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生命保険をインターネットで加入する

最近、コロナの影響でネットで生命保険に加入する人も増えたようです。

ネットで完結出来る生命保険は保障内容がシンプルで安価というのがウリだと思います。魅力的ですよね。

ただ本当にネットで手続きしても大丈夫なのかな?という人も中にはいると思うわけです。
今日は、そんな生命保険をインターネットで加入することについて書いていきたいと思います。

生命保険は万が一の時に支払わなければ意味がない

保険は、リスクの発生頻度は低いが、発生すると損失が大きい場合に有効という金融商品です。

ですので、生命保険に加入していても万が一の支払事由が発生してしまった場合に支払わなければ全く意味がありません。

「え?支払われないとかあるの?」って思う方も多いと思いますが、支払われないケースがあります。
いくつかありますが、今回は告知義務違反によるものについてです。

告知義務違反とは?

告知書や医師の質問等によりおたずねする内容に対して、事実を告知されなかったり、事実と違うことを告知された場合は、「告知義務違反」としてご契約や特約が解除されることがあります。
<引用>東京海上日動あんしん生命HP

簡単に言うと嘘をついて保険に加入したって、保険金支払い時にわかったらもちろん保険に加入して無かったことになりますよ。ということです。

例えば、健康診断結果にてガンの疑いを指摘されている人がそれを隠して生命保険に加入するのは明らかな告知義務違反になるのはわかり易い例ですが、正しい告知に関する知識がないとご自身はちゃんと健康状態の告知をしたつもりでも告知義務違反に当てはまるケースはあります。

私達、保険募集人は健康状態の告知をして頂くに際して、細心の注意を払って、お手続きして頂くのが当たり前です。

しかし、健康状態の告知に関してはそんなに重要ではないと思っている、正しく理解していない相談者さんも多いのも実状です。
なぜなら、生命保険の加入上で必要な健康状態の告知相談者さんがイメージする問題があると思う健康状態に乖離があるからです。

「ちょっと健康診断結果が悪かったけれど、今は何の症状も無いし、病院に通ってるわけでもない、元気なので告知なんか必要ないだろう。」

「何年か前に病院に通っていたけど、症状も無くなったし薬ももう何年も飲んでない、病院に1年以上行ってもないから大丈夫だろう。」

「ちょっと体調が悪くて、少し前にお医者さんでお薬を出してもらったけど、別に病名は言われてないからそもそも言う必要ないかな。」

このようなイメージで相談者さんの勝手な解釈によって健康状態の告知漏れが発生してしまうケースも少なくありません。

このような場合、相談者さんが悪意を持って隠しているわけではないのですが、告知義務違反になってしまう可能性があるので、私達、生命保険の募集人は事前に相談者さんにキッチリと正しい告知が必要です。と、告知しなければいけないケースについて上記のような例を用いて丁寧に説明します。

告知義務違反による解除の件数

では、実際にどのぐらいの件数が告知義務違反として解除されているのでしょうか?
告知義務違反による解除件数は各社HPにて公表されています。

CM等でも有名なネット生保の代表格でもあるライフネット生命を見てみましょう。

2019年度 第4四半期 (2020年1月~2020年3月)における保険金等の支払件数、支払非該当件数およびその内訳をお知らせいたします。
<引用>ライフネット生命HP 保険金等の支払い状況

上記、ライフネット生命HPの引用元データから抜粋しますと、
上記期間にて告知義務違反による解除件数は83件となっています。

ライフネット生命のこの期間では保険金等の請求件数(支払件数+支払非該当件数)2,387件に対して83件の約3.5%が告知義務違反による解除となっていることがわかります。

それでは、日本最大手の1つ日本生命のHPでも同様のページを確認してみましょう。

保険金・給付金のお支払件数、お支払非該当件数および内訳(2019年度上半期)○2019年度上半期(2019年4月~2019年9月)
<引用>日本生命HP 「保険金・給付金のお支払状況」について

こちらも日本生命HPの引用元データから抜粋しますと、
上記期間にて告知義務違反による解除件数は115件です。

日本生命のこの期間では保険金等の請求件数(支払件数+支払非該当件数)808,540件に対して115件の約0.014%が告知義務違反による解除となっています。

それではもう1社、CMや広告でもよく見かけるオリックス生命はどうでしょうか?

保険金等のお支払い件数、お支払い非該当件数および内訳
2019年度 上半期
<引用>オリックス生命HP 保険金等のお支払いについて

こちらもオリックス生命HPの引用元データから抜粋しますと、
上記期間にて告知義務違反による解除件数は1,305件です。

オリックス生命のこの期間では保険金の請求件数(支払件数+支払非該当件数)217,147件に対して1,305件の約0.6%が告知義務違反による解除となっています。

正しい告知が出来ているの?

人による対面販売にて生命保険を取り扱っている日本生命とオリックス生命に比べて、インターネットで加入するライフネット生命の告知義務違反による解除の件数が母数に対して多いように感じるわけです。

もちろん、1つの期間での結果ですのでたまたま件数が多い可能性はありますが、個人的には告知義務違反による解除件数が多い理由は対面販売に比べて健康状態の告知についての申込者への情報提供不足または、申込者への注意喚起が弱いのではないか?という仮説を持っています。

月々払ってきた保険料は安かったけれど支払われない可能性

保険会社は保険金等の請求が契約者からあった際に、提出された医師の診断書から読み取れる情報をもとに加入時の告知内容を確認し、告知義務違反の可能性を疑った場合、さらに病院の通院履歴等を追加調査することがあります。

そういった調査にて判明した告知義務違反により解除された場合は、悪意があろうがなかろうが保険金等は支払われません。

保険料が安いからという理由で手続きも簡単なインターネットで安易に加入してしまって困る人もいると思うのです。
本当にネットで手続きしても大丈夫ですか?

またネット生保は比較的保険料が安い傾向であることは間違いないですが、実際には最安ということでもないです。
年齢や保障内容によっては対面販売の保険会社で加入した方が保険料が安くなることは往々としてあります。
コンプライアンス上の理由で具体的な商品名をあげることはここでは出来ませんが、例えば、タバコを吸わない方や健康診断結果が良い方などは割引がある保険会社もあり、インターネットで加入する生命保険よりも安くなる可能性もあります。

生命保険は申込時の告知がとても重要

ネット生保に加入するには、告知の重要性を知ったうえで加入しないと後で自分や自分の家族が困ってしまう。なんてケースもありえるのです。

誰の何のための生命保険でしょうか。

2年以内の健康診断結果で全く指摘がないし、5年以上病院に全く通っていないなどの人はネット生保でも問題ないと思いますが、過去に病院へ通っていた人や健康診断結果があまり良くない人は、ご自身の判断で大丈夫だろうとインターネットで生命保険に加入するよりも、しっかりと対面で正しい告知の仕方を担当者のフォローしてもらいながら加入することをオススメ致します。


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