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ビーチに落ちてる「アレ」で中華麺のもとを作る

※材料調達は去年の秋ごろやりました。自粛警察来ないでくだせぇ、頼んます……。

どぅ~もみっなさぁぁん、FR0M SCRATCHのFUKUOでぇ~す。

(FR0M SCRATCHって何?って人は下のリンクから読んでみてくださいねん、フフフ……。)

話を戻すとですね、私たちは鶏塩ラーメンを「0から」作るために畑で小麦を栽培したり、ニワトリを卵から孵して食べるサイズになるまで育てたり、さらには味付けのお塩まで広島の呉市まで作りに行った訳なんですよ。

でもですねぇ、最低限「ラーメン」として食えるものを作るのにはこれらの他に絶対欠けちゃいけないモノってのがあるんですね。

何か分かりますか?

こ・た・え・はかん水。

主な成分が炭酸ナトリウムなどのアルカリ性(リトマス試験紙懐かしいですよね)を示す物質で、小麦のタンパク質と反応して麺生地の質感を180度変えます

ラーメンの麺がラーメンの麺たるゆえんで、あの独特の香り、色、そして歯ごたえを引き出してる張本人です。

かん水抜きで麺を打ってもうどん、よくてそうめんモドキが出来て終わるんですよね……。

なんせ小麦粉も出汁のニワトリも自分たちで育てるんですよ、ついでにかん水も作ってやりました、はい。

海に行く

ワーレーハウーミノーコシーラナーミーノー。

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海DEATH★HAHA

「ナンデラーメン作ルノニ海ナン?」

そう思われた冬のアナタは実にナイフのように鋭い。
それはかん水が海で取れるあるもので作られていたから。

そのあるものとは?

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出来損ないの底なし沼のような砂浜をキャピキャピ子犬のように踏みしめているとばったり出会いました、コレ海藻

DAISOならぬKAISOですね。

中華麺の故郷である中国北部ではアルカリ性の高い湖からかん水を取ってたらしいですが、地中海付近では海藻などの灰を使って作ったそう。

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なのでパッと見ワカメの親玉のコイツを持ち上げてですね……。

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箱にダイブですぅ!!

散歩に来ているおじいさんおばあさんや、貝殻拾いの少女の視線を潜り抜けて帰路についたのでした……。

「アレ」をウォッシュ

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一応海辺でさっと洗ったタダ同然のKAISO。

表面の砂粒や、生き残りのバイキンや微生物共を洗い流すために今度は真水でジャーっと行きます。

ざざっとな。

「アレ」をドライ」

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洗いあがった海藻を、風呂場で吊り下げて乾燥させますよ。

事情を知らない同居人からは「なにこれ(笑)」と言われる始末。
これがラーメンになると知ったらさぞやびっくりするでしょう。

アナタも飲み友との話のネタに試してみては?

きっと盛り上がりますよ、作った本人が保証します。

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そして、一週間ほどすると、あれだけハリのあった見た目がガサガサの乾燥肌気味に……。

500gほどあった重量も30gを切るほどスッカスカです。

これはですね、以前新幹線乗るときに買った、やたらかさばるけど量の少ない牛タン弁当を思い起こさせますね……。

弁当を加熱する装置が総重量の3/4を占めてて、過食部分はレトルトのゴハンよりも少ない上にペラペラの牛タンが申し訳程度に5枚入ってるだけのアレです。

とんだ肩透かしを食らいました。

でも、気を取り直して次にGO!!

「アレ」をバーン

ここにきて重大なことに気づかされました。

「少なくね?」

そう、シワシワのキクラゲみたく縮んだ海藻の総重量は30g。

それを燃やして得られる灰の量は雀の涙程度。
余裕で1gを切るでしょう。

これじゃ充分な量が作れないってことで……

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助っ人「木炭」の登場です。

……どのみち海藻だけだと燃えにくいので使うつもりだったんですが。

沖縄を始めとした地域では「沖縄そば」などの麺を作るための「灰汁」というアルカリ性の液体を木の灰から作っていたみたいですし、これもアリでしょう。

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1㎏程の木炭と枯草を重ねたものの上に元海藻の魔王を乗せ……

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ゴゴゴゴゴ……。

激しく燃えよ、地獄より出(いで)し灼熱の業火……!!

海藻からモクモクと白い煙が出てくるのですが、これ、すごい臭いです。
それこそ居合わせたチームメンバーが鼻を抑えてゴホゴホむせるくらいには。

焦げたサンマを100倍凝縮したようなにおいです。

「湿気た海苔をパリパリにしたい」

その一心で安易に海苔をトースターに入れるのは控えましょう。
後で泣きを見るので。

あと、海藻焚火をした日は凍え死ぬほど寒かったので、燃やした時のにおいもそうですが、やる日程もちゃんと気候を考えるの重要ですね、ここ重要。

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着火開始から五時間後、木炭が加わったおかげで、無事5gほどの灰が取れました。

「アレ」をニテカワカス

さてさてさて。

灰は取れたわけですが、これをそのまま麺生地に入れるのかと聞かれれば答えはNOです。

このまま練りこんだところで、グレー色をした謎の物体Xが出来上がるだけなのでね……。

仕上げに入ります。

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灰を水に混ぜたものをしばらく置いておくと、上澄みと沈殿に分かれるので、上澄み部分だけを鍋に入れ……

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最強の強火で、これでもかという程グツグツ煮たてると……

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かんすぇい(完成)!!

出来上がり

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パンパカパァァン!!!
かん水のかんすぇい(完成)ですっ!!

30gのヒョロヒョロ海藻に1㎏の木炭を加えて最終的に取れたかん水の重量はたったの2g

生の麺100g、つまり1人前くらいの分量を作るのに必要なかん水の量は1gなので、上の材料を燃やしに燃やしてやっと2人分の麺を作れます。

「海藻だけ燃やせば充分足りるっしょ!!」

って思いこんでなくてよかったですねぇ本当に。

ちなみに興味本位で完成品を少しペロッと舐めると……

「……スッパ苦い」

重曹などのアルカリ性物質を舐めたときと同じ味がします。

というわけでかん水の製作は大成功とみなしたのでしたおしまい。

0から鶏塩ラーメンは果たして出来るのか、こうご期待……!!



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