見出し画像

【地方紹介11】ラングドック・ルシヨン地方

<地方データ>
■【francerでの地方名呼称】:ラングドック・ルシヨン地方
■【旧地方圏区分/地方庁所在地】:
ラングドック・ルシヨン地方(Languedoc Roussillon)/モンペリエ(Montpellier)
■【現地方圏区分/地方庁所在地】:
オクシタニー地方(Occitanie)/トゥールーズ(Toulouse)
■【旧地方圏区分における所属県と県庁所在地】
●オード県(Aude/11)県庁所在地:カルカッソンヌ(Carcassonne)
●ガール県(Gard /30)県庁所在地:ニーム(Nîmes)
●エロー県(Hérault /34)県庁所在地:モンペリエ(Montpellier)
●ロゼール県(Lozère /48)県庁所在地:モンド(Mende)
●ピレネー・オリエンタル県(Pyrénées-Orientales /66)県庁所在地:ペルピニャン(Perpignan)
 

★地方概要★
ラングドックはLanguedocと書くのですがLangue d’Oc、これはオック語という意味があります。今のようにフランス全土でフランス語が使われる前、フランス語は大きく二つに分かれていました。北フランスで話されていた。ラングドイル(オイル語)と、南仏で話されていたラングドック(オック語)です。今のフランス語はどちらに似ているかといえば、北フランスのラングドイルを元にしていますが、これはパリ、つまりフランスの中心が北にある町だったからです。
 
この地方はスペインと接していることもあり、最もオック語の影響がまだ残っている地方ともいえます。この地方はカタリ派というキリスト教の異教を信仰した歴史があり、大虐殺が行われたという暗い歴史も持ちますが、現在ではフランス最大のワイン産地として注目されています。
 
地方の東端はローヌ河であり、近郊には世界的に有名なローマ遺跡を有する地方です。通常は歴史的観点からプロヴァンスとして扱われることもありますが、地方区分にて分類している関係上、ニーム、ポン・デュ・ガールなどは行政区分ではラングドック・ルシヨン地方に含まれます。

2000年以上の歴史を誇るローマの水道橋「ポン・デュ・ガール」

地方東部にあたるガール県のニームやポン・デュ・ガールなどは歴史区分として、プロヴァンスと同様の歴史を歩みますが、内陸のカルカッソンヌ周辺は、カタリ派を信仰していた地域で、フランス王国と敵対した歴史を持ちます。また、南部のペルピニャンなどは、フランス領になったのが遅く、長らくはスペインのカタルーニャ地方の町でした。しかし、海沿いのコリウールやバニュルス・シュル・メールなどは、コート・ダジュールとは全く違った印象を持つ景勝地で、マティスやドランなどのフォーヴィズムを生み出した場所としても知られています。
 
 
★町や村★
 
場所によって印象が非常に異なるラングドック・ルシヨン地方。旧地方庁所在地はエロー県のモンペリエで、トラムが整備され近代的な都市です。大学都市として発展しており、生活感のある都市です。あまりイメージがないかもしれませんが、海も近いので、近郊の海産物がおいしいことでも知られています。

歴史と優美さを兼ね備えたモンペリエの中心コメディ広場

東部はプロヴァンスの色を色濃く感じる町が多く、その中心がニーム。市内には古代闘技場やメゾン・カレなど数多くのローマ遺跡が残り、世界遺産のローマの水道橋ポン・デュ・ガールも、この地域にあります。近くには趣のある中世の佇まいが残る村ユゼスや、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼教会の重要拠点となったサン・ジルなど、歴史を感じる町々が多い地域です。

保存状態の良いローマの古代闘技場が残るニーム

西部にはカルカッソンヌがあります。世界遺産の二重城壁都市として人気があり、こちらはトゥールーズなどと、ともに歩んできた歴史があります。また、地中海沿岸のセート、モンペリエ西部のベジエ、そしてカルカッソンヌを経由して、トゥールーズへと向かうミディ運河も世界遺産に登録され、河川運輸の歴史において非常に重要な役割を果たしました。

緑の中をゆっくりと流れるミディ運河

南部はスペインと国境を接しており、すぐにピレネー山脈が迫ってきているものの、地中海沿岸部には平野が広がります。フランス側のカタロニアと呼ばれる一帯で、他とは違う歴史的な背景があり、その中心地となっているのがペルピニャン。さらに南に降りると、コリウールなどの町があり、沿岸部にはビーチリゾートも多く点在します。

ペルピニャンでは、スペインのカタルーニャ風の街並みが広がる

★名産品と郷土料理★
 
ラングドック・ルシヨン地方はフランス最大のワイン産地ですが、ボルドーやブルゴーニュのような超高級ワインを産出するところは少ないです。最近は品質の向上により、評価が高まってきましたが、名声という意味では、ボルドーやブルゴーニュと同じというわけにはいきません。しかし、比較的リーズナブルなワインも多いので、現地でも飲み歩きをしたり、安価でもびっくりするほどおいしいワインに出会うこともあります。
 

様々な品種でのワインが作られているラングドック・ルシヨン地方

郷土料理で有名なものは隣のミディ・ピレネー地方と同じく肉料理で、カスレという郷土料理が有名です。ラングドック名物の煮込み料理で、大きな鍋に鴨肉、ソーセージ、白いんげん豆を入れて煮込んだもの。なかなかしっかりした味付けの料理で、缶詰、瓶詰めなどでお土産としても売られており、ラングドック産の赤ワイン、ミネルヴォワやコルビエールと相性がよいです。

ボリューム満点の郷土料理、カスレ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?