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自分で手品をやってみよう!(『みんなの日本語』10課 〜〜に◯◯があります)

日本語を教えています。
テキストをなぞるだけでない、実感を伴った学びを大切にしています。
今回は、日本語テキストに出てくる文型を、自分で手品をすることによって身につける!というのを試みました。(下の方に実践動画あり)

生徒は英語もわからないカンボジアからの技能実習生。
普段、日本語に触れる機会もほとんどありません。
前回の授業で『みんなの日本語』第10課の
「(場所)に◯◯があります<います>」
「〜〜の(位置)に◯◯があります<います>」
を学んでいます。

生徒は、「位置」の「前後上下・・・」などは覚えられるのですが、
「〜〜の(位置)に」という語順がどうも苦手なようです。
以前、よくできる初級後半のベトナム出身の人に教えていた時も、
彼女が雑談の中で、店の位置を説明する場面で
「隣の”やまや”? ”やまや”の隣・・・?」と混乱していたのが印象的でした。
やはり前回の授業でも、この語順で話すのが苦手だな、と感じていました。

前回の授業で
「私のカバンの中に 〜〜や〜〜があります」

「私の筆箱の中に・・・」
など、手持ちのものを使って”実感を伴うプラクティス”をやっていたのですが、もう一押しだな、と感じていて、もう一度練習したい。それも、もうちょっと面白くできないかな?と考えていました。

ネット上に、「手品を使った導入」が紹介されていて(こちら)、これは使えるんじゃないか?と、簡単な手品をさらに調べ、”導入”ではなく、本人が”覚えて”’使う”までをやってみました。

手品は難しいと大変なので、こんなものです。(注;協力 夫)

「ここに、10円があります」
「コップの中に10円があります」
(コップを重ねています)(「コップの外に10円があります」言っても言わなくても)
(手のひらで包むようにコップを持ちます)
(かぶせます)「えい!」
「コップの中に何もありません」
(もう一度、手を被せて、コップを持ち上げます)「えい!」
「10円があります」

「どうしてですか?」(種明かし)

「コップの下に紙があります」

手品の途中で横にあったコップに、はじめに手に持ったコップを重ねています。
あらかじめ横に置いてあったコップの底には、紙が貼ってあります。
それを、同質の紙の上に置いておくと、紙が貼ってあるとバレない、という仕掛けです。
種明かしに至るまで、学習する基本文型を使えるのがいいな、と思っています。

「(その)紙の下に、10円があります」

初めに私がやって見せ、驚いてもらってから、種明かし。
セリフのリピート練習。
道具を渡して、ペアで練習をし、その後、披露してもらいました。
動画は、一人目の生徒です。
手品の手順や、コツと一緒に言葉を覚えるので、大変ですが、
本人たちはとても面白がって覚えてくれました。
一人目なので、まだたくさん間違えますが、友達のトライを見ながら、他の人も覚えていき、5人目では、だいぶ流暢になります。
これで、この文型をだいぶ自分のものにできたかな、と思います。
(1分20秒くらいの動画です)
生徒が明るいので、本当に助かっています。

今回の授業は、「ゆっくり目で楽しく」も、ねらっています。
前回の授業が、キッチキチだったので・・・。
それから、この日は雪混じりの強風が吹いていて、その中を自転車で来てくれた生徒さんたちに、楽しんでもらいたいな、という思いもあります。
私が手品を見せて、リピートや個人練習、一人一人(5名)の披露、全て入れて20分くらいでした。

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