私の工場経営ノウハウ(5) 生産性の評価と改善策1

これからしばらく、生産性に関する話題をシェアします。

❶ステーション作業型製造と自動化ライン型製造の違いと生産性
 ステーション作業とは、機械を作業毎にステーションに停止させて作業者が組立等を行う作業で、作業者の作業時間の経過と共に完成度が上がっていきます。例えば、フレーム部組立、駆動部品組み付け、電装品組み付け、配線、カバー取付、仕上げ、試運転・検査などです。
 一方、自動化ライン型製造は、部材製造などに多く、投入段取り、投入、操作盤操作、取出しを何回か繰り返します。設備のタクトタイムとリードタイムで生産量が決まります。例えば、プリント配線板の自動化ラインでは、基板の表面処理、ドライフィルムラミネート、露光、カバーフィルム剥離、現像、エッチング、ドライフィルム剥離、基板洗浄、乾燥と、すべて機械が自動的に作業します。製品は自動投入機でラインに投入されてから作業者が触ることなく自動取出し機がラインから製品を取出しストックしてくれます。作業者は設備の操作盤を操作する以外は、ストッカーの製品を台車で次のラインに運ぶか、自動搬送機の操作をする以外はメンテナンス等の作業になります。
 
 ステーション作業は作業時間を管理すれば生産性が把握でき、自動化ラインは投入ロットサイズ、取出しタクトタイム、段取替時間、メンテナンス時間を管理することで生産性が把握できます。後者は設備能力と言うことになりますが、後者についても作業者が作業をすることで製品ができるのは変わりなく、この作業時間で固定費を回収する考え方は一般的です。
 よって、パープロ(1人当たりの売上高・完成高)または時間生産性(単位時間当たりの売上高・完成高)を工場生産性に採用しています。パープロには、直人パープロと総人パープロがあり、前者は直接員(作業者)、後者は直接員+間接員の1人当たりの売上高又は完成高を示しています。大企業ほど労働装備率は高く合理化が進んでいるため、時間生産性もパープロも大きくなります。(但し、減価償却費やエネルギー費、修繕費等も大きいので連続稼働させないと利益が出ません。)

 実際の製造現場では、工程毎、作業エリア毎に人員の貼り行けを行っています。作業者は作業基準に従って作業をするので、認定作業者であれば同一作業に対して消費する作業時間=標準作業時間(設計見積時間)は同じになるはずです。よって、これらの機種毎、工程毎、標準作業時間を足し合わせれば一台の機械ができる設計です。自動化ラインでも同じことです。
この作業時間が短くなれば生産性が向上したと言います。製品原価は、標準作業時間(設計見積時間)に工程毎の単位時間当たり工場固定費を掛ければ加工費が導けますから、作業時間が短くなれば、短くなった時間分の工場固定費が利益になります。回収過状態です。

しかし、現実はそう簡単ではありません。次回は、その現実を踏まえた生産計画の話をシェアします。


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