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絵を描くことが好きだけど


絵を描くことが好きだけど、好きだとうまく言えなかった私ですが。

三年ほど前、絵が好きな子たちを集めて、Kacotam(カコタム)でカコタ部(カコタム内での部活動)としてイラストサークルをやることになりました。
本格的に美術をやったこともない、ただなんとなく惰性で絵を描いていただけの自分に何ができるのだろうと考えました。

そこで、「やってもやらなくてもいい」活動とすることにしました。

月に一度、開催の日を告知する。その時間に誰かかしら、絵が得意なメンバーたちがゆるきち(Kacotamの中高生の居場所づくりの事業で使われている一軒家)にいるようにする。
けれど、来てもいいし来なくてもいいし、来ても描いても描かなくてもいい。
そんなゆるい部活です。
お題を事前に決めておいた日もあれば、即興で決めた漠然としたお題に基づいて描く日もあり。
ときにはおしゃべりに夢中になったり、他に面白いことが始まって絵はそっちのけになったり、ぐだぐだでいつ終了だったのかもよくわからない、なんてこともありました。

子どもはひとりのときもあれば、大所帯のこともありました。
でも不思議と、誰もいないという日はなかったように記憶しています。

教育は、成長を求められます。
目標を達成し、何かしらの成果を上げる。
「これができるようになった」を積み重ねていく。
部活もそうです。
勝つために、うまくなるためにやる。
負けてもいい、努力する過程が大事、という言葉をかけられることもあるけれど、それは裏返せば「人間的な成長がなければいけない」というプレッシャーでもあります。
勝利はいいこと、成長もいいこと、なのでしょう。達成もまた。
けれど、できるようにならなかったと、自分を責め、周りから責められることもあるのではないでしょうか。
疲れてしまうこともあるのではないでしょうか。

絵を描くことが好きだと。
素直に言えなかったのも、私が絵で名を馳せたわけではないから。何かしらの実績を残したわけではないから。絵で、何者かになれたわけではないからだったのかもしれません。

カコタムでは、「子どものやりたいをカタチにする」ということを掲げ行っています。
でも、やりたいことがなくても、カタチにしなくてもいいのです。
だからイラストサークルのゆるさも受け入れられたのだと思っています。
そういうところにかなり救われました。

昨年、カコタ部の活動は終わってしまいましたが、Kacotamで関わる子たちの中には、絵を描くのが好きだという子たちはまだまだたくさんいます。

そんな子どもたちに接しているうちに「何か描いてみようかな」と思いました。
描いても描かなくてもいい。
でも、描いたら喜んでくれる。好きだと言ってくれる子がいる。
そんなときにただ、なんのてらいもなく、描かないの、と言われた。
ただそれだけのことが特別でした。

カコタ部の理念は今、「子どものやりたいをカタチにする」、カタチ化プロジェクトというものに引き継がれています。
子どものやりたいを応援するのなら、まずは自分がカタチにしてみようと、そう思えたのです。

マンガに続き、壮大な自分語りをしてしまいました。
でも、絵からもらったものを返すなら絵(マンガ)でと思ったのです。
拙いものですが、見ていただいて、読んでいただいてありがとうございました。

カコタ部の写真部についてと軽音部についての記事もマガジンにありますのでぜひご覧ください。
またご興味ありましたら、Kacotamゆるきちのホームページをご覧いただけたら嬉しいです。


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