタッフが2人だったということもあったのだけど、それぞれが一生懸命すぎて響き合いもしなければ、分断されてた感じ。

その時の方が、密度は濃いけど狭いし、小さいし、つまらない、決まったことをやってる感じが強かった。今は、人が増えたのもあるし、場が広いこともあるし、お互いが言葉で伝えあわなくても連係プレーをとるから、安心して任せられるということが分かってきている。

笑いものになってもいいし、失敗しても誰かが拾ってくれたり、別のことをしてくれる安心感があって、余白ができた感じがする。何でも試せそうな気がする。子どもたちと遊びを作る創造性が今の方が広い。だから動けている感じがある。

何かをするのでなくても人と接する安心感、信頼感も育める感じがあって、それがいい。余白だったり失敗してもあるべきところに行くよねといいう安心感。

◆失敗と均し

今の失敗は、重力のエアポケットのようなもの。失敗が起きると慣らしが入る。問題が生じると場のフォーメーションを変えて場が動き始めるんです。トップダウンの構造は個々が考えない馬鹿になってしまう。

理想とするのは、場に集う人それぞれの人がその人自身の司令塔となっている状態。そいう場は、集合知性のある場になる。

個々に独立して一つの大きな生命体になる。個と集団の両極があると、ミスしてもトップがいなくなっても、フォーメーションを変えて動いていく、そういう集合知にしていきたい。

だからオープンソースにするし、フィードバックができる場を作る。そこにお土産を持ってきてくれる人がいるような場に育ってきていますね。

前回までの内容はこちら


講師 / 方条遼雨
文責・写真 / あおいえりか

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