夜空にうかぶ |詩
バスを降りたら
大きな、まるい月
昇ったばかりの月は
大気のレンズ効果とやらで
ひどく巨きく見えたけれど
それは、黄じろい飛行船
重力の全く感じられない月
ぽっかり
ぽっかり
そこにいるのは、誰ですか?
高台まで上りきったら
風は冷ややか
月の位置も高くなり
いつもの大きさになったけれど
ほんの少し欠けている14日目の月は
満月ほどに、おめでたくはないのです
それは
見知らぬ虚からやってきて
世界の秘密を知っているような
謎めいたアイコン
わずかに満ち足りないがゆえに
より、うつくしく
いとおしく
そうして
闇夜を照らしながら
それは、ひとりきりで
高く高く、昇ってゆくのです
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