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『チーム・ジンバブエのソムリエたち』

久しぶりのnoteです。

さて、少し前の話になりますが、ミニシアター系の映画館にて『チーム・ジンバブエのソムリエたち』という映画を観てきました。


英語タイトル:Blind Ambition


制作国はオーストラリアで、2021年に公開されたものです。
去年のソムリエ協会の会報誌にこの映画のリーフレットが入っていて、ずっと気になっていたのです。

この映画はノンフィクションで、日本のほか英語圏を中心に公開されているようです。
主にヨハネスブルグの風景や、旅先のフランスやドイツのぶどう畑も登場します。また、ジャンシス・ロビンソン女史本人をはじめ、世界のマスター・オブ・ワインが登場します。

話の内容は、南アフリカにやってきたジンバブエの難民たちが亡命先でワインに出合い、2017年のブラインドテイスティングの国際大会に出場するノンフィクションのルポルタージュ映画です。

以下、少しネタバレになりますのでご注意ください。

彼らには会場となるフランスに行ったりコーチを雇う資金がないのでクラウドファンディングを始めましたワインの女王、ジャンシス・ロビンソンをはじめ、世界中からの応援を受け、無事に資金調達に成功し、大会の会場が行われるブルゴーニュへの切符を手にします。

ブラインドテイスティングの結果は残念ではありましたが、これをきっかけにチームのメンバーはまたも世界中から注目を集めます。

それぞれがワインのセミナーなどの演壇に登ったり、ヨーロッパでワインの会社を立ち上げたり、ワインづくりを始めたりと次々に成功を収めていきます。

その傍らでテイスティングの修行を続け、翌2018年、同じメンバーでこの大会に再出場し、日本やヨーロッパよりも良い成績を収めてハッピーエンドに終わる話です。

こうやって書くとまるで男性版のシンデレラストーリーのような感じになってしまいます。
実際、彼らは2008年の悲惨な状況にあったジンバブエの難民のうちの数少ない幸運な人たちです。彼ら自身も「自分の人生がこんなことになるなど夢にも思っていなかった」と口をそろえて語っています。

しかしこの映画は単なるハッピーエンドではなくて、アフリカの悲惨な現状にも強い焦点が当てられています。

たとえばこのチームを立ち上げるきっかけとなったジョセフは、2008年のジンバブエの政権崩壊で、家族を離れて国を去りました。国境を超えることは死を覚悟することでもあり、窓もない貨物列車での移動中、他の難民が気絶していく中で自分も死を覚悟しながら南アフリカに渡ります。何とか南アフリカに入国しますが、その後も南アフリカの人々による、アパルトヘイトの再来を想起させるほど残酷な対応に耐えながら、人気レストランの自家畑での作業の職を得ます。ここで幸運にもワインを口にする機会を得、そこからテイスティングの能力を一気に開花されるとともに、それに理解のある人に出会い、ソムリエの座へと昇りつめていきます。

今こそ成功を収めている彼らですが、そこに至るまでの経緯は想像を絶するものです。
恥ずかしながらこれまでアフリカやアフリカの人々を一緒くたにみていたことに気づかされました。

また、この映画自体にはジャンシス女史がたびたび登場しますが、この映画は彼女が発起人みたいなこと、このチームのコーチを受け入れたフランス人も彼らの存在を利用して自分が再び注目を浴びることをもくろむ様子(これは監督による嫌がらせなのか?と見ていて思うほど、とても気分屋でダメ人間のように描かれています……)など、光が強い分、人間の影の部分も同じくらいに暗く浮き彫りに見えた気がしました。

ジョセフを検索してみたら、Instagramのアカウントを発見しましたのでシェアします。
すごい活躍ぶり!

ほとんどの映画館では上映終了しているようですが、もう少しすれば動画配信サービスでも見られるようになるかな?


さて、今年の6月にフランス語の試験を受けようと思っていて、最近はその準備に励んでいるため、今後しばらく投稿が少なくなりそうです(ワイン活動は6月以降!すみません)。


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