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『呪い子の召使い』を布教したい

仕事が絶好調に忙しい。朝は早く帰りは遅い。今日だって早く寝て明日に備えなければいけない。なんだか昨年末からこんな日々が続いている。

しかし、私にはやることがある。とても重要なことだ。本当は仕事だってどうだっていいんだ。

だって私は『呪い子の召使い』を布教しなければならない。布教せずにはいられない。

それくらい、昨日発売したマンガ『呪い子の魔法使い』の最終巻がめちゃくちゃ最高だった。

歯を食いしばって言おう。

めっっっっっっちゃくちゃに最高だった。

こんな場末の些末な人間のnoteを目に止めてくれる人なんていない。しかし書かずにはいられない。お願いだから、だれか俺の布教に耳を傾けてくれ。


『呪い子の召使い』あらすじ

『花とゆめ』で連載されていた著者・柴宮幸が描く少女マンガ。アオリ文は「相反する呪いを持つ孤独な二人が出会う、運命の王道主従ファンタジー!」。

主人公レネは花も恥らう求職中の17歳。243回も仕事をクビになっているが、持ち前の身体の丈夫さを活かせる職を探し中。あるとき、その生命力を見込まれ、王宮にて5歳年下の王子、アルベールの側仕えとして雇われる。

幽閉中の王子は身体に毒の呪いを持つ「呪い子」で、触れたものは死に至ってしまう。レネに冷たく当たるアルベールだが、それはレネを自身の呪いで傷つけたくないから。

不器用だけれど優しい心をもつアルベール。毒の呪いで人を危険にさらしてしまう力を持ってしまったことに、アルベール本人も傷ついていること、そして人を遠ざけるのも呪いが相手を蝕まないようにするためだと知ったレネは、アルベールの心に寄り添える召使いとして側にいることを決める。

少しずつ心を通わせるふたりだが、ある夜、王子の暗殺を狙う刺客が現れ、レネに刃を向ける。物音に気付いたアルベールが向かうと、そこには首から血を流して倒れるレネの姿が。

レネの危機にアルベールの呪いは暴走し、見境なくあたりに毒を満たしてしまう。レネは自分の身も省みず、アルベールを抱きしめて「どうか「心」までは呪われないでください」と伝える。

毒と首の傷で致命傷を追ったレネを前に泣き崩れるアルベール。しかし、その傷はたちまち癒えて、息を吹き返すレネ。レネは「不死の呪い子」で、どんな毒を浴びても首がもげようとも、死なない身体をもっていた。

人を死に追いやる毒の呪いをもつアルベールと、不死の呪いにより死ぬことのないレネ。ふたりの呪い子が出会い、ともに寄り添いながら生きていく姿は、いつしか人を、世界を変えていくのであったーー。

お互いがお互いを支え合い尊重する関係性

いやもう、あらすじだけで最高なんですが。

個人的に本作の見どころはレネとアルベールの関係性にあると思う。正直いうと、ふたりのことを思うだけで私の胸はギュンとなる。

ギュンってなんやねん、と言われると困るが、ギュンはギュンである。あえて言うならば、切なくて胸が締め付けられる気持ちと、ときめきで胸がキュッてなる気持ちをかけあわせたものである。あとはニュアンスで感じとってほしい。

ふたりは王国の様々な困難に立ち向かったり、土地の災いの真相を確かめに旅に出たり、人と人の心をつないだりと様々な経験を重ねていく。

自身のことを人に災いをもたらす存在だとして、誰も傷つけないように、孤独に生きようとしてきたアルベール。しかし、様々な出来事を乗り越え、その手をとり心に寄り添ってくれるレネが、彼にとってかけがえのない存在となっていく。

レネも、不死のゆえに人に気味悪がられたり、自分の命や痛みを粗末にするという意味で、孤独を抱えていた。しかし、その痛みに気付き泣いてくれるアルベールを大切に思う気持ちが募っていく。

この関係性にもう胸がギュンとなる。決して自分のせいではないことで、自分自身を大切にできないふたりが、一緒にいることでお互いを尊重して、そして自分らしく生きることができるようになる。

これにギュンとならないことがあるだろうか。あるわけがない。あったとしても、本作を読めば間違いなくギュンとなれる。さあ、今すぐAmazonを開いて全巻カートにぶち込もう。

鈍感純度100%召使い女子と年下一途片思い王子の関係性からしか取れない栄養素がある

ここからしか取れない栄養素がありますよね?あるんです。最近、そんな研究の成果が論文で発表されていた気がする(されていない)。

呪い子である王子と、その毒を打ち消す力をもつ召使い。そんな関係性から始まったふたりはだけれども、特に王子は早々に主人公レネに恋心を抱いていく。

分かる。だってレネは明るくて優しくて人の心に寄り添える良い子だもの。そして命を賭けて自分のことを守ろうとしてくれる。アルベールは、その想いに報いたい、守りたいという気持ちが芽生えて、そして自身の呪いとも向き合えるようになっていく。

そんな相手を大切にしたいという気持ちにびっくりするくらい共感してしまうし、守られるだけでなく守りたい、共に歩みたいという気持ちに再びギュンとなってしまう。

しかしまぁ、レネちゃんがびっくりするくらい鈍感。

アルベールがどれだけ王子ムーブで思いを伝えようとしても、鈍感なレネはそれを「主からの想い」として受け取ってしまう。それもうプロポーズだぞ?って言葉や言動にも、少女マンガの主人公とは思えないくらいのスルースキルを持って対応する。

王子がレネのためを思ってプレゼントしようとすると、主の手をわずらわせたくないという考えから「王子のお小遣いは国民の血税だから」といって断るとか、まじで少女マンガなの?と思うくらい。このあたりの軽快なやり取りも、このマンガの面白さのひとつ。

そんな鈍感純度100%なレネを想い続ける王子と、少しずつ特別な感情を抱きつつも、なかなか自覚しないレネの関係性がとんでもなく尊い。

この関係性からしかとれない栄養素は確かにあります。その栄養素の名前はトキメキです。おかげで残業続きだけど私の肌はツヤツヤです。

さぁ、みなさんAmazonのカートに全巻ぶち込みましまか?ぶち込んだらあとは購入ボタンを押すだけだからな?

そして成長物語でもある

ここまでふたりの関係性にスポットを当ててきたけれど、ストーリーも本当に素晴らしい。主人公と王子のふたりはお互いを想い、呪いと向き合いながら前を進んでいく。しかし、呪い子という存在は国にとっては災いの象徴。

差別を受けたり、その力を悪用されたり、不当な扱いを受けたり、人に裏切られ破滅のためにしか呪いを使えないキャラクターも登場する。

アルベールは様々な出会いを経て、呪い子であってもそうでなくても、共に生きることのできる国をつくることを決意するのだが、彼のの成長がとてもとても胸に迫る。

もともと幽閉されていたアルベール、物語開始当初はゲームでいえばレベル1。自分の呪いで人を傷つけてしまう事実に、泣いていることしかできなかった。

それがいつの間にか、大切な人がたくさんできて、王子として国を守る決意をし、そして目の前に立ちふさがる悪に強い思いをもって立ち向かえるようになる。

最終巻で、自分たちを否定する人物に対し、呪いに対する自分なりの答えを提示する王子の成長に、感嘆しかない。これはぜひ物語を読んで体験してほしい。

ちなみに私の所感では、主人公レネの物語開始当初のレベルは50くらい。王子が爆速スピードで成長していくなか、レネも特に気持ちの面で少しずつ成長していって、物語のラストでは共に支え合う存在となって、並んで戦うのがよい。やっぱり胸がギュンとなる。

さぁ、すでに購入ボタンは押したか?あとは届くのを待つだけだ。届き次第、最高の体験があなたを待っている。

最終巻が最高すぎて100万回読み返してる

先にも少し触れたが、最終巻がとても良い。100万回読み返せる。最高。ありがとう。この本を世に送り出してくれた関係者全員に現金5,000兆円を贈呈したい。

これまで紡いできたつながりが、主人公と王子を支えていて、そのことが本当に伝わってくる。えっ、それ伏線なの?っていう展開もあったりする。ちなみに後者は割と心をえぐってくる。人の心を救うのは、国を救うより難しいからな……。

そして数年後、王子アルベールは大人になって、目を見張る成長をしやがる。これはやばい。そしてレネとの関係性もやっぱり良い。トキメキが限界突破する。これはなんのご褒美か。

深夜12時すぎにこの最終巻を浴びた私の気持ちが分かるだろうか?ギュンが限界突破して眠れなかったんだからな。

おわりに

勢いだけでここまで書いてみたけれども、改めて思う。これは布教になっているのか。

しかし、そんなことを考えたらいけない。オタクは歩みを止めたら死んでしまう。なのでこのまま突っ走ることにする。

さぁ、Amazonからマンガは届いただろうか?もちろん、最終巻は特装版を買っているだろうか?買っていないなら追加で注文してくれ。未収録番外編と描き下ろし後日談、最高だから。後日談だけで1冊本を出してくれてもいいくらいだ。むしろ出してください。

本当にひとりでも多くの人にこのマンガを読んでほしい。そしてできればギュンとなってほしい。ギュンがなんなのか最後まで分からない人もいるだろうが、理解は不要である。まずは読んでみてくれ。そしたらこの気持ちの正体が間違いなくわかるはずだ。

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