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その6 構造の豆知識

飛行機の構造の工夫

飛行機の丸くて細い筒状の胴体は、複数の構造部品が繋がって出来上がっています。

SKINやSTRINGER,FRAMEなどそれぞれの構造部品は役目を持っています。
詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。


一つ一つの構造部品が役目を持っているということは、ある構造部品Aが壊れてしまったら、すぐに胴体に影響が出てしまうのでしょうか?

実はすぐに強度に影響が出ないように、組み立てる際に「FAIL-SAFE」と呼ばれる工夫がされています。

fail(失敗=故障)してもsafe(安全に)使えるよ、という設計思想です。

以下に4つの主流な設計思想を説明します。

1、Redundant(リダンダント)

AとBの構造をくっつけたままするために、aの部品を使うとします。
例えばAはskin、Bはframeで、飛行中もくっついていないと大変です。

もしこの構造で飛んでいて、衝撃が発生し、aの部品が折れたらどうなるでしょうか。
AとBはバラバラになってしまいますよね。

そうならないための方法の一つにREDUNDANTを採用します。

部品の数が増えましたね。
aが折れてもbとcが持ち堪えてくれます。
(もちろん折れた際は強度は低下しますが、致命傷は防げます。)

控えメンバーの層が厚いサッカーチームのようなイメージです。


2、Backup(バックアップ)

部品が複数あるという点ではredundantと似ていますね。
相違点はbackup用の部品は、通常はサボっている点です。
いつも働いている部品が壊れた時に、バックアップが機能してくれます。

スマホデータのバックアップと同じイメージです。
iPhoneが壊れた際に初めて、cloud上のバックアップデータにありがたみを感じると思います。

3、Load Dropping(ロードドロッピング)

通常はbの部品で繋いでいるけど、aという強力な部品が助けているイメージです。
bが壊れそうになっても、aが助けてくれます。

新入社員が仕事をしている後ろから、ベテランの社員が見守っていて、いつでもサポートできるイメージです。


4、Double(二重構造)

今まで説明したものとは少し異なります。
1つの部材をそもそも2つに分けておいて、一部に亀裂が入っても、もう片方には進展しないようにしています。

図ではAの構造をあらかじめ二つに分けておいて、1つの部品とみなします。

トカゲの尻尾のようなイメージです。
空中で切り落として捨てはしませんが、傷口をそれ以上広げない工夫がされています。


以上の工夫はコンセプトです。
場所によって使い分けられています。
BackupやRedanduntは構造だけでなく、システムにもアレンジが加えられて活用されています。

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