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CREATURES” 出演アーティスト紹介 (3): ニシモトヒサオ

この催しで、全編ライブペインティングをする、画家であり、デザイナーである。ライブハウスのライブペインティングは通常、ミュージシャンの紹介の後、「1行空けて」添え物のように紹介が普通である。だが今回は、そうはならない。彼もまたロックそのものだからである。ニシモトの絵は、大声である。ばんばん閃いて、ぐいぐい動きながら、どかーんと絵ができる。その姿を見ているだけで楽しい。多彩な色を使って、そのミュージシャンが化けて出たような怪物を生み出し続ける。それに驚くのもまた楽しい。

だが、俺がとりわけ気に入ったのは、以下の2点である。

ひとつは、絵画の所有権に関する彼の見方である。絵画は、誰のものか。「この絵は俺にしか描けない」と主張する画家は、芸術を独り占めにしたい、エゴの醜悪だと俺は思う。「俺の良さは俺だけにしかわからない、わからなくていい」として、何が楽しいのだろう。それでは、「俺の絵が誰かに通じたら嬉しい」というスタンスがいいのかと言えば、俺は違和感を感じる。俺たちの音楽(→)は、ジャンとやって、ぱっと曲が終わった時、曲は宙に浮かんで、誰のものでもあって誰のものでもないような、その場にしか現れないような「消え物」になりたい。伝えるのでなく、伝わる。ニシモトも恐らく、そう考えていると思えるからである。

もうひとつは、ニシモトの、人間に対する執着である。彼がドラマー、大西英雄とタッグを組んで描いた絵は、ドラムお化けであったが、それは大西そのものであって、決して大西ではない、「人」そのものであった。大西のためでなく、まして自身のためでない、人間という不思議なものに興味のある2人が作り上げた、「人」を巡る真のコラボレーションだった。しかも、それができるプロセスで、客であった俺は、大西の興奮を見た。ニシモトの興奮を見た。この興奮に、未体験のミュージシャンを浸したい。もちろん俺も浸りたい。

その風貌から、モンキーパンチの描く次元大介を想起する者もいるだろう。しかし彼の動きは、白土三平の忍者のようである。で、できた怪獣は、望月峯太郎のスケールのデカさである、という例えでわかるか…分かんねえな。百聞は一見にしかずである。客である諸兄はおろか、舞台の上のアーティストが驚愕する顔が、目に浮かぶ。

Made In A Garage #6
“CREATURES”

8/17(木曜日)  
於越谷イージーゴーイングス
(お問い合わせは、各アーティストTwitterDMもしくは http://www.easygoings.net まで)
18:00会場18:30開演
前売り2500円/当日3000円(
共に1ドリンク)

出演
Thee BlackDoor Blues
Tha HEALs
Very Ape
The BBB
Little Radios

ニシモトヒサオ(絵)

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