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【コラム】ギムナジウム高等部の仕組み

※※今後は隔週で更新していきます※※

今回は、ギムナジウム高等部の仕組みに関する理解を深めたいと思います。

ドイツの場合、各州の文部大臣によって構成される文部大臣会議が大まかな方針を立ててはいますが、具体的な教育政策は州ごとに決定されるため、制度上、全州が同一というわけではありません。そのため、今回は僕が住んでいるヘッセン州の9年制ギムナジウムを例として挙げることにします(情報はすべて、2021年8月現在)。

ギムナジウム高等部(後期中等教育領域、Sekundärbereich II)は11~13学年の3年からなります。「導入段階(Einführungsphase)」と呼ばれる11学年は、資格段階への移行期間として位置付けられています。12~13学年は「資格段階(Qualifikationsphase)」と呼ばれ、アビトゥアの取得準備を行います。アビトゥアの総合結果には、後述しますが、資格段階での成績も加味されることになります。

導入段階の後期には、生徒が資格段階に進級できるか否かの判断(Zulassung)が下されます。進級は、①生徒が導入段階後期に履修した科目で5点以上を獲得した場合、もしくは②5点以下の科目があるものの、それを①10点以上を獲得した1つの科目または②7点以上を獲得した2つの科目で補うことができる場合に許可されます。1つの科目で0点を取得した場合、ドイツ語・必修外国語・数学の3科目のうち2科目が5点以下の場合、もしくは3つ以上の科目で5点以下を獲得した場合、生徒は資格段階に進級することができません。進級が却下された生徒は、導入段階を1回繰り返すことができますが、前期中等教育領域(Sekundarbereich I)の最終学年(10年生)を既に繰り返している場合は、導入段階を繰り返すことはできません。

資格段階が始まる12学年からは、5~11学年までの学級制が廃止され、自分が選択した授業が行われる教室に各生徒が出向くというコース制に変わります。コースは1セメスター(半期)からなり、①深い専門知識を身につける「重点コース(Leistungskurs)」と、②必要不可欠な基礎知識を身につける「基礎コース(Grundkurs)」とに区分されます。生徒は、自分の関心および能力に応じて、コースを選択することになります。

僕の場合、重点コースとして数学と音楽を選択したのですが、音楽については1学年では定員を割っていたため、1つ上の学年との共同授業となっていました。また、基礎コースは、前述しましたが、例えば「今期の英語の授業はA先生とB先生が担当し、それぞれのテーマが『人権問題』と『ヘミングウェイ』なので、僕はA先生の『人権問題』にしよう」という感じで選択します。

以下の表にギムナジウム高等部(資格段階)の概要をまとめましたので、ご覧ください。

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