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ひとつ

国民的グループであったSMAPはメンバー同士の不和がまことしやかにささやかれ残念な結果を迎えてしまいました。解散の前後にはかつてのCDがまた売れ出したり、ファンのみならず日本中が改めてその存在の貴重さを認識しましたね。

そのSMAPの代表作の一つに「世界に一つだけの花」があり、槇原敬之が作詞作曲したことでも記憶に残る作品です。彼が覚醒剤取締法違反で逮捕され自分を見つめ直したときに仏教と出会い、「ナンバーワンではなくオンリーワン」というこの曲の主題は「天上天下唯我独尊」という仏教の教えが念頭にあったからだとと伝えられています。

それぞれがそれぞれの個性に無上の尊厳性を認め合い存在している、と言う発想は彼に指摘されるまでもなく、仏陀の時代から存在しているものと思われるわけですが、妙に新しく感じる発想でもあります。この自覚がないからこそ、現在米国のみならず世界中で問題となっている「Black Lives Matter」のようなことをあえて発信しなければならない現代の課題としてもとらえることができましょう。

これに関連して、少しだけ・ひとつだけ、であることが大事、というメッセージは様々な曲に様々な形で表現されていることに気がつかされます。

1996年に発表された渡辺満里奈の「Ring-a-Bell」と言うアルバムをご存じでしょうか。大瀧詠一がプロデュースし、彼の近しい仲間の萩原健太・能地祐子 夫妻や井上鑑、杉真理、が参加して作られました。その中に佐野元春が作詞作曲した「ダンスが終る前に」という曲があり、ここでその歌詞を確認できます。

「大切だと言えるものはいつだってほんの少し」、ねっ、飽食を謳歌してはいけない、そう、SDGsも実現できないのです。

矢野顕子が忌野清志郎とデュエットした曲としても知られている「ひとつだけ」の歌詞をご覧ください。

「とても大切なこと ほしいものは ただひとつだけ」 指輪や椅子やオーデコロンが欲しいと思ったり、パーティやテニスや中華料理にも興味が湧きますが、結局欲しいものはただひとつだけだと気がつく。

まだまだ事例を挙げればきりがありませんが、逆説的なひとつだけを最後にひとつ。

フランク・シナトラが娘のナンシーとデュエットして全米1位を獲得、その後様々なペアでカバーされ、異色の組み合わせではロビー・ウィリアムズとニコール・キッドマン、日本では竹内まりやと大瀧詠一のバージョンが人気となった「恋のひとこと(Somethin' Stupid)」

デート中にいい雰囲気となり言わなくてもいいひとことを言わずにいられなくて思わず発してしまい、今日一日の素敵な時間のすべてが台無しになってしまう、そんなあるあるを描いた曲です。

企業も社会に発信する大事なことはひとつだけでいいと思いますし、そののひとつを持っているかどうかが重要なのだと思います。若い方たちも自分の強みをひとつでも持つことができれば、その後のビジネスシーンにおいて充実したやりがいのある生活が送れる。大切にしたいことです。

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