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EC運営の中の人に聞きました、ここがダメだよASPショッピングカート! 〜でもそれ本当にダメな箇所?〜

ECサイトの開発依頼をいただく際、「今使っているASPは不満な点が多いので、自由にカスタマイズできるEC-CUBE や magento に乗り換えたい」というご相談をよく受けます。皆さんどういったところに不満を感じるのでしょう?現場担当者の声をまとめてみました。


●【不満その1】基幹システムなど外部システムとの連携ができない

これは業務的にはクリティカルであり、ASPが苦手としている箇所なので、乗り換える理由になり得るでしょう。近年のASPやSaaSには、APIが充実しているサービスも増えてきています。なので、いま稼働している基幹システム側のAPIと照らし合わせ、連携できるカートシステムがあれば乗り換える、連携できなければEC-CUBEやmagentoベースで開発したものに乗り換える、といった選択肢が考えられます。


●【不満その2】サーバーが落ちる。トラフィックが多すぎてサービス提供側から引越しを提案される

サーバーが落ちるのは主にASPサービス全体の耐性によるもの。基本的に一つのハードウェアに対して乗合になるASPでは、性能に上限値があります。なので「サーバーが落ちる」ことを理由にASPを乗り換えるのは、合理性があると言えます。しかしサービスによって差異はあるので、必ずしも「ASP」だからダメ、と断定はできません。


●【不満その3】ASP側の制限により、自由にデザインできない

これもよく上がる話です。特にASPの場合デザインできる範囲が限られ、その中でしかHTMLを修正できないため、自由度は低いと言えます。
一方「自由にデザインできる」ということは、運用再開後も自由にデザインを調整できるということ。これは、デザイン管理が煩雑になるリスクがあるとも考えられます。専属のWebデザイナーが、ソースのメンテナンスとデザイン改善を定期的にし続けられる環境なら問題ありませんが、その体制を用意できない場合(例:最初だけ制作会社に依頼するなど)、リリース後にデザインの品質がどんどん下がるという、辛い状況になりかねません。

自由にデザインできる状況が本当に必要なのか、デザイン調整を継続的に実行できる体制を作れるのか。よく考えた上で、乗り換えを鑑みることが大切です。


●【不満その4】管理画面などを細かく調整できない

これは確かに共感できる部分ですが、調整できないことを理由に乗り換えるのは、あまりオススメできません。

ASPは多くの人に使ってもらって成り立つビジネスです。当然ながら、各社は1人でも多くの運営者様に「使いやすい」と思っていただけるサービスを考えた上で提供しています。そのため、管理画面のボタンの配置やレイアウトは、総合的に見て「適正」である可能性が高いのです。

管理画面の使いにくさに不満を感じる場合もあると思いますが、慣れれば確実に使いやすくなるのもASPの特長と言えます。多くの人が使っている環境に慣れておくことで、他ツールに乗り換える時の学習コストを低くできたり、中途採用者の適合期間を短くできたりと、メリットもたくさんあります。ASP側の画面に沿って業務を組み直すことで、作業がグッと効率的になった例も少なくありません。


【結論】優先事項を考えて、ASPと上手に付き合おう!

ASPカートに対して不満を持たれるマーチャントさんは数多くいらっしゃいますが、考えようによっては継続的な運用とのトレードオフとも言えます。また、ASPならばサーバー管理も必要ない上に、昨今問題になっているサイバー攻撃に対する備えもすべてASP側で対応してくれます。これは大きなメリットです。

それらを放棄してまでオープンソースを使い、自分たちでサーバーを運用するメリットがあるのかどうか。今一度考えてみましょう。