デス・レター(10年前の今日)
先日、町田のドトールで茶をすすっていた時の話である。
俺のいた大テーブルの向かいに座っていた、カップルの話声が聞こえてきた。女は関西出身、男は東京出身とみられる。どちらも、真面目な大学生風である。彼女がやや一方的に喋り、彼が時折、ふんふんと相槌をうっていた。チャラチャラした話題でなく、いかにも説明調の真面目な口調で彼女が語った話は、次のようなものであった。
外人が日本について語る時、まず彼らの口をついて出るのは、「フジヤマ、ニンジャ」である。で、例えば、外人が初めて日本を訪れたとする。その時、案内役を買って出た日本人は、彼らが「フジヤマ、ニンジャ」と言う時、
「そういえば…最近ニンジャ見ぃひんなぁ…」
と答えると、彼ら外人はむちゃくちゃ喜ぶそうである。「そうだったんだぁ。つい最近までニンジャいたんだやっぱり! 」
「て思うねんて。」と彼女は言った。「『最近めっきり減ったなぁ… 』でもOKよ。」彼は、 「ふぅん、そうなんだー… 」と相槌を打った。
俺は何かもう、そのやりとりがむちゃくちゃ面白くて、コーヒーを持ったまま、うつむいて、肩をわななかせて、必死に笑いを堪えるしかなかった。
大阪といえば、以前友人のミュージシャンとジャズの話になり、俺が「ルイ・アームストロングはさぁ… 」と言ったら、彼女が急に朗々と歌い出した。
♪白ヤギさんたら お手紙書いた
黒ヤギさんたら 読まずに食べた
仕方がないので お手紙書いた
サッチモ手紙の ご用事なぁに♪
俺は「そのオチまでの距離を何とかしてくれ!」と言った。
今晩のスカイツリーである。飲みたいと思いませんか?
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