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私の工場経営ノウハウ(5) 生産性の評価と改善策2

ステーション作業、自動化ラインとも標準作業時間で生産性や生産能力を評価できることは前回お話しました。今回は、その標準作業時間の話をします。

標準作業時間(ST):教科書的に言うと、設計と技術で決めたQC工程表と作業基準に従い、認定作業者が作業に要する時間を言います。作業とは、特定品種の特定工程における部材準備・治具交換、設備保守点検、機械条件確認、部材投入、加工、取出し、工程内検査等、関連するすべてのルーチン作業を言います。作業内容を詳細に決めてあれば、認定作業者の誰がやっても同じ時間になります。

生産計画:当月生産する機械(または部品)の品種毎、工程毎のSTを明確化して、保有作業時間や設備能力と整合を取る作業を言います。仕掛品は途中工程からの作業となります。これとは別に、当月投入される部材の準備状況(生産又は購入計画)を同時に確認し、内作部材はその生産計画も作成します。
 以上の必要総STに対し、作業者の保有作業時間を確認するわけですが、ここで問題が発生します。品種構成によって、作業量が作業者保有時間に対し過剰な工程と不足する工程が発生します。総保有作業時間が総必要STより多くても、作業能力が不足する工程のことをボトルネック工程と言い、作業者の多能工化不足によって発生します。現実的には、そうは言っていられないので補助的な作業を他工程担当者または派遣社員、アルバイト等に応援してもらいます。この場合、応援者は単位時間当たり認定作業者の50%貢献しかできない場合、参加率50%として保有作業時間に50%を掛けて補正します。
 こうして、必要作業量と保有作業量を作業者貼付けによって時間の辻褄を合わせながら生産計画を立てていきます。実際の例を以下に示します。

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 ここで、残業時間や応援者も含めて作業時間調整が終われば、人的生産計画は完了します。あとは、部材や外注能力、設備能力などの調整になります。自動化ラインの場合は、タクトタイムは変えられないので、外段取りや一発段取りによる生産性向上や、3直2交代など勤務体制変更により調整していきます。

多能工化:生産性向上の最初の壁は「多能工化」不足です。多能工化を向上させるには、効率は低下しても作業者を育成する必要があります。作業量の少ないときに行うと良いでしょう。このようなことを考えると、常に参加率100%で就業時間や保有作業時間がそのままSTになることはないです。そういうことも考慮して工場分単価、又は工場割掛は設定されます。
 多能工化促進のため、現場には多能工化星取り表を張り出して、モチベーションを上げるほかに、誰がどの作業の認定作業者か一目で確認できる効果もあります。星取り表は、①指導員立会のもと作業ができる、②一人で作業ができる、③他人に作業を指導できる、④作業改善など品質・生産性に関して提案できるなど、レベルに応じて星の形を変える工夫も必要です。

 いずれにしても、特定の人しかできない作業はなくしていかなくてはなりません。

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