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課題を面白がる

滋賀県高島市の住職系行政書士吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
詳しくはこちらのホームページから。

12月から毎月、高島市で開催されている「未来のジャム」
その特別編である「未来とジャム」に参加してきました。


よくある「まちづくり」のイベントと違い、ゲストスピーカーの話は聞くけれども、メインは参加者同士の意見交流。
この場に集った人達の即興で出てくる言葉で作られるジャムセッションが楽しい時間です。

今回のゲストスピーカーは、第1回の時に来てくださった福島県いわき市の小松理虔さんと京都府京丹後市の川渕一清さんでした。



それぞれが「まちづくり」としてされてきたことを事例として紹介されましたが、それはネットを見ればいっぱい載っているので、当日の会場内のジャムセッションで得た即興の言葉をいくつか紹介したいと思います。

(メモと記憶を頼りに書いているので、話したままの言葉で無くヨシタケの翻訳が入っています)


●小松さん

「私がやりたいことが私達(公)がやりたいことになっていく」

「私」がやりたいことを勝手にやっていって、みんなが乗っかってくれるようになってくると、いつの間にか誰かが意味づけをして「私達」がやりたいことになってきた。
例えば、福島沖で取れた魚を食べるイベントを私が魚も酒も好きだから自分の金でやっていたら、福島の海産物を広報するとか、食の安全とか、地産地消とか周りが色々な意味づけを持ってきて、何となく「公」っぽい活動になった。

「〜てみる、〜てみたいの欲望を大事にする。特に課題を面白がる。」

福島の美味しい魚と酒をいっぱい食べてもらって、一番最後に「みんなの胃袋には福島の食べ物と酒が入って、これでみんなのDNAにも福島が入ったんだから、もう福島のことは他人事じゃないですよ。」と言うと、なんか納得してくれて協力してくれるようになる。
これが一番最初から「今日は福島の食と安全について」とか言い出すと、誰も寄ってこないし賛成してくれない。

「用語に回収されない語り」

課題解決という目的を掲げると、「正しさ」を求め出す。効率よく、間違いが無いようにしようとする。段々、話が重たくなってきて関わるためのハードルが上がって自主的に参加しにくくなる。
世の中に起きる理不尽に真面目に戦おうとする人は5年くらいで疲れ果てて潰れていく。
どう取り組んだら面白くなるかだけを考える。小難しく考えて、格好良く小綺麗な言葉で定義づけて説明しようとすると、話が堅く視野が狭くなっていく。
そうした用語に回収されない語りが必要。


「真面目にばかりやろうとせず面白がる」

(高島市の今後の課題として、外国人特定技能実習生の家族の呼び寄せからコミュニティや文化の問題が起きるという発言を受けて)
外国人が街に入っていくことは避けられない中で、どうやって軟着陸を目指すか。
真面目にばかりやろうとせず面白がる。
ベトナムの人が増えてきたら「色んなフォーを食べるイベントをしよう」「フォーのフェスティバルやってみよう」「フォーと合う日本の食材を探してみよう」「フォーと酒のマリアージュを見つけよう」とやってみる。
やっていく中で、新たな動きも出るし課題も出てくるし、新しく活動をはじめる人も出てくる。


●川渕さん

「いずれは京丹後に帰るかも、と思ってはいたが、帰ることになったのは家族の事情。帰らざるを得なくて「どうしよう」が正直な気持ち。」

シェアハウスやコミュニティスペースを作ったりして「凄いですね!」と言われるが、自分が寂しいから誰かが来てくれる場所を作った。
京都府の「京都移住計画」に参加して、「10人素敵な人が移住してくれば楽しいまちになる」と言ってたが、僕自身にとって楽しくなって欲しいと思いやっていたこと。

「福祉は高齢者や障害者だけのものではない。誰にでも関われること」

(小松さんの理不尽に真面目に戦うと5年で潰れるという発言を受けて)
自分が本当にそうで、一度潰れた。でもそこで立ち上がる経験が出来て、この街の中で安心してがんばれるようになった。
何が理由かと考えると「福祉」に関われたから。
「福祉」のどちらの字も人の幸せを意味する言葉。
私に中心をおくのが福祉、私が部品になっていくのが経済。
お年寄りや障害者のためだけにあるので無く、私にとっても福祉が関わっている。

「これからの若者は私たちが掲げているビジョンが実現できているか見ている」

(介護職場で定着をどう図っているか、と質問を受けて)
職場環境や勤務条件を整えることももちろんだが、どんなことを掲げているのか、どんなビジョンを持っているのかを見て多くの若者が就職してくれた。
これからは、そのビジョンや掲げているものが実現できているかどうかを見られており、その評価が定着に繋がると考えている。

「形や結果の数字にこだわらず楽しさや面白さを求める。(スタッフの稲本朱珠さん)」

(このジャムで刺激を受けてこれから活動をはじめて、失敗してしまう人に向けて失敗のアドバイスが欲しいという質問を受けて)
失敗の定義を何におくかにもよるが、自分たちが納得して終わらせられたことは失敗ではない。
関わっているのが高校生なので、やっている途中で経験が足りないから問題が起きたりすることもあるが、それは伝えていけば良い。
とにかく形にしてしまおう、とすることもあるが、アウトプットの内容がイマイチだと「面白くない」と伝えることもある。
でもそれは失敗ではない。やっていくプロセスやそこでの熱量や新たな発見が大事になってくる。


こんな言葉を聞きながら、自分が独立開業する時に「行政にいれば百人千人を幸せに出来るかも知れないが、その人の顔も名前も分からないし感想も聞けない。今、目の前の一人の幸せを作ったり悩みを解消して、その人の「ありがとう」が欲しい」と思ったことを思い出しました。

まずは誰かと感想を共有するジャムセッションをしながら、私の手元のことを「面白がって」何かを始めていきたいな、と思いました。

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