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言ってみるもんだ

バスに乗っていた時のこと。男性の声で「誰か○○もってませんか?」と。○○っていうのは、フランスでは一般的な頭痛薬の名前が入ります。喉が痛そうなのが伝わってくる声。
私は先頭の席に座っていて、すぐに振り向く事はしなかったのですが、耳をそばだてていると、誰かが手持ちの薬を渡したみたい。受け取ったブリスターパックから、一錠ぷちっと取り出した音が聞こえました。そこで振り向いて見てみると、三十台前ぐらいのその男性は(カラフルなブルゾンでストリートファッション? 髪は寝起きのままかちょっと爆発・・・)薬を口に放り込みながら、くれた人にブリスターパックを返そうとしました。
すると、私からは見えなかったのですが、お歳を召したマダムの声で「とっておきなさい」と聞こえてきて、「え!すごい親切!」と思いました。

というのも、フランスでは頭痛薬とか解熱剤と言った薬が不足しているそうで、ちょっと前まで連日ニュースで言われていました。なので、ブリスターパックを1シートまるごとあげちゃっていいの?とケチな私は思ったのでした…
この男性は薬局には行ったけど入手できなかったかもしれず、マダムは気の毒に思ったんでしょうね。そして、この男性のようにちょっと声をあげられたら、助けてもらえることってあるでしょうね。

フランスって、特に私が住んでいるトゥールーズで感じるのは、知らない人同士の垣根がとっても低くて、気軽に声をかけあう面があるということ。言ってみれば、至る所に、「大阪のおばちゃん」的なスピリットな人が・・・(笑)。そんな時、大げさかもしれないけど、みんな一緒に生きているって感じがして、ホンワカしてしまう私。こんなやり取りって本当に有難いし尊いなあと思います。

今日も読んで下さって有難うございました!


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