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年金は非課税で受給しよう

年金の受給に際して抑えておきたいツボとして、公的年金等控除を強く意識するというのがあります。
年金関連はいろいろとややこしくてめげますが、ここだけはよく理解しておいたほうがいいです。

公的年金等控除の非課税枠

公的年金等控除というのは、ざっくり言うと、
60-64歳は、年60万までの年金収入は非課税、
65歳以上は、年110万までの年金収入は非課税、
というものです。
令和元年までは70万/120万だったのですが、令和2年から控除枠が縮小されました。

サラリーマンの年金

これをどう利用するかという話なのですが、
たとえば、大企業を退職した人だと、厚生年金に加えて、企業年金や企業型DCなど、複数の年金がもらえる場合があります。
仮に、企業型DCが60歳から70歳の受給で、年50万、
企業年金が65歳から75歳の受給で、年50万だとしましょう。

そうすると、60歳から企業型DCを年50万受給しても、公的年金等控除が年60万まで非課税なので、非課税でまるまるもらえます。
65歳からは、企業年金も年50万追加され、年金収入が合計100万になりますが、公的年金等控除も110万まで増枠されるので、この2つだけであれば非課税受給が可能です。

ここで注意したいのが、「この2つなら非課税」という点です。
標準パターンだと、厚生年金が65歳から受給になります。
厚生年金を受給してしまうと、110万の枠を超えるので、課税になります。
国民健康保険の算出根拠となる旧ただし書き所得も公的年金等控除を所得税と同様に差し引くので、国民健康保険もつられて高くなります。

こういったこともあって、年金は70歳まで繰り下げるのをあらためておすすめします。
それであれば、69歳まで年金収入は非課税です。
70歳からはそれなりに課税されますが、年金の額も増えているのでよしとしましょう。
70歳になって厚生年金を受給するようになったら、70-75歳にもらう予定だった企業年金は一時金払いに切り替えた方が課税が減ってお得です。

自営業者の年金

自営業であれば、イデコが60-70受給、小規模企業共済が65-75受給が標準パターンなので、上記同様、イデコは60から受給で60万の枠を消化し、小規模は65から受給で110万の枠を消化し、70から繰り下げた国民年金を受給する、というのが税効率が良いです。

諸注意

年金改正で、イデコの受給を65ー75歳にしたりもできるようですが、他に何も上乗せ年金が無い場合、60-64歳の公的年金等控除の権利を消化しないともったいないです。

また、年金は「繰り上げ」制度を使って、60歳から受給することもできるのですが、それだと60万の小さい枠で受給することになるので、課税部分が大きくなります。繰り上げで年金の額も減って、課税も増えてで踏んだり蹴ったりです。

あと、同じ年金でも、公的年金等控除が適用できる年金と、適用できない年金(生保の個人年金など)があるので、そこの見極めはしっかりしておいたほうがいいです。
生保の個人年金を年金払いにして、企業年金を一時払いにしたりすると、踏んだり蹴ったりになりかねません。
トラップだらけで大変ですが、慎重なチェックが必要です。

上乗せ年金がいくつもありすぎて困ってしまって嬉しい悲鳴が出るような人は、どれかは一時金でもらって、年金受給が非課税範囲でおさまるように調整するのもいいでしょう。
このあたりの詳しい話は、こちらの本にのっています。
https://www.amazon.co.jp/dp/B077NZVCX6/

そんなわけで

そんな感じで、公的年金等控除の金額と段階を強く意識しながら、ご自身の年金の組み合わせを調整するのが、年金コントロールの1歩目です。

まあ基礎控除の48万もありますし、60万/110万を厳密に守らなくてもいいです。
多少オーバーしても大差ないですし、オーバーしたらそれはそれでそれなりに控除も増えるようになっています。
ただ、住民税非課税で済めば、国民健康保険と介護保険はだいぶ安くなります。


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