見出し画像

不動産保有者にプライバシーはない

不動産を買ったり相続したりすると、不動産登記が必要なのはご存知かと思います。

ただ、これが誰でも自由にどれでも閲覧可能になっていることはご存知でしょうか。

登記情報提供サービス

不動産取引に関わっている人には常識ですが、一般の人はあまり知らないかもしれません。
僕もよく知らなかったのですが、あるときふと気になって、法務局の登記情報提供サービスに登録したら、どこの登記簿も自由自在に取得できて驚きました。
別に法務局や登記所などに行って、宅建のライセンスを提示したりする必要はありません。自宅でネットでいくらでも見れます。
1件につき300円程度の手数料はかかります。

登記情報が取れるとわかったら、まあまずは自宅や実家を取りますよね。
他人の持ち物になっていたりしたら大変です。
住所を入力しようとすると、普通の住所ですんなりいくときもあれば、「地番」という独特の住所の指定が必要なときもあります。
これはこれでサイト内で調べられるようになっています。

PDFでダウンロードした登記簿を見てみると、不動産の所有者の氏名・住所のほか、権利取得日、抵当(ローン)の有無、ローンの金額、過去の売買・相続履歴もわかります。
こんなの赤の他人が見れていいのかな、と思います。

僕も一応FPをしているので、たまに相続の相談を受けて登記簿を取ってみることがありますが、とあるマンションの登記簿を1つ取得したら、100ページくらいにわたって、100世帯分くらいの不動産購入情報・ローン状況が出てきて引きました。1部屋分見たかっただけなのですが。

個人情報保護は?

個人情報保護法は2005年から施行され、社内教育で定期的にずいぶんとうるさく指導されたので、個人情報の扱いには気をつけないとなあという認識は脳にしみついているのですが、登記簿は古くからの制度なので、個人情報保護のかけらもありません。何もかもがあけすけです。何でこんな状態で放置されているのだろうかと不思議ですが、これはもうそういうもの、ということになっているのでしょう。

國重惇史さんの『住友銀行秘史』の冒頭に、國重さんが渋谷東口支店の支店長だったころ、支店周辺の物件の登記簿を片っ端から取得して、物件ごとのローンの取引先と金利を確認し、うちならこれより低く貸せるので乗り換えませんかという営業をして実績を上げたエピソードが出てきます。さらっと読み過ごしそうな話ですが、登記情報提供サービスを使ったことがあると、なるほどーそうきたかーと面白く読めたりします。

『ナニワ金融道』にも登記簿を取りに行くシーンがときどきあります。出版当時はまだネット閲覧はできなかったようで、法務局を訪れています。
そのくらいのハードルは残しておいたほうがよかったのではという気もします。

住宅を買うときも、同じマンションや周辺の住宅の登記簿を取って、相場観を作っておくと、少し冷静になれると思います。



「これで100円得しそう!」と思えたら100円のサポートをいただけると幸いです。今後の記事のブラッシュアップに反映されます。