見出し画像

愛と誠、あるいは、愛と力

かつて「愛と誠」と言う漫画があり一世を風靡しました。何度も映画化されテレビドラマになり舞台化もされました。もちろん愛という少女と誠という少年の純愛物語ですが、インド独立運動の指導者でその後初代首相に就任したネルーが獄中から14歳の一人娘インディラ(後に彼女も首相になりました)に宛てた手紙がその題名の由来だそうです。そしてその手紙とは、インド解放闘争で何度も投獄されたためにインディラに誕生日プレゼントを贈ることができないことから、古代文明から第二次大戦直前の時代までの世界歴史を語る200通の手紙を代わりに贈った、ということで、その中にネルーの名言があります。

愛は平和ではない。
愛は戦いである。
武器の代わりが誠実であるだけで、それは地上における最も激しい、厳しい、自らを捨ててかからねばならぬ戦いである。

と語られたことが知られています。これが漫画「愛と誠」のテーマでもあります。現代版ロミオとジュリエットとも言えるかもしれません。

一方で、非暴力主義で差別問題と戦い公民権運動の指導者だったキング牧師は「I Have a Dream(私には夢がある)」と言う演説で有名ですが、愛と力についてこのような名言も語っています。

“One of the greatest problems of history is that the concepts of love and power are usually contrasted as polar opposites. Love is identified with a resignation of power and power with a denial of love. What is needed is a realization that power without love is reckless and abusive and that love without power is sentimental and anemic. Power at its best is love implementing the demands of justice. Justice at its best is love correcting everything that stands against love.”

要約すると、「愛なき力は暴力、力なき愛は無力である」、と言うことのようです。

つまり、ビジネスシーンでこれらを考えると、若い人たちの熱意は自己実現を達成するとか理想を追求するというような方向に向かいがちですが、現実はそのような熱意が絵に描いたような平和な結末を迎えることは少なく、先輩や上司から理不尽に思えるような否定的な見解を突きつけられ挫折する、だから熱意(プレゼン)とは戦いであり、繰り返し信条を発信し続けなければならない、そのためには熱意(愛)だけでなくそれを支えるスキルや技術(力)も必要だ、と言うことでしょうか。

熱意なき能力は(暴力とは言いませんが)善用する場を失い、能力なき熱意は無力(誰も説得できない)。「いいことを提案しているのに何で分かってくれないんだ」、と嘆く前に善用できる能力を高める努力も必要です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?