ワインエキスパートの勉強まとめ(ワインの概論その④)
品ぞろえの豊富な酒屋やおしゃれなバーに行くと、「自然派ワイン」「有機ワイン」といった健康や地球に優しそうなワインをよく見かけます。最近はスーパーでも「保存料無添加」と銘打ったワインを目にすることがありますが、これらの違いはなんだかご存知でしょうか。私は、よく分かりませんでした。
今回はワインエキスパートの試験に出そうなワードに焦点をあてながら、「自然派ワイン」関連を整理してみたいとおもいます。
自然派ワインとは
自然派ワイン(英natural wine, 仏vin naturel, vin nature)はナチュラルワインともいわれますが、これらの言葉にははっきりした定義が存在しません。「自然にやさしい」という冠をかぶりながら、ぶどうの栽培に農薬を散布していたり、ぶどうの収穫時に機械を使っていたり、ワイン醸造の過程で添加物を使っている場合が結構あります。この言葉の使い方は、生産者と販売者の解釈によって異なります。
有機ワインとは
これに対し、有機ワイン(英:organic wine,仏vin biologique)はビオワインともいわれますが、法律で明確に定義されていて、有機農法に基づいたぶどうを使って作られたワインのことを指します。日本における有機農法は、有機JAS規格で規定されています。また、世界には多くの認証機関が存在し、それらをクリアしたワインには認証を受けた機関のロゴが表示されています。EU圏内にも認証機関がいくつかありますが、認証のポイントは機関によって微妙に異なります。
なお、有機農法でも農薬ゼロ、保存料一切無添加とは限りません。ぶどうの健やかな成長を守るため、また酸化を防いでワインの品質を保つために一定量の化学物質や添加物の使用が認められています。
認証機関の一例
・EU認証・ユーロリーフ/EUROLEAF(EU)
EUの認証機関。EUが定めた有機農法の規定をクリアした食品は、このマークを表示することが義務付けられている。
・エコサート/ECOCERT(フランス)
フランスの農業省が設立した認証機関で、世界的に知名度と信頼性が高い。食品だけでなく化粧品やコットンなども認証の対象。
・アグリキュルチュール・ビオロジック/Agriculture Bioligique(フランス)
フランス政府が設立した認証機関。有機農法による農産物、もしくはその農産物を使ってできた生産物に対して有料で認証を行う。検査の基準はEU認証よりも厳しめ。
自然派ワインと有機ワインの違い
自然派ワインには定義がなく、ややふんわりとした表現なので取り扱いには注意が必要です。
有機ワインは自然派ワインのうち、公的認証を受けているものと解釈することができます。
ますます注目を集めるバイオダイナミクス農法、サステナブル農法
ぶどうの栽培方法は多岐にわたりますが、自然派ワイン・有機ワインにまつわる環境に配慮したぶどうの栽培方法をご紹介します。
・バイオダイナミクス農法(英biodynamics, 仏biodynamie)
「シュタイナー教育」でもおなじみ、哲学者で教育学者のルドルフ・シュタイナーが提唱した有機農業。天体の動きとぶどうの成長サイクルを掛け合わせたり、化学肥料や農薬の代わりに牛のつのや水晶のかけらなどを合わせた調剤を使うなど、さまざまな学問・思想が溶け込んだ農法。
なお、ドイツにはこのようなバイオダイナミクス農法を認証する団体(デメター)が存在。
・サステナブル農法(農業)
「サステナブル」は「持続可能な」という意味で、国連によって定められた2030年までに世界が達成すべき17の持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためのひとつの手段として取り組まれています。明確な定義は存在していませんが、ツーリズムやITといった異なる産業がビジネスで農業に着手するとき、この言葉がキーワードとして使われています。
まとめ
コロナショック後の世界では、私たちはますます「自然」や「環境」との付き合い方が問われることになるのではないでしょうか。ワインエキスパート試験においてはまだそれほど重視されていないようですが、ぶどうの栽培方法やワインの醸造でも、地球にやさしく持続可能な方法を取り入れることを高く評価することが大切ではないかと思い、この記事をまとめてみました。
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