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構造利用 カーテンウォール

1980年代に炭素繊維補強セメント系材料の研究開発と実用化が大きく進みました.

イラクのバグダッドに建設されたモニュメントドームにおいては,外装タイル打ち込み軽量パネルに適用されました.重量と曲げ強度に関する厳しい要求性能を満足する材料として,オートクレーブ養生の軽量炭素繊維補強モルタルが選ばれたのです.当地の気象条件下において十分な耐力と耐久性を有することを確認して,1982年に10,000m2の大量施工が行われました.

また,1986年に完成した東京のアーク森ビルにおいては,超高層ビルの外装カーテンウォール(下写真)に適用され,32,000m2の大規模施工が行われました.従来の軽量1種コンクリート製カーテンウォールと比較しても軽いため,外壁重量を60%低減でき,地震荷重を12%低減することが可能となりました.このため,鉄骨量の低減と取り付け作業の効率化も図られることになりました.

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参考文献

1) 秋浜繁幸,“炭素繊維補強セメント複合材(CFRC)について”,日本複合材料学会誌,Vol. 10,No. 4,pp. 145-151,1984.
2) 秋浜繁幸,“炭素繊維補強コンクリート(CFRC)-特性と適用事例-”,建築技術,No. 412,pp. 139-148,1985.
3) 秋浜繁幸,“講座 特殊な材料を用いたコンクリート(その20)IV-4 カーボン繊維”,コンクリート工学,Vol. 25,No. 9,pp. 80-85,1987.


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